電気代の節約や売電収入になるメリットがあるので、自宅に太陽光発電を導入する家庭が増えてきています。
一方、太陽光発電はやめたほういいという声もあり、実際のところが知りたい方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、太陽光発電を個人宅に導入する場合の設置方法や流れ、導入費用とメリット・デメリットを解説します。
個人宅に太陽光発電を設置するには?
太陽光発電システムを利用する際は、まず始めに、導入から運転開始までの流れを確認しましょう。
太陽光発電システムを設置する流れ
- 太陽光発電システムについて概要を知る
- 設置する場所の条件を確認する
- 電気消費量について確認する
- 発電量のシュミレーションを行う
- 導入費用の予算について検討する
- 国や自治体の補助金制度について調べる
- 現地調査を依頼する
- 設置業者に見積もり依頼する
- 設置業者と契約する
- 電力会社との受給契約する
- 経済産業省へ事業計画認定の申請する
- 太陽光発電システムの設置工事を始める
- 太陽光発電システムを利用開始する
太陽光発電システムを設置する方法
陽光発電を導入する際は、まずは複数社の設置業者を選んで相見積もりをしましょう。
1社だけでは、価格やサービス内容について判断しづらいため、複数の業者を比較して選ぶことをおすすめします。
例えば、設備費用は安くても工事費用が割高だったりする場合もあります。また、総額が安くても手抜き工事で安全管理が行き届かなかったりする場合もあります。しっかり確認するようにしましょう。
また、太陽光発電システムは、導入後もメンテナンスに維持費がかかりますので、アフターサービスや保証内容については見積書に書かれていない場合は、確認してください。
設置業者を選ぶポイントについては、設備費用、工事費用、kWあたりの発電単価、サポート体制、保証制度などをチェックしましょう。
施工ID取得者であれば、太陽光発電パネルのメーカーが推奨する施工方法で行ってもらえるため、ID取得の有無も選ぶポイントになります。
個人宅に太陽光発電を導入するのに必要な設置費用の相場
経済産業省による「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」をもとに、家庭用太陽光発電の価格について確認しましょう。
太陽光発電 システムの設置費用 2024
2024 年度の家庭用太陽光発電システムの設置費用の想定値は、「 25.5 万円/kW」です。 2023年度の設置費用「25.9万円/kW」よりも安くなる予想です。
家庭用太陽光発電のシステム費用は、新築または後付けともに設置費用は年々安くなってきている傾向です。
平均値の内訳は、太陽光パネルが約 55%、工事費が約 27%を占めています。
太陽光発電の設置費用、1kWあたり平均「25.5 万円/kW」で計算した場合、一般的に需要の多い容量「3~5kW」で、およそ76.5万〜127.5万円となります。
1kWあたり「25.5 万円/kW」の場合・容量別の費用相場 | |||
3kW | 4kW | 5kW | 6kW |
76.5万円 | 102万円 | 127.5万円 | 153万円 |
7kW | 8kW | 9kW | 10kW |
178.5万円 | 204万円 | 229.5万円 | 255万円 |
太陽光発電システムに必要な設備機器の内訳(は以下の通りです。
※2022年度1kWあたり「26.1万円/kW」で値引き1.9▲の場合
- 太陽光パネル:14.5万円
- パワーコンディショナー:4.2万円
- 架台:2.1万円
- 周辺機器:0.2万円
- 工事費 :7.1万円
さらに、太陽光発電と相性の良い蓄電池を導入した場合は、以下の費用相場を確認しましょう。 蓄電池の本体価格は、容量1kWhあたり15〜21万円程度 (蓄電池+工事費込み)です。
- 蓄電池の容量4~7kWh:90~160万円程度
- 蓄電池の容量8~11kWh:160~220万円程度
また、蓄電池の種類によって価格も異なります。
ハイブリッド型蓄電池:100万円〜270万円程度
工事費については、依頼する設置業者によって変わってきます。 工事費の目安としては20万円〜35万円程度と考えておくと良いでしょう。
太陽光発電+蓄電池セットの価格相場は、蓄電池の容量4〜7kWhの場合で、だいたい以下の計算になります。
- 太陽光発電76.5万〜127.5万円+蓄電池90〜160万円=166.5万〜287.5万円程度
家庭用太陽光発電の維持費2024
太陽光発電システムは、発電量の維持や安全性を確保するために定期的なメンテナンスが推奨されています。点検のタイミングについては3〜5年ごとに1回程度が目安となります。
例えば、太陽光発電システム5KWの場合で1回当たりのメンテナンス費用相場は、約 3.5万円程度です。
パワーコンディショナーについては、交換のタイミングが20 年間で一度が目安になります。交換の費用相場は、およそ29.2 万円程度です。
しかし、太陽光発電の機器の性能は向上してきており、定期メンテナンスの回数が減ってきていることや、設備機器の価格が安くなってきていることを考慮すると、2024 年度の維持管理費の想定値は、3,000 円/kW/年を据え置くこととされています。
太陽光発電はやめたほうがいいと言われるけどデメリットは何?
太陽光発電システムは、適切な設置条件や設備機器の性能、各家庭の電気使用量と発電量のバランスなど、さまざまな要素を踏まえて総合的に準備する必要があります。
これらの要素がうまくいくと太陽光発電をつけてよかったと満足する場合と、一方、必要な要素が足りなくて太陽光発電はやめたほうがいいと後悔する場合もあります。
では、具体的にどんなことがデメリットなのか確認しましょう。
- 天候に左右される
- 初期費用が高い
- 売電収入だけでは難しい
- 設置場所で発電効果が下がる
- 屋根の状態によって設置できない
- 不備工事のトラブルがある
天候に左右される
- 雨や曇りの日が続くと発電効率は低くなります。
- 曇りの日の発電量は約40〜60%まで、雨の日は約25%まで低下します。
デメリットの解消策は、天候に左右されやすいことを予測して蓄電池を設置しておくことです。 変換効率20%以上の性能の良い太陽光パネルがおすすめです。
初期費用が高い
- 太陽光発電システムの費用は高く、設備費用以外に工事費用と維持費(メンテナンス費用・保険料・撤去費用)等がかかります。
- メーカー保証の対象外の場合、修理・交換費用が発生します。
デメリットの解消策は、システムを導入する前にシュミレーションしてから必要な設備を準備することです。設置業者を選ぶ際は、複数社に見積もりを依頼して比較検討しましょう。
また、節電や売電収入による費用対効果を見極めることも大事です。
費用負担を抑える方法としては、補助金制度やソーラーローンを利用するのも良いでしょう。
維持管理費を抑えるには、メーカー保証の内容を確認して保証期間内に無償で故障や交換に対応してもらうようにしましょう。
売電収入だけでは難しい
- FIT制度の買取価格が年々下落傾向なので、収入のメリットがない場合もあります。
- 1kWhあたり「42円」だった買取価格は、2022年には「17円」へと年々下落しています。
デメリットの解消策は、FIT制度の買取価格の変動をチェックして10年間の売電収入のシュミレーションをしておきましょう。
売電収入以外に自家消費した場合の費用対効果を考えることも必要です。
さらに、電気を貯められる蓄電池を準備しましょう。売電するにも自家消費するにも蓄電池はあった方が、費用対効果は上がります。
設置場所で発電効果が下がる
- 太陽光パネルの設置場所によって発電効率が下がる場合もあります。
- 北向きに太陽光パネルを設置すると反射トラブルが起きる可能性が高くなります。
- 積雪地域、塩害地域の場合、発電効率が下がるケースもあります。
デメリットの解消策は、太陽光パネルの設置で発電効果を高めるために南向きが理想的です。
また、地域、天候、時間帯、季節などによる発電量の変動の要因を確認しておきましょう。 特殊な地域(積雪地域や塩害地域など)の場合、耐久性の良い製品がおすすめです。
発電効果を上げて発電量を維持するためには、太陽光発電+蓄電池の併用を検討しましょう。
屋根の状態によって設置できない
- 築年数のある住宅屋根や劣化が進んでいる屋根は、設置が難しい場合もあります。
デメリットの解消策は、設備の導入前に、屋根の点検を専門業者に依頼することです。
点検後に適切でない屋根であると判断された場合は、修繕リフォームを検討しましょう。
また、点検や工事を依頼する設置業者選びは慎重に行いましょう。
不備工事のトラブルがある
- 良い設備を準備しても施工不良の場合は、導入効果は難しくなります。
- 施工不良で雨漏り問題が発生する場合があります。
- 法外な契約金額でセールスされることもあります。
デメリットの解消策は、良い設置業者を見極めることです。
設置業者は、1社だけで決めずに複数社から選びましょう。また、実績・経験のある業者でサポート体制のあることも確認しましょう。
太陽光発電システムのメリット
太陽光発電のデメリットを踏まえて、メリットについても確認しましょう。
- 電気代が安くなる
- 余剰電力で収入が増える
- メンテナンス費用が抑えられる
- 災害時でも電気を使える
- 夏は涼しく冬は暖かくなる
- エコキュートと併用で節約できる
- 蓄電池とセットでさらにお得になる
電気代が安くなる
- 太陽光発電システムを利用すると買電量が減って電気代が安くなります。
- 電気代を安くするには、発電量をできるだけ増やすための対策が必要です。
発電量を増やす方法は、おもに以下のポイントを確認しましょう。
・高性能な太陽光発電設備を選ぶ
・南向きに太陽光パネルを設置する
・太陽光発電システムのメンテナンスを計画的に行う
・太陽光発電に蓄電池を併用して使う
・日常生活で電気の節約を心がける
余剰電力で収入が増える
- 固定価格買取制度(FIT制度)を利用して売電収入を得ることができます。
- 住宅用太陽光発電10kW未満の場合、固定の買取価格で10年間売電できます。
- 余剰電力が増えれば、初期費用の回収期間を短くすることも可能です。
- 買取価格は、年々下落傾向にあるため、できるだけ早めの契約がおすすめです。
メンテナンス費用が抑えられる
- 太陽光発電システムを長期的に利用するには、適切なメンテナンスが重要です。
- 太陽光発電システムのメンテナンス時期は、3〜5年ごとに1回程度が目安です。
- 故障・交換が必要な場合、メーカーの保証期間内であれば無償で対応可能です。
災害時でも電気を使える
- 太陽光発電システムは、停電や災害時にも使うことができます。
- 非常時に使える家電の消費電力の合計は、1.5kW以下が目安となります。
- 夜に停電になった場合は、太陽光発電に蓄電池を併用すれば電源を確保できます。
夏は涼しく冬は暖かくなる
- 太陽光パネルを設置した屋根下の部屋は、室温が下がる効果があります。
- 冬は屋根からの放射冷却が抑えられるので、屋根下の部屋の断熱効果があります。
エコキュートと併用で節約できる
- エコキュートと太陽光発電を併用すると、給湯にガスを使わないためオール電化に切り替えが可能です。
- 昼間は太陽光発電で発電した電気を使って、夜間の電気料金が安いプランを使ってエコキュートでお湯を沸かすと光熱費を抑える効果があります。
蓄電池とセットでさらにお得になる
- 災害時や停電時に非常用電源としても活用できます。
- 普段使用する光熱費の削減にも繋がります。
- 余剰電力が多くなれば売電収入を増やすことができます。
- 天候の悪い日は、発電しないので蓄電池に晴れた日の電気を貯めて使うことが可能です。
太陽光発電を個人宅に設置した場合の税金について
個人宅に太陽光発電システムを導入した場合、固定資産税と所得税について確認しておきましょう。
固定資産税
固定資産税は、土地、家屋、償却資産に対して課税される税金です。
太陽光発電は償却資産としての扱いとなり、課税対象となる場合は申告が必要となります。
償却資産は、経年劣化等によって価値が減っていく資産を示し、太陽光発電設備の場合は、装置、機材などに該当し、課税対象となる条件となった場合は、償却資産税を払うことになります。
出力10kW未満の家庭用太陽光発電システムは、個人利用を目的とする資産となるため、基本的には非課税です。
ただし、設置条件によって課税と非課税になるケースもあります。
例えば、新築ではなく後付けタイプの太陽光発電は、非課税です。個人が所有している賃貸住宅の屋根に太陽光発電設備を設置した場合は、不動産賃貸事業とみなされ課税対象になります。
個人宅に太陽光発電を設置した場合は、設置条件によって課税と非課税になるケースが異なりますので事前に確認しましょう。
所得税
所得税は、個人の所得に対して課される税金です。
所得金額に応じて課税されますので、太陽光発電で売電収入がある場合は課税の対象となるケースもあります。
10kW未満の家庭用太陽光発電システムの場合、大半は課税されることはありませんが、目安として売電収入が20万円以上の場合は課税されることもあります。
売電をしている場合は、事前に詳しく確認するようにしましょう。
まとめ
太陽光発電システムを自宅に導入する際は、設置方法や導入の手順を事前に把握しておきましょう。設置費用については年々安くなり導入しやすくなっています。維持管理費については、設備機器の性能が良くなっているのでメンテナンスも楽になってきてます。
太陽光発電システムは、電気代を節約するためや環境保全にも役立ちます。ライフスタイルや予算に合わせて導入を検討しましょう。