太陽光発電の費用対効果を高めるためには、設置後のメンテナンスが重要です。
導入された方の中には、設置後の維持費を考えていなかったために、想定外の費用がかかってしまったと後悔しているケースもよくあります。
そこで、本記事では太陽光発電でメンテナンスがなぜ重要なのか?メンテナンスの費用はどれくらい必要なのか?について解説していきます。
太陽光発電のメンテナンスの重要性は?
太陽光発電の普及に伴い、設備機器を正しく維持管理するためにメンテナンスが義務化されています。
太陽光発電のメンテナンスについては、設備機器を長期的に有効利用するために、以下のポイントが重要となります。
・自然災害に備えることができる
・太陽光パネルの経年劣化を防ぐ
・売電収入の損失を防ぐ
・初期費用回収に繋がる
・太陽光発電を有効利用できる
・安全を確保できる
維持管理費を抑えることができる
太陽光発電設備の故障で修理が必要な場合、早く異常を見つけてメーカー保証期間内であれば無料でメンテナンスを行うことができます。
自然災害に備えることができる
台風や地震などの自然災害が起こりやすい地域では、設備をこまめに点検して被害を拡大させないようにすることができます。
太陽光パネルの経年劣化を防ぐ
製品の寿命に合わせて利用するためには、パネルの劣化によるトラブル防止のために定期メンテナンスが重要となります。
売電収入の損失を防ぐ
発電量の低下の原因となる太陽光パネルの汚れを定期的にメンテナンスすることで、発電効果を高め、売電収入を増やす方法に繋がっていきます。
初期費用回収に繋がる
太陽光発電の発電量を左右する太陽光パネルの点検は、費用対効果に関わる重要なポイントとなり、初期費用を早く回収できるようになります。
太陽光発電を有効利用できる
太陽光発電を有効利用するためには、導入前の準備と適切な設置工事、そして設置後の維持管理を正しく行うことが必要となります。
安全を確保できる
太陽光発電では、設備機器の配線状態やパネルの汚れや破損などによって、火事や感電などの事故が発生するケースもあります。定期メンテナンスによって安全性を確保することが重要です。
太陽光発電の寿命について知っておく
太陽光発電は長い寿命が確保されてはいますが、長く安心して利用するためには定期的なメンテナンスが必要となります。
太陽光発電設備には、それぞれ法定耐年数と寿命が設定されています。
維持管理や長期的なメンテナンス費用を考える上で、目安として知っておくと良いでしょう。
・パワーコンディショナー:法定耐用年数17年/寿命15年から20年
・蓄電池:法定耐用年数6年/寿命20年から30年
建物や設備など税法上定められているものを減価償却するための年数です。建物や設備は、年数が経過すると資産価値が下がり、これを「減価償却資産」といいます。 法定耐用年数というのは、減価償却する期間を示し、太陽光発電パネルの寿命とは違う意味になります。実際に太陽光発電を利用できる期間は、法定耐年数17年よりも長く使えるのが一般的です。
太陽光発電のメンテナンス費用について
では、太陽光発電のメンテナンス費用はどれくらいかかるのか?確認していきましょう。
太陽光発電のメンテナンス費用の相場は?
2.9万円 × 5回(定期点検)+ 22.4万円 ÷ 5KW ÷ 20年 =3,690 円/kW/年
(※資源エネルギー庁2022年2月に公表したデータより)
太陽光発電のメンテナンス費用の内訳は?
太陽光発電のメンテナンス費用の内訳は以下の通りです。
・故障・修理代
・清掃費用
・廃棄・撤去費用
・保険料
定期点検・メンテナンス費用
住宅用太陽光発電10kw未満の設備は、メンテナンスが義務化されています。
太陽光発電システムは長期的に利用するため、定期的なメンテナンスが必要です。正しく点検を続けて行けば、寿命の長い太陽光パネルであれば30年近く長く利用できます。
システム導入後の無償点検サービスを行っている会社もあります。
故障・修理代
太陽光発電が故障した場合は、メーカーや施工業者に対応してもらうようになります。
修理費用は、メーカー保証期間内であれば、ほぼ修理費用は無償になります。
保証内容については、「出力保証」「システム機器保証」など保証部分によって対応が異なります。
「出力保証」の対象範囲は、メーカーの水準以下の出力であれば、パネル修理や交換も対応してもらうことができます。
「システム機器保証」の対象範囲は、パワーコンディショナーなどの周辺機器の故障に無償で対応しています。
メーカー保証の内容は、メンテナンス費用を抑えるためにも事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。
ケーブルが断線した場合は、パネルを交換する必要があります。
清掃費用
発電効率を高めるためには、太陽光発電パネルの表面に付着した汚れを清掃することが必要です。鳥の糞や落ち葉、ホコリやその他、太陽光発電パネルの状態を最適にするために清掃を行います。除草作業は、年に2〜3回くらい行うと良いでしょう。
除草作業は、草刈りの面積1㎡あたり50〜150円程度。1回あたり10,000円程度になります。
廃棄・撤去費用
太陽光発電では、パネルを撤去する場合は廃棄・撤去費用がかかります。屋根から設備を下ろす作業で足場を組むため、足場費用が別途かかります。
運搬費と処分費は合わせて、およそ5万円程度になります。
保険料
太陽光発電でのトラブルに備えて、保険・保証へ加入することをおすすめします。
加入できるおもな保険の種類は、以下の通りです。
地震保険は火災保険とセットになっている場合が多いです。
・地震保険:全損、大半損、小半損、一部損などの被害状況に応じて支払われます。
・動産総合保険:30,000円〜40,000円/年程度
・賠償責任保険:5,000円程度
・休業補償保険:10,000円程度
太陽光発電のメンテナンスの頻度はどれくらい?
太陽光発電のメンテナンスについては、法的ルールはありませんが、目安としては、設置してから
1年後、それ以後は4年に一度が推奨されているタイミングとなります。
設置してから1年→5年→9年→13年…
太陽光発電の設置条件によって頻度を調整する
ただし、太陽光発電を利用している地域や設置条件によって設備機器の状態は異なるため、定期メンテナンスの他に日常的な目視点検は必要となります。
例えば、以下の地域に設置してある太陽光発電設備の場合は、他の地域よりもメンテナンスをこまめに行うことをおすすめします。
海岸に近い地域
塩害地域に設置している場合、潮風によって樹脂部分が劣化したり、塩分が設備機器の内部に侵入したりして、配線ケーブルや金属部分が錆びるリスクがあります。
塩害地域に強い太陽光発電のメーカー製品を設置することもできますが、さらにメンテナンスはこまめに行うことをおすすめします。
また、メーカー保証内容が塩害によるトラブル対象になっているか事前に確認すると良いでしょう。
台風被害の多い地域
太陽光発電の施工が強風に耐えられるように正しく行われていることが必要です。
仮に不良工事であった場合、例えば太陽パネルがしっかり固定されていなかったりすると、強風によって飛来するトラブルも発生しています。
台風被害は想定外のことが起こる場合もありますので、台風シーズン前後に点検できるように計画的にメンテナンスを行うことをおすすめします。
太陽光発電のメンテナンスは自分でできるの?
太陽光発電のメンテナンスでは、日常でできる目視点検は自分で行うことができます。
日常点検のチェック項目について確認しておきましょう。
日常点検で異常を見つけた後は、自分で対処せずに専門家に相談して修理してもらうことをおすすめします。自分で修理をしたことで返って悪循環となってしまうこともありますので、気をつけましょう。
・屋根に雨漏りはしていないか?
・架台のゆるみはないか?ボルトの固定は大丈夫か?
・配線ケーブルの破損はないか?
・接続箱の外が破損や腐食していないか?
・パワーコンディショナーの音は正常か?
・パワーコンディショナーの腐食や破損はないか?
・パワーコンディショナーのフィルターの目詰まりはないか?
・パワーコンディショナーのエラーメッセージはないか?
・発電量は低下していないか?
太陽光パネルのチェック
屋根、架台のチェック
周辺機器のチェック
異音や異臭、破損や腐食に気付いたら、早めの対応を心がけましょう。
太陽光発電のメンテナンスは専門家に依頼しましょう
太陽光発電の日常点検で異常が見つかった場合は、作業に危険が伴ったり現状より被害を拡大してしまう危険性がありますので、専門知識のある業者を呼んで対応してもらうようにしましょう。
例えば、屋根上の修理中に落下してしまう恐れや、電気まわりの故障で感電してしまうなど、危険な作業となりますので、自分で対処することは控えるようにしましょう。
太陽光発電を導入する際は、メンテナンスに対応してくれる設置業者であるかどうか?しっかり確認しておくと良いでしょう。
また、故障や交換に対応できるメーカー保証内容についても事前に確認しておきましょう。
まとめ
太陽光発電を導入する際は、長く利用するためにもメンテナンスについて計画して維持管理することが必要です。そのためには、太陽光発電の初期費用の他に、メンテナンス費用についても予算を立てておくことをおすすめします。