太陽光発電を導入検討している場合、税金はどうしたら良いのか?疑問をお持ちの方も多いでしょう。
固定資産税については、かかるケースとかからないケースがあり、それぞれの設置条件について知っておくことをおすすめします。
そこで、本記事では、太陽発電設備の導入において、課税または非課税になるケースと固定資産税について解説していきます。
太陽光発電にかかる税金を控除してもらうための対策
太陽発電を導入する際は、設置後に固定資産税の増額で驚かないように、事前に課税対象となるケースについて知っておくと良いでしょう。
太陽光発電設備は固定資産税の対象になる?
固定資産税は、土地、家屋、償却資産に対して課税される税金です。太陽光発電は償却資産としての扱いとなり、課税対象となる場合は申告が必要となります。
償却資産は、経年劣化等によって価値が減っていく資産を示し、太陽光発電設備の場合は、装置、機材などに該当し、課税対象となる条件となった場合は、償却資産税を払うことになります。
太陽光発電「住宅用」「産業用」の固定資産税
太陽光発電設備にかかる固定資産税については、設備規模によって課税/課税となるケースが異なります。
- 出力10kW未満の住宅用太陽光発電設備は、個人利用を目的とする資産でとなるため、基本的には非課税です。
- 出力10kW以上の産業用太陽光発電設備は、営利目的とした事業用資産となるため、課税対象になります。
- 出力10kW以上の住宅用太陽光発電設備は、住宅用設備であっても産業用とみなされ課税対象になります。
太陽光発電の設置条件による課税/非課税
太陽光発電設備は、設置条件によって課税と非課税になるケースがあります。
- 個人が所有している賃貸住宅の屋根に太陽光発電設備を設置した場合は、不動産賃貸事業とみなされ課税対象になります。
- 太陽光パネルを架台に取り付け、取り外し可能な場合は、非課税です。
- 出力10kW未満の住宅用太陽光発電設備で太陽光パネルを住宅新築時に屋根一体型で取り付けた場合は、課税対象となります。
- 新築ではなく後付けタイプの太陽光発電は、非課税です。
- 屋根ではなく、庭などの空き地に太陽光パネルを設置する場合は、出力10kW未満の場合は非課税、10kW以上の場合は課税対象になります。
- 太陽光発電が一体型の「ソーラー住宅」「太陽光発電住宅」などの住宅は、家の価値基準が高くみなされるので、固定資産税は高めになる傾向です。
太陽光発電の 固定資産税 土地評価について
太陽光発電設備として利用する土地については、地目を雑種地として評価します。
したがって、太陽光発電設備の固定資産税相当額以外に、土地の固定資産税相当額も変更となるケースがあります。
また、農地を利用する際は農地法に基づいて、事前に農業委員会へ確認すると良いでしょう。
太陽光発電の固定資産税の優遇措置
太陽光発電の固定資産税については、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」によって、税制上の優遇措置が設定されています。
経済産業省 資源エネルギー庁が公表している制度内容については、再生可能エネルギー発電設備について、新たに固定資産税が課せられることになった年度から3年度分の固定資産税に限り、課税標準を、課税標準となるべき価格から以下の割合に軽減するとしています。
適用期限は令和5年度末までとなります。
対象設備 | 発電出力 | 課税標準※① | 要件 |
太陽光発電設備 | 1,000kW以上 | 3/4
(7/12~11/12) |
FIT・FIP認定外
自家消費型補助金※② の交付を受け取得した設備 |
1,000kW未満 | 2/3
(1/2~5/6) |
※①:軽減率について、各自治体が一定の幅で独自に軽減率を設定できる「わがまち特例」を適用する。(上表の括弧書の間で設定)
※②:環境省予算「再生可能エネルギー事業者支援事業費」(令和2年度再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業の第6号事業、令和3年度以降はソーラーカーポートの導入を行う事業)が該当する。
太陽光発電にかかる固定資産税はいくら?
太陽光発電設備で課税対象となる場合、固定資産税の計算方法について解説していきます。
太陽光発電にかかる固定資産税の計算方法
計算式:課税評定額 × 税率1.4% = 固定資産税
固定資産税の税率は課税評価額の1.4%で、耐用年数17年に応じて減価率が設定され償却資産税は年々減少します。
また、新たに固定資産税が課せられることになった年度から3年度分の固定資産税に限り、課税標準の特例措置が提要されるので、3分の2に減免されます。
では、具体的に、固定資産税の計算をシュミレーションしてみましょう。
1年目の固定資産税額の計算
※初年度の減価率:0.064
500万円 ×(1-0.064)= 468万円(課税評価額)
468万円 × 税率1.4% ×2/3=43,680円 ←1年目固定資産税
2年目の固定資産税額の計算
※2年目以降の減価率0.127
468万円 ×(1-0.127)=4,085,640円(課税評価額)
4,085,640円 ×税率1.4% ×2/3=38,132円 ←2年目の固定資産税額
3年目の固定資産税額の計算計算
4,085,640円 ×(1-0.127)=3,566,763円(課税評価額)
3,566,763円 × 税率1.4% × 2/3=33,289円 ←3年目の固定資産税額
太陽光発電の固定資産税はいつまで払うの?
太陽光発電は、耐用年数17年を目途に固定資産税の支払いは減少していきますが、17年間は税金を支払い続けることになります。
もし、18年目も継続して太陽光発電を利用し続ける場合は、固定資産税もかかります。
固定資産税の申告は、自治体の税務事務所あてに年4回【6月/9月/12月/2月)に分割で納付することができます。
毎年1月1日時点の資産状況に応じて償却資産報告書に記入し、1月末日までに届出を行います。
後付けで太陽光発電を付ければ固定資産税はかからない?
固定資産税をかからないようにするためには、太陽光パネルの設置方法を家屋一体型ではなく
後づけにする方法があります。
固定資産税がかからない理由
屋根の上に架台を設けて後付けで太陽光パネルを設置するため、屋根とは別ものと見なされるので、非課税となります。
一方、新築時に屋根一体型で太陽光パネルを設置した場合は、家屋の一部を見なされるため課税対象となります。
太陽光発電を後付けのメリット
新築の場合 | 後付けの場合 | |
工事依頼する会社 | ハウスメーカー/太陽光専門業者 | 太陽光専門業者 |
固定資産税 | 必要 | 不要 |
ローンの利用法 | 住宅ローン/ソーラーローン | ソーラーローン |
屋根の設計の自由度 | ある | 欠ける |
設置場所の選択 | 設置場所を先行して決められる | 既存の場所で工夫する |
施工費用 | 後付けより安くなる | 新築より高くなる |
太陽光発電で後付けするメリットを確認しておきましょう。
- 固定資産税がかからない
- 時間をかけて導入できる
- 工事業者の選択が広くなる
- 屋根リフォームしてから設置できる
固定資産税がかからない
太陽光発電は設置条件によって固定資産税の課税対象になる場合とならない場合があります。
新築時の場合は、住宅の一部として設計されていると見なされるため課税対象になります。
一方、後付けする場合は、いつでも取り外しができる設置と見なされるため、非課税になります。
ただし、発電容量が10kW以上ある場合は、収益目的と見なされるため、後付けであっても課税対象になります。
時間をかけて導入できる
太陽光発電を後付けする場合は、製品情報を集めたり、屋根の状態を点検してから考えるなど、ゆっくり時間をかけて導入を検討することができます。
太陽光発電の商品は、複数のメーカーから見積もりを取って価格を比較したり、自宅に合うシステムについて相談することもじっくり時間をかけて行うことができます。
新築時であれば、他の設備工事の施工計画や費用などと折り合いを付けながら進行する必要がありますが、後付けであれば、太陽光発電だけに集中して進めることができます。
余裕を持って調べたり相談できれば、後から後悔することもなく導入することができます。
工事業者の選択が広くなる
新築時に太陽光発電を設置する場合は、そのときに建築を依頼している施工会社が行うようになるのが一般的ですが、後付けであれば、工事業者の選択は自由で、複数社から商品と工事内容を比較検討できます。
太陽光発電の設置で後悔したケースを参考にすると、販売会社1社のみで決めてしまったので失敗したという声も多くあります。
太陽光発電を後付けする場合は、時間の余裕があるので、複数社の商品の品質、価格、工事費用などを比較できるメリットは大きいと言えるでしょう。
屋根リフォームしてから設置できる
後付けで太陽光発電を設置する場合は、屋根リフォームをしてからパネル設置工事をすることも可能です。太陽光発電を最適に活用するためには、屋根の状態が大きく影響します。
国税局が定める太陽光発電設備の法定耐用年数は17年です。
メーカー保証は最低でも10年保証となっています。長く活用し続けるためには、定期的なメンテナンスも必要ですが、まずはじめに設置する屋根の状態を最適化しておくことが必要です。
屋根リフォームしてからになると、初期費用が高くなりますが、太陽光発電を長期的に活用して電気代削減や売電収入により経済的なメリットをたらすためには、一番はじめに設置する屋根について検討することをおすすめします。
固定資産税がかからないようにするポイント
固定資産税が非課税になるには、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 太陽光発電設備の容量が10kW未満である場合
- 売電収入が20万円未満である場合
- 評価額が150万円以下になった場合
太陽光発電設備の容量が10kW未満である場合
一般的に、住宅用太陽光発電設備は10KW未満の場合が多くなっていますが、10KW以上の設備を導入した場合、全量売電や余剰売電などの規模に関わらず、事業用の資産とみなされるため固定資産税がかかってしまいます。
ただし、10KW未満の設備の場合は、売電収入があっても事業用資産にはならないので、非課税となります。
太陽光発電の売電収入が20万円未満である場合
太陽光発電の売電収入の額が20万円未満の場合は、固定資産税はかかりません。
売電収入は雑所得として計算されます。雑所得とは、収入から必要経費を引いた所得金額を示し、これらは、太陽光発電の導入費用と見なされます。
雑所得が年間20万円未満の場合には、所得の申告が不要で固定資産税もかかりません。
一方、年間20万円以上の売電収入が有った場合は、課税対象となります。
評価額が150万円以下になった場合
太陽光発電設備の評価額が150万円を切った場合は、固定資産税はかかりません。
太陽光発電に限らず償却資産は、経年劣化していきます。したがって償却資産については評価額の合計が150万円を切れば、非課税の対象となります。
例えば、太陽光発電設備の初期費用が300万円だった場合、6年目から評価額が150万円以下になる計算になります。つまり、固定資産税を5年間支払って6年目から非課税にするためには、初期費用の金額を300万円前後で抑えることが必要となります。
初期費用を抑えると固定資産税も安くなると考えておくと良いでしょう。
なお、評価額の計算は、減免特例率によって変動するため、具体的な数値から算出してください。
まとめ
太陽光発電設備を導入する際は、課税となるケースと非課税となるケースがあります。
ご自宅の設置条件や太陽光パネルの容量、売電収入、初期費用などから、固定資産税の対象となるかならないかチェックするようにしましょう。