【太陽光発電】一番発電する月はいつ?効率よく発電させる為のポイント

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太陽光発電は、売電効果や節約対策になるメリットがありますが、これらのメリットを得るためには、太陽光パネルでどれだけ発電量を得られるか?導入前にしっかりシュミレーションしておくことです。

発電量は、システム設置する地域や季節、天候などによって大きく左右されますので、効率良く発電させるためのコツを導入前につかんでおきましょう。

そこで本記事では、太陽光発電で一番発電する月や、効率良く発電させるためのポイントについて解説していきます。

太陽光発電の発電量を計算する方法

太陽光発電の発電量については、設置場所の日射量から計算して数値を出すことができます。

発電量の計算式:システム容量 × 日射量(kWh))×0.85
・システム容量とは、太陽光発電システムがどれだけ発電できるかを表した数値で、単位は「KW」です。別名「発電容量」または「出力容量」とも言います。システム容量が大きければ、その分たくさん発電することになります。
・日射量は、太陽光パネルに受ける太陽の放射エネルギーの量です。単位は「kW/m2」または「W/m2」です。日射量は、季節や天候によってさらに地域ごとに異なるため、 発電ロスを踏まえて算出する必要があります。
・【0.85】は、太陽光発電の損失係数です。損失係数とは、太陽光発電の機器の種類、太陽光パネルの汚れ、パワーコンディショナの変換、温度上昇などの要因で出力が損失することを想定した数値です。設置場所の日射量に損失係数を掛けて発電量を計算します。

発電量は、設置する地域によって異なるため、自宅の場合に合わせてより正確な数値を出すようにしましょう。

太陽光発電で一番発電するのは5月

太陽光発電で一番、発電する月は、5月、次いで4月になります。

以下の表は、例題として東京の太陽光発電の1日あたりの発電量の目安を示したものです。

発電量 発電量
1月 2.15kwh/日 7月 3.39kwh/日
2月 2.6kwh/日 8月 3.53kwh/日
3月 2.68kwh/日 9月 2.46kwh/日
4月 3.57kwh/日 10月 2.18kwh/日
5月 3.78kwh/日 11月 2.02kwh/日
6月 3.32kwh/日 12月 1.94kwh/日

3月ごろから8月をピークに日射量が多くなる傾向で、9月ごろから冬にかけて日射量は少なくなっていきます。

6月は晴れた日の日射量は多くなりますが、梅雨シーズンであるため雨の影響で発電量は減少傾向にあります。

気温が高い7月、8月の方が発電量が多いと考えがちですが、実際は、4月、5月の方が発電効率が良く、その理由は太陽光パネルの表面温度が25℃以上超えると発電効率が下がるという特徴があるからです。

真夏の気温が30度を超える日の場合、太陽光パネルの表面温度は、最大で70〜80度まで上昇すると言われています。25℃を超えて1度上昇する毎に0.5%発電量が低下します。

例)太陽光パネル表面温度が80℃の場合、27.5%も発電量が低下することになります。
(80℃-25℃)× 0.5=27.5%

太陽光パネルが高温に弱い理由は、内部素材のシリコンが高温によって性能が低下する特徴があるためです。現在主流となっている結晶シリコン系の太陽光パネルの場合は、特にこの特徴が大きく影響しています。

したがって、太陽光の発電量は、季節でいうと夏よりも春の方が効率が高くなる傾向です。

太陽光の発電量が変動する要因について

太陽光の発電量が変動する要因のひとつは日射量の変動です。

日射量の変動は、以下のポイントによって変わってきます。

  • 地域
  • 月別
  • 時間帯
  • 天候

地域

雨の多い太平洋側よりも、内陸の方が日射量が多く発電量は増える傾向にあります。

また、南本州の地域の方が気温が高く、日射量が多いので太陽光発電に向いている地域とも言えます。

月別

太陽光発電で一番発電する月は、4月、5月頃です。日射量の多い、7月、8月は気温が高くなると発電効率が低下します。

6月の梅雨シーズンや9月の台風による影響もあります。

時間帯

晴天の正午をピークに、左右対称の山を描くように発電量は変動する傾向にあります。

日照時間の長い夏は冬よりも発電効率が高くなります。日照時間は夏は長く冬は短くなります。

天候

晴れの日が一番発電量が多く、日の出から日没まで一日中晴れていれば最も発電効率が高くなります。
曇りの日でも発電量はありますが、晴れの日よりも発電量は半分くらいになり、雨の日は、4分の1以下程度の発電量になります。

全国の日射量の平均

平均的な全国の日射量については、【新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)】のデータを参考にした以下の表を確認しましょう。

日射量の算定条件については、方角は南向きで、角度10°でのデータとなります。

甲府、静岡、高知、宮崎、熊本、鹿児島、那覇は、日射量が多いので発電量も多くなっています。

地点 年平均日射量kWh/㎡ システム容量1kwあたりの年間予想発電量kWh/年/kW  地点 年平均日射量kWh/㎡ システム容量1kwあたりの年間予想発電量kWh/年/kW 
札幌 3.58 1,150 大津 3.59 1,153
青森 3.44 1,105 京都 3.61 1,160
盛岡 3.54 1,137 大阪 3.76 1,208
仙台 3.61 1,160 神戸 3.88 1,246
秋田 3.41 1,095 奈良 3.71 1,192
山形 3.56 1,143 和歌山 4 1,285
福島 3.58 1,150 鳥取 3.51 1,127
水戸 3.71 1,192 松江 3.5 1,124
宇都宮 3.7 1,188 岡山 3.92 1,259
前橋 3.86 1,240 広島 3.99 1,282
さいたま 3.73 1,198 山口 3.79 1,217
千葉 3.7 1,188 徳島 4 1285
東京 3.53 1,134 高松 3.97 1,275
横浜 3.76 1,208 松山 4.03 1,294
新潟 3.48 1,118 高知 4.17 1,339
富山 3.48 1,118 福岡 3.84 1,233
金沢 3.48 1,118 佐賀 3.84 1,233
福井 3.55 1,140 長崎 3.9 1,253
甲府 4.17 1,339 熊本 3.97 1,275
長野 3.8 1,221 大分 3.8 1,221
岐阜 4 1,285 宮崎 4.17 1,339
静岡 4.05 1,301 鹿児島 4.07 1,307
名古屋 3.98 1,278 那覇 4.06 1,304
3.96 1,272 ※平均 3.78 1,215

発電量に関わるポイント

地域、月別、時間帯、天候以外で、太陽光の発電量の変動に関わる要因について以下のポイントを確認しておきましょう。

  • 太陽光パネルの汚れ
  • 経年劣化
  • パワーコンディショナーの変換ロス
  • 積雪地域への設置
  • 塩害地域への設置

太陽光パネルの汚れ

太陽光発電パネルに汚れがつくと、発電量の低下に繋がります。鳥の糞や埃、落ちにくい汚れは、屋根上の掃除を定期的に行うことが必要です。

ガラスの破損やパネル内部の劣化、雨水の浸水などにも要注意です。

経年劣化

太陽光発電パネルは、利用期間が長くなれば劣化して品質が低下します。

利用してから10年間で2.7%、20年間で5.4%、30年間で8.1%の発電量が低下すると言われています。

これらの数値に対して各製品メーカーは、製品保証の他に出力劣化を保証するという「出力保証」を提示しています。

パワーコンディショナーの変換ロス

パワーコンディショナ―は、太陽光発電で発電した電力を直流電気から家庭内で利用できる交流電気に交換する機器です。

パワーコンディショナーを通して家庭内で利用できる電気になるには変換ロスが生じます。

パワーコンディショナーの変換効率は、一般的にはだいたい95%以上となっています。

積雪地域への設置

雪が太陽光パネル表面に積もった場合、発電効率は低下します。

積雪被害を抑える方法としては、太陽光パネルの角度を15度にすることや、積雪耐性のある製品を選ぶ等の対策が必要です。

また、積雪地域に太陽光パネルを設置する際は、地元の地域性に特化した業者に依頼することをおすすめします。

塩害地域への設置

海近くに設置すると太陽光パネルがサビやすく発電効率が低下する傾向です。

メーカーによっては設置不可である場合、または、塩害専用の太陽光パネルや架台などを設置するようになります。

塩害地域は海からの強風による影響も考えて、専用の施工方法や定期メンテナンスなども必要となります。

効率よく発電させる為のポイント

太陽光発電で発電効率を高めるためには、以下のポイントを確認しましょう。

  • 高性能の太陽光パネルを設置すること
  • 太陽光パネルを南向きに設置すること
  • 定期メンテナンスを欠かさないこと
  • 信頼のおける設置業者を選ぶこと

高性能の太陽光パネルを設置すること

太陽光パネルは屋根上に設置するため、強風や積雪などの自然災害によって発電効率を低下させてしまうケースもあります。

特に塩害地域や台風の多い地域に太陽光パネルを設置する際は、地域性に合った耐久性の良い設備を選ぶようにしましょう。

一般的な太陽光パネルの発電効率は「13〜20%」くらいで、20%以上であれば高性能な製品であると言われています。

太陽光パネルを選ぶ際は、エネルギー変換効率が高いほど性能が高くなるため、各メーカーの変換効率を比較して検討しましょう。

太陽光パネルを南向きに設置すること

太陽光パネルの最適な設置条件は、南向きの傾斜20〜30度が理想的です。南向きに設置した太陽光パネルであれば、1日の中で一番日射量が増える正午にかけて発電量をたくさん得ることが可能になります。南向きが確保できない場合は、南西・南東に向けて設置すると良いでしょう。

北向きの方角は、発電効率が悪く、設置後に近隣住宅に反射してトラブルになりやすいので、控えましょう。
パネルの傾斜の設定は、角度によって発電効率が変わるため、方角以外に傾斜についても検討することが必要です。

定期メンテナンスを欠かさないこと

10kW未満の住宅用太陽光発電はメンテナンス義務化が必要です。太陽光発電システムの寿命に合わせて、長期的に利用するには定期的なメンテナンスと日常的な点検が必要となります。

太陽光パネルの期待寿命はおよそ20年〜30年程度です。メーカー各社には、出力保証が付いており、保証期間は20年〜25年が一般的です。
パワーコンディショナーについては、寿命がおよそ10年〜15年程度です。       パワーコンディショナーもメーカー保証が付与されており、保証期間は10年程度が一般的となっています。

ただし、太陽光発電設備の寿命年数は、あくまでも期待寿命であり、設置環境や利用状況、メンテナンスなどによって、期待寿命よりも長く利用できるケースもあります。

したがって、太陽光発電の発電量を確保するためにも、メンテナンスを計画的に行うことをおすすめします。

また、太陽光パネルに汚れが付着すると発電量が落ちる可能性がありますので、専門業者に清掃を依頼するようにしましょう。

信頼のおける設置業者を選ぶこと

太陽光発電を導入する際に気を付けたいのは、設置業者選びです。

もし、施工不良で設置してしまった場合、思ったように発電量がなく導入効果が得られない場合も生じます。

太陽光発電システムのメーカー選びから工事まで、トータルして適切なアドバイスがもらえる会社を選びましょう。

設置業者を選ぶポイントは、実績や経験、施工IDの有無保証制度やアフターフォロー、販売から設置まで行う自社施工会社であるか等を確認しましょう。

【蓄電池の併用】発電量が少ない時期への対策

発電量が少ない時期や、雨の日や曇った日の日射量が少ない日が続いた場合の対策として、蓄電池を併用して使うことをおすすめします。

太陽光発電は、昼間に発電した電気はためておくことができないので、蓄電池を設置すると発電量を貯めて利用することができます。

昼間に発電した電気を貯めておいて夜に使ったり、天候の悪い日に蓄電池があれば太陽光発電の電気を使うことも可能です。

また、太陽光発電の余剰電力を売電する場合は、蓄電池があれば発電量をうまく賄って収入に繋げることも可能です。

他にも停電時の電源確保に、蓄電池があると発電量を貯めておけば家電やスマホなども利用できます。
なお、蓄電池を選ぶ際は、蓄電池の容量や、設置場所、メーカー保証内容、補助金制度等を確認しておきましょう。

※蓄電池ある/蓄電しなしの比較表

蓄電池がある 蓄電池がない
停電時 停電時でも電気が使える 停電時には電気が使えない
天候 天気が悪くても貯めた電気が使える 天気が悪いと発電量は少なくなる
電気代 エコキュート併用等で電気代が安くなる 大幅に電気代を安くするのは難しい
売電収入 余剰電力が増えるので売電収入になる 余剰電力が少なく売電収入は難しい
オール電化 オール電化住宅では災害時でも安心 オール電化住宅では災害時のリスクあり
自家消費 天候、災害時に限らず自家消費しやすい 状況によっては自家消費しにくい
太陽光発電 併用するとさらに発電効果がある 併用しないと高い発電効果は難しい

まとめ

太陽光発電の導入効果を得るためには、発電量を変動させる要因について確認しておきましょう。発電量は、設置する地域、季節や天候、時間帯や月別などによって変動します。
自宅の設置場所が決まったら、導入前に発電量についてしっかりシュミレーションしておくことをおすすめします。
太陽光発電で一番発電する月は、5月です。気温が高くなる8月よりも発電効率が良くなるので、シュミレーションをする際は年間の発電量の傾向について確認しておきましょう。