太陽光発電システムを導入する際は、初期費用以外にも、売電収入や買電量、メンテナンスや運用コストなど、総合的に計画しておくことが必要です。
導入前の準備不足で、いざ利用し始めてみると想定外のコストがかかったり、回収が遅れたりすることがあります。
本記事では、太陽光発電システムのコストの内訳と、コストを削減する方法や初期費用を回収するポイントについて解説していきます。
太陽光発電を導入で必要なコスト内訳
太陽光発電を導入する際は、設置場所や地域性、設備機器の容量、世帯人数やライフスタイル、施工方法、売電計画などを踏まえて、必要なコストについて検討すると良いでしょう。
※太陽光発電 容量別費用相場
容量 | 費用 | 容量 | 費用 |
3kW | 84万円 | 7kW | 196万円 |
4kW | 112万円 | 8kW | 224万円 |
5kW | 140万円 | 9kW | 252万円 |
6kW | 168万円 | 10kW | 280万円 |
では、もうすこしくわしく、太陽光発電でかかるコストの内訳について、以下の4つの項目別に解説していきます。
・設置工事のコスト
・運用コスト
・メンテナンスコスト
設備機器のコスト
太陽光発電システムに必要な設備機器について、以下の内訳となります。
・パワーコンディショナー:4.2万程度
・架台:2.1万程度
・その他の設備:0.2万程度
太陽光パネル
太陽光パネルは発電容量が大きくなれば、発電量も増えますのでその分、価格も高額になります。
各メーカー製品の1 kW単価を目安に、同じグレードの製品の価格を比較すると良いでしょう。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナ―は、容量によって大きく価格が変わってきます。
製品を選ぶ際は、変換効率や最大定格出力、過積載率、サイズ、メンテナンスのしやすさや保証内容などもしっかりとチェックしておきましょう。
架台
架台の役目は、太陽光パネルの設置条件を高めるために角度や方角を調整できることです。屋根の状況によって不要なケースもあり、その場合はコストはかかりません。
その他の設備機器のコスト
太陽光発電システムでは、その他、周辺機器が必要です。主な周辺機器の費用相場については以下の通りとなっています。
設置工事のコスト
設置工事のコストについては、依頼する設置業者によって変動しますので、発注する前に複数社より見積もりを集めて比較してから決めると良いでしょう。
設置工事のコストは、初期費用のおよそ20%を占めています。高額な工事費を出しても導入効果が見込めるように、会社の実績や施工IDなども確認して良い設置業者を選ぶことをお勧めします。
運用コスト
太陽光発電を維持管理していくための運用コストは、以下の3項目について確認していきましょう。
・買電コスト
・ソーラーローン
保険料
台風など自然災害による設備機器の故障や破損に対しては、メーカー保証でカバーできないため、動産総合保険や火災保険などに加入しておくことを検討する必要があります。
太陽光発電のメーカーで補償されないケースは、火災による設備の破損や、台風や地震などによる故障、出力抑制にかかって売電収入を得られない、設備機器の盗難などがあります。
これらのトラブルに対して、保険に加入していれば万が一に備えることができるようになります。
買電コスト
社会情勢等の要因により電気代の値上がりは今後も続くと予測されていますので、太陽光発電システムの導入によって買電コストを抑えることを検討すると良いでしょう。
具体的には、まずは、家庭内の電気消費量について把握し、発電量とのバランスを考えて、できるだけ買電量を減らすことが必要となります。
また、固定価格買取制度を利用する場合は、売電価格を確認して、できるだけ高い単価の時期に契約する方がお得です。
また自家消費型で利用する場合は、蓄電池を併用して発電量を増やすことで買電量を減らす方向で利用して行くと良いでしょう。
ソーラーローン
太陽光発電や蓄電池などの導入の際に利用できる融資についても確認しておきましょう。
ソーラーローンは、金融機関が提供する太陽光発電システム導入のためのローンで、一般の融資よりも低金利で長期の返済期間を設定できる等のメリットがあります。
メンテナンスコスト
太陽光発電を導入する場合、住宅用の太陽光発電10kW未満の設備は、メンテナンスが義務化となっています。また、固定価格買取制度を利用する際は、住宅用太陽光発電でもメンテナンスが義務化となっています。
太陽光発電を長期的に利用して設置費用を回収するためにも、設備機器の法定耐用年数と寿命に合わせて適切なメンテナンスをするようにしましょう。
では、メンテナンスコストの内訳についてもう少しくわしく確認していきましょう。
定期点検費用
定期点検の費用相場は、1回あたり1万円〜3万円程度が目安になります。
・1枚あたり10万円〜15万円程度
・ケーブルが断線した場合は、パネルを交換する必要があります。
・交換費用は1万円〜2万円程度
売電メーターは設置から10年ごとの交換が必要です。
交換費用は電力会社によって異なり、無料で交換に対応してくれるところもあります。
清掃の費用相場
・除草作業は、草刈りの面積1㎡あたり50〜150円程度
・清掃1回あたり10,000円程度
廃棄・撤去の費用相場
・運搬費と処分費は合わせて5万円程度
太陽光発電のコストを削減する方法
太陽光発電は高額な初期費用やランニングコストなどがかかりますので、できるだけコストを削減するために以下のポイントについて確認しておきましょう。
・初期費用は売電収入で元を取る
・補助金制度を利用する
・メーカー保証を利用する確認する
発電効率の高い太陽光パネルを設置する
性能の良い太陽光パネルを設置して、より多くの発電量を得ることができれば、大幅なコスト削減に繋がります。
発電量が増えれば余剰電力を売電収入にできたり、蓄電池に発電した電力を貯めて災害時に備えることも可能です。
発電効率の目安としては、変換効率が「20%」を超える太陽光パネルであれば、高品質な機器と言えるでしょう。
初期費用は売電収入で元を取る
固定価格買取制度を利用して契約期間10年間で、発電した余剰電力を買い取ってもらい、初期費用回収にあてると良いでしょう。
卒FIT後は、自家消費型にシフトして、蓄電池を併用するなど発電量をうまく利用できるようにすると、コスト削減に効果的です。
売電収入で元を取るためには、より高い単価の時期に契約するとお得です。
補助金制度を利用する
各自治体より、太陽光発電システム導入で利用できる補助金制度があります。
設置する太陽光発電設備の機種や設置条件などに適用する補助金制度を利用できれば、コスト削減に役立ちます。
補助金制度については、申請できる期間が決まっているため、利用する際は早めに情報収集して手続きを行うと良いでしょう。
なお、申請受付から受理されるまでに、およそ2〜3週間くらい、工事完了してから補助金の振込みまで、およそ1〜2か月くらいかかります。
メーカー保証を確認する
太陽光発電のメーカー保証期間については、システム保証は10年または15年、出力保証は20年または25年に設定してあるケースがほとんどです。
保証期間内であれば、無料で修理や交換に応じてもらえます。太陽光パネルは屋外にさらされた環境に設置するため、長期に利用していると故障や交換が必要になる場合も出てきます。そこで、メーカー保証が充実している製品であれば、無駄な出費を抑えることも可能です。
太陽光発電を導入する際は、メーカー保証制度についてしっかり事前に確認しておきましょう。
太陽光発電のコストは回収できる?
住宅用太陽光発電の場合、コスト回収できる期間は導入からおよそ10年前後と言われています。
元が取れるまでの期間をなるべく短くするためには、太陽光発電の発電量を増やすことはもちろん、蓄電池の設置や補助金制度の利用、適切なメンテナンスを行う等、必要な設置条件を揃えて利用することが必要です。
では、コスト回収の期間をできるだけ早くするためのポイントについて確認しておきましょう。
太陽光発電の初期費用を抑える
太陽光発電の初期費用は年々安くなってきている傾向です。
補助金制度を利用したり、設置費用については、安くて品質の良い施工業者を探すと良いでしょう。
太陽光発電の発電効率を高める
発電効率(変換効率)の高い太陽光パネルを設置すれば、電気代の節約にも繋がりコスト回収の期間も短縮されます。
ただし、良い設備機器を設置しても、メンテナンスが行き届かない場合は、発電効率も期待できません。定期的な点検や清掃は計画的にしていきましょう。
売電価格の高い時期に設置する
太陽光発電の売電価格は毎年変動しているため、コスト回収を早めるには、売電価格の高い時期に設置した方がお得です。
太陽光発電の売電価格については、余剰電力の買取制度のスタート時(2012年)では「42円」現在(2023年)は「16円」と下落していますので、変動の推移についても確認しておくと良いでしょう。
定期的にメンテナンスを行う
太陽光発電のメンテナンスについては、発電効果を低下させることなく売電収入を増やすためや電気代の節約にも繋がっていきますので、計画的に点検を行うようにしていきましょう。
太陽光発電の初期費用回収の期間を10年前後とした場合、太陽光パネルの寿命がだいたい30年程度となっていますので、長く利用するためには、メンテナンスをしっかり行うことが重要となります。
コスト回収の期間をシュミレーションする
コスト回収の期間については、設置費用や設置する時期、毎日の発電量、維持管理の仕方によって異なりますので、導入前にしっかりシュミレーションしておくことが重要となります。
まとめ
太陽光発電を導入する際は、必要なコストについて確認しておきましょう。
導入効果を得るためには、設備機器や設置業者選び、発電量を増やす方法や売電収入について、メンテナンスや保険の加入など、さまざまな項目を確認しながら現実的にできる範囲で計画して行くと良いでしょう。