太陽光発電の設置容量って何?発電量との違いと容量の決め方

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太陽光発電を導入する際は、設置容量について確認しましょう。設置容量は、ご自宅の屋根スペースに配置できる太陽光パネルの枚数やサイズなどによって変わってきます。

また、各家庭の世帯人数による消費電力量や、太陽光発電の導入予算などによっても、選ぶ基準が変わってきます。加えて、売電収入で初期費用回収に費やしたい場合は、設置容量の大きい製品の方が効率的です。

住宅用の太陽光発電の容量は、10KW未満の設備が対象となっていますので、対象となる設置容量について確認しましょう。

本記事では、太陽光発電の設置容量と発電量や容量の決め方などについてポイントを解説していきます。

太陽光発電の設置容量とは何か?

太陽光発電の設置容量とは、太陽光発電で作られる電力の大きさです。
単位は「kW」(キロワット)で示します。
別の言い方で「システム容量」「出力容量」「発電容量」も同じ意味で使われています。
太陽光パネルの1枚あたりの容量を示す場合は「定格出力」と言います。

設置容量が大きいほど発電量も多くなり、発電量が増えれば売電収入を増やすことができたり、 電気代の節約にもなり自家消費しやすくなるメリットがあります。

各メーカー製品の設置容量については、太陽光パネル、パワーコンディショナーの出力値から確認することができます。

太陽光パネルの出力とパワーコンディショナの出力を比較して出力が低い数値の方で決めると良いでしょう。

例)太陽光発電パネルが3KW で、パワーコンディショナーが4KWであれば、低い数値3KWが、この太陽光発電システム全体の容量になります。

太陽光発電設備を導入する際は、太陽光パネルの出力パワーコンディショナ―の出力を比べて同じ値の製品である必要はなく、太陽光パネルの出力をパワーコンディショナ―の出力よりも多くすることが一般的です。

過積重:太陽光発電パネルの出力 > パワーコンディショナーの出力

このように、パワーコンディショナーの出力よりも大きい容量の太陽光パネルを設置することを「過積載」と言います。

「過積載」にすると、パワーコンディショナーの容量から発電して余った電力は捨てることになりますが、太陽光パネルの発電量がピーク時をむかえるのは短時間であるため、ピーク時の電力をカットしても、それ以外の時間で発電量を得られるため、捨てた電力よりも全体的な発電量が多く見込めることになります。

つまり「過積載」にすると日照量が少ない時間帯でも電力を確保できて、時間帯に偏らずにムラの無い発電量が見込めるということになります。

発電量との違い

設置容量とよく間違えやすい「発電量」についても確認しておきましょう。

  • 設置容量:「システム容量」「出力容量」「発電容量」
    太陽光発電で発電できる量を示すための数値です。単位「KW」(キロワット)
  • 発電量:実際に発電する量を示すための数値です。               単位「kWh」(キロワット・アワー)

発電量とは

太陽光発電で発電する電気の量「発電量」は、システムを導入する際に判断となる数値です。  例えば、発電容量5kWの設備を1時間稼働した場合の発電量は5kWhになります。

電気代の節約や売電収入を得るには「発電量」が目安となるため、太陽光発電を導入する際は、発電量のシミュレーションを行い、設置条件に合うメーカーや製品を選びましょう。

また、発電量の数値は、公称最大出力、変換効率、などによって変動します。

  • 公称最大出力(定格出力)
    太陽光パネル1枚あたりで発電できる最大値です。太陽光パネルの公称最大出力はメーカーや製品によって幅広く設定されています。
  • 変換効率
    太陽光パネルが太陽光エネルギーをどれくらい電気エネルギーに変換できるか示した数値です。変換効率が高いほど、同じ太陽光の量でもよりたくさんの電気エネルギーを作ることができます。

また、発電量は、以下の要因で変動します。

  • 太陽光発電を設置する地域の日射量によって異なる
  • 月別によって変動し、平均的に5月が最も発電効率が高くなる
  • 時間帯によって、正午をピークに発電効率が変動する
  • 雨の日、曇りの日は発電効率が低下する
  • 積雪地域や塩害地域では発電量が低下しやすくなる
  • 太陽光パネルの汚れによって発電効率が下がる
  • 経年劣化によって発電量は低下していく
  • パワーコンディショナーの変換ロスによって変動する
  • 太陽光パネルの表面温度が25度以上になると発電効率が下がる

発電量の計算方法

太陽光発電システムの1日あたりの発電量は、以下の方法で計算できます。

発電量の計算する際は、まずは設備容量について決める必要があります。

1日の発電量 = 設備容量 × 日射量 × 損失係数(0.85)
※日射量:太陽光パネルに受ける太陽の放射エネルギーの量です。単位は「kW/m2」または「W/m2」です。日射量は、季節や天候によってさらに地域ごとに異なるため、発電ロスを踏まえて算出する必要があります。
※損失係数(0.85):太陽光発電の損失係数です。損失係数とは、太陽光発電の機器の種類、太陽光パネルの汚れ、パワーコンディショナーの変換ロス、温度上昇などの要因で出力が損失することを想定した数値です。設置場所の日射量に損失係数を掛けて発電量を計算します。

その他、発電量は、太陽光発電システムを設置する地域、季節、天候、設置条件、使用期間などによって数値は変動します。あくまでも算出した数値は目安なので、参考程度にすると良いでしょう。

設置容量と発電量の関係性

太陽光発電システムでは、設置容量に対して発電量が決まります。

年間にどれだけの発電量を必要とするか?ご自宅の消費電力と買電量、売電収入の目安を想定してシュミレーションする必要があります。

太陽光発電の容量1kWあたりの年間発電量は、1000kWhが目安です。
1日あたりの発電量の目安は、約2.7kWhで、1か月あたりの平均発電量は約83kWhの計算になります。
※1000kWh ÷ 365日 = 2.7kWh
※1000kWh ÷ 12ヶ月 = 83kWh
一般家庭の1ヶ月あたりの平均の電気使用量を260kWh(1日あたり約8.7kWh)とした場合、1日あたりの発電量の目安は、約2.7kWhですから、約3kW以上の太陽光発電が必要となる計算になります。                           ※2.7kWh × 3kW の太陽光発電= 8.1kWh
※2.7kWh × 4kW の太陽光発電= 10.8kWh
※2.7kWh × 5kW の太陽光発電= 13.5kWh

太陽光発電システムのおすすめの容量

太陽光発電システムを導入する際は、住宅用に適した容量の製品を選びましょう。

一般的な家庭の最適容量

住宅用として太陽光発電システムを設置する場合、発電容量10kW未満であることが一般的です。平均的な設置容量はだいたい3〜5kWくらいを目安にするとよいでしょう。

容量が大きい方が年間発電量も増えますが、予算やご自宅の屋根の広さや設置条件などを踏まえて選ぶと、容量3〜5kWくらいが一般的となっています。

狭小住宅などの場合これより容量の少ない設備を設置し、広い屋根スペースが確保できる住宅では大きい発電容量の設備を選ぶことができます。

例えば、一般的な家庭で、日中に使う電気を5kWhとした場合、1日で20kWh程度の発電量が目安になります。

容量の決め方

太陽光発電の容量を決める際は、以下のポイントについて確認しましょう。

  • 住宅用の太陽光発電設備は10kw未満となる
  • 太陽光発電設備を設置する屋根スペースに合わせる
  • 固定価格買取制度を利用する場合は容量で決まる
  • 世帯人数から必要な設備容量を考える
  • 太陽光発電設備の導入予算から考える
  • 太陽光発電の費用対効果について考える

住宅用の太陽光発電設備は10kw未満となる

太陽光発電は、容量10kWを基準にして住宅用または産業用に分けています。

  • 容量10kw未満:住宅用の太陽光発電設備
  • 容量10kw以上:産業用の太陽光発電設備

太陽光発電設備を設置する屋根スペースに合わせる

ご自宅の屋根の形状や太陽光パネルメーカーの機種によって必要面積は変わりますが目安として、住宅用で5kwの太陽発電を設置したい場合、屋根の面積は、約25平方メートル〜30平方メートルくらいが必要と言われています。

住宅用太陽光パネルの1枚あたりの出力は100〜300kWくらいで、設置スペースにどれだけパネルを配置するかによって設置容量が決まります。

また、屋根面積に対してどれだけ発電量を得られるか?太陽光パネルを設置する方角が、南向きである場合と南東や南西、東西方向に分けて配置する場合では、パネル枚数も変わってきます。

太陽光発電設備を導入する際は、事前調査に屋根上の設置スペースについて確認してから、設置容量を決めるようになります。

固定買取制度を利用する場合は容量によって決まる

固定価格買取制度を利用する場合、容量によって売電価格が設定されています。

住宅用の10kw未満太陽光発電の場合、売電価格で10年間同じ固定価格で契約が可能です。

固定価格買取制度は、発電量をご自宅の消費電力として使用したあと、余った発電電力があれば電力会社に売電して収入を得ることができます。

設置容量が10kWを超えた場合は、産業用の契約設定となります。

世帯人数から必要な設置容量を考える

太陽光発電の設置容量は、家族人数によっても変わってきます。また、世帯人数が多くても昼間の在宅人数が少ない場合と、昼間に居る人数が多い場合でも、必要な設置容量は変わってきます。

例えば4.5kWの容量では、1日あたり14.5kWhくらいの発電量を得ることができます。

4人世帯の場合、平均の電気使用量は1日あたり13〜18.5kWhとなっているため、4.5kWの設置容量があれば、じゅうぶん賄える計算になります。

設置容量の目安
  • 世帯人数1~3人の場合:3KW
  • 世帯人数3~4人の場合:4KW
  • 世帯人数5人以上の場合:5~9KW

太陽光発電設備の導入予算から考える

設置容量が大きいと発電量も多く得られるメリットはありますが、その分導入費用も高額になります。

※太陽光発電の費用相場
太陽光パネルの設置費用の相場は、1kW17.1万円くらいで、一般住宅用として容量3〜5kWの太陽光発電を導入した場合、1.3万〜85.5万円くらいになります。
パワーコンディショナーの設置費用の相場は、1kW4.2万円くらいで、住宅用として容量3〜5kWの太陽光発電を導入した場合、12.6万〜21万円くらいになります。

なお、初期費用を抑えるために、補助金制度を利用することも可能です。

太陽光発電の費用対効果について考える

例えば、設置容量4KW未満の設備を導入した場合、4KW以上の設備よりも初期費用回収に時間がかかる計算になります。

住宅用太陽光発電の場合、元が取れるまでの期間は導入からおよそ10年前後と言われていますが、大きい容量の方が年間の発電量は多くなりますので、予算内であれば設備容量4KW以上の太陽光発電設備がおすすめです。

太陽光発電で元が取れるか期間については、設置費用や設置時期、毎日の発電量、維持管理の仕方によって異なってきますが、発電量を左右する設置容量については、しっかり導入前にシュミレーションしておくことが必要です。

回収期間のシュミレーションの計算式は以下の方法で算出できます。算出した回収期間は、太陽光パネルの種類や設置する方角や日照条件などにより変動します。

初期費用÷(売電収入と自家発電による光熱費の削減額の合計額-維持費)=回収期間

太陽光発電の設置容量と蓄電池の容量

太陽光発電を導入する場合、一緒に蓄電池を設置する際は、蓄電池の容量についても確認しましょう。太陽光発電の設置容量に合わせて適切な蓄電池の容量を検討しましょう。

一般住宅用の蓄電池は、5kWh~7kWhの容量が主流です。

  • 小型タイプ:4.0kWh〜5.0kWhくらい
  • 中型タイプ:7.0kWhくらい
  • 大型タイプ:10kWhくらい

蓄電池の容量は、以下の計算式で算出することができます。ご自宅の1日の電気消費量を見積もって計算しましょう。

必要な電力量(容量Wh) = 消費電力量(W) × 時間(h)

また、蓄電池の容量は、選ぶ機能「全負荷型」または「特定負荷型」によっても変わってきます。

全負荷型の蓄電池

災害時などに家の全部の電気が使えます。
大容量の電気に対応できるので、その分価格は高めになります。停電時でも、ほぼいつもと変わらない生活ができるのが大きなメリットです。

全負荷型の蓄電池は、オール電化の家庭や、家族の人数が多かったり小さい子供やペットがいて普段の電気使用量が多めの世帯におすすめのタイプです。

特定負荷型の蓄電池

災害時などに使える家電や照明などの台数が限られます。

容量に制限があるので、その分、価格は安くなります。特定負荷型の蓄電池は、世帯人数が少ない家庭や、導入費用を抑えたい方におすすめのタイプです。

特定負荷型の蓄電池は、停電時でも必要な回路だけを分電盤から選択すれば、特定の家電や照明だけを利用することも可能です。
蓄電池を設置する際は、導入前に、災害時のシミュレーションをしてご自宅の電気使用量に適した容量を選ぶようにしましょう。

また、全負荷型の蓄電池を設置した場合は、停電時でも通常通りに電気が使えるので、蓄電池の残量を気にせず使ってしまいがちです。使いすぎてしまうと停電が長引いたときには、必要な電気が無くなるので注意が必要です。

まとめ

太陽光発電を導入する際は、必要な年間発電量に合わせて設置容量について確認しましょう。
設置容量が大きいほど、たくさん発電できるので、売電収入や電気代の節約にも繋がっていきます。また予算内であれば、設置容量の大きいものを選んでできるだけ短い期間で元が取れるように検討すると良いでしょう。