太陽光発電システムは、正しい利用方法を踏まえて危険性を伴う内容について理解しておくことをおすすめします。
太陽光パネルは、自然環境の影響を受けやすい屋根の上に設置するため、台風や地震などの影響で飛来や破損の恐れがあります。過去に暴風雨による太陽光パネルの落下事故も発生しています。
自然災害による被害や、知識不足から感電や火災などを起こす可能性もあります。
本記事では、太陽光発電の危険性について、注意点と過去の事例を解説します。
太陽光発電の危険性
太陽光発電を利用する際は、取り扱いについて事前に注意事項をチェックしておくことをおすすめします。
まずは、太陽光発電が危険であると言われている理由について確認しておきましょう。
- 太陽光パネルの有害物質
- 破損パネルから感電
- 電磁波による被害
太陽光パネルに含まれる有害物質の危険性
太陽光パネルには、以下の有害物質が含まれています。健康上で影響のある症状を知って、被害を受けないように気を付けましょう。
- 鉛:低濃度の鉛を長期間に摂取し続けると子供の認知発達、知的行動への悪影響が懸念されています。
- セレン:吸入した場合、鼻刺激、咳、めまい、頭痛、息苦しさ、吐き気、咽頭痛、嘔吐、脱力感などの症状が遅れて現われることがあります。
皮膚に付着すると、発赤、皮膚熱傷、痛み、変色が見られます。
眼に入ると発赤、痛み、かすみ眼になるケースがあります。 - カドミウム:長期間に過剰摂取すると腎臓、肺、肝臓 に障害を生じる場合があります。また、カルシウム代謝を悪くして、骨粗鬆症、骨軟化症を発症させる原因となっています。
- アンチモン:皮膚に付着すると、皮膚の乾燥の原因になります。
飲み込んだ場合は、腹痛、灼熱感、下痢、嘔吐、などを引き起こすこともあります。その他、火災による毒性のガスを発生するおそれがあり、発がん性も指摘されています。 - 銀:体内に入ると皮膚が灰青色になり、銀沈着症の危険性があります。
ヒ素:短期間に大量摂取すると、発熱、下痢、嘔吐、脱毛などの症状がでることがあります。
破損したパネルからの感電の危険性
太陽光パネルが暴風雨などで屋根から落下して破損している場合、触ると感電の恐れがあります。太陽光パネルは、たとえ破損してたとしても、太陽光が当たると発電を続けるため、そのまま触ってしまうと感電します。
したがって、太陽光パネルが落下した場合は、専門の撤去業者が来るまで、そのまま触らず処理作業を待つようにして下さい。
また、太陽光パネル以外に、配線ケーブルの内部がむき出しなっていると、そこから感電します。他にも、雨の日に、太陽光発電システムが漏電していると感電リスクに繋がります。
電磁波の影響による健康被害の危険性
太陽光発電 の電磁波による危険性は、あまり深刻に考える必要はありません。
目安として、毎日使っている家電製品と同じ電磁波くらいと考えると良いでしょう。
電磁波の影響で頭痛やめまいなどが起こると訴える、いわゆる「電磁過敏症」の症状については、電磁波が関連するという科学的根拠はないという見解がでています。
太陽光発電に関わる近隣トラブルでは、電磁波の問題でもめるケースもありますが、トラブルに巻き込まれないように正しい知識を理解しておくことをおすすめします。
電磁波が発生するのは、「電界」と「磁界」両方が存在する場合で、太陽光発電システムの中で パワーコンディショナーのみになります。
パワーコンディショナーの電磁波の強さについては、以下の数値を確認しましょう。
WHO(世界保健機関)による、電磁波の健康への影響に関する国際的なガイドラインでは、『最新の科学的知見に基づき、ふだんの生活のなかで浴びる磁界のガイドライン値を「200マイクロテスラ」(50ヘルツ、60ヘルツの商用周波数)とする。』と示しています。
したがって、パワーコンディショナーの電磁波とガイドラインの数値(200マイクロテスラ)と比べてもわかるように、健康に影響する心配はないと考えてよいでしょう。
さらに、安心するために数値として、パワーコンディショナーよりも電磁波の大きい家電製品を 紹介しておきます。
- 電動歯ブラシ:最大値38マイクロテスラ
- 電気カーペット:最大値12マイクロテスラ
- 温水洗浄便座:最大値12マイクロテスラ
太陽光発電による事故はある?~事故事例~
経済産業省が調査した太陽光発電の事故事例について紹介します。
兵庫県姫路市の発電所の事故事例
⼤阪府⼤阪市住之江区の発電所の事故事例
太陽光発電を安全に使い続ける為に…危険性の対処方法
太陽光発電システムを利用する場合、危険リスクを回避するために以下の対処法を確認しておきましょう。
自然災害等で太陽光パネルが破損、飛来した場合は、所有者は、速やかに専門業者に連絡して撤去作業を依頼して下さい。破損した太陽光パネルに触れたりすると、感電の恐れがありますので、絶対に触らないことが重要です。
また、所有者は、 周囲への影響を考慮して、近隣住民に危険性を知らせて第二被害を起こさないように注意しましょう。
また、太陽光発電の維持管理について、安全に利用し続けるためにも保守点検が必要です。
住宅用太陽光発電10kw未満の設備は、メンテナンスが義務化となっていますので、定期的にメンテナンスをするように計画しましょう。
さらに、日常的に目視点検をして、故障や異常を発見した際は速やかに修理対応するようにして下さい。
発電量モニターを設置して、発電量の異常が見られた際は、太陽パネルまたはパワーコンディショナーなどの点検のために専門業者に依頼しましょう。
自然災害による被害については、メーカー保証の対象外となる場合もあります。日本は災害が多い地域も多いため、太陽光発電を利用している住宅では、自然災害に対応している保険に加入することを検討すると良いでしょう。
危険性を知ったところで、太陽光発電のメリットもチェック
太陽光発電システムにも関わる危険性を踏まえて、続いて太陽光発電のメリットとデメリットについて確認しましょう。
太陽光発電の メリット
- 電気代が安くなる
- 売電収入が増える
- 非常時でも電気を使える
- 夏は涼しく冬は暖かくなる
- エコキュートと併用で節約できる
- 蓄電池とセットでさらにお得になる
- 長期的に利用できる
電気代が安くなる
自家発電で電気を賄うことができるため、電力会社から購入する電気代の節約に繋がります。 電気代を抑える方法としては夜間の安いプランにすれば、昼間は太陽光で発電した電気を使って夜は安い電気代で生活することができます。
売電収入が増える
太陽光発電で使いきれなかった余剰電力を売って収入にすることができます。
売電価格の変動を確認して良いタイミングで契約すると良いでしょう。
非常時でも電気を使える
太陽光発電と蓄電池をセットで利用すると、停電時に貯めておいた電力を有効活用することができます。太陽光発電は夜は発電しないので蓄電池を設置して昼間の電力を使うことができます。
夏は涼しく冬は暖かくなる
屋根の上に太陽光パネルを設置するので、パネル下の室温が快適になる効果があります。
架台を設置した場合は屋根材と太陽光パネルの間の空気層によってさらに効果が高まります
お部屋の温度を調節できると、エアコンや暖房機器の消費電力も小さくなるため節約効果も高まります。
エコキュートと併用で節約できる
夜の安い電気代でエコキュートを使ってお湯を沸かし、電気代の高い昼間は、太陽光発電の発電量を使って家庭の消費電力を賄うことができます。
また、エコキュートと太陽光発電を連携すれば、昼間に使用する電気消費量が減るので、余剰電力が増えて売電収入を増やすこともできます。
蓄電池とセットでさらにお得になる
発電した電気を蓄えられるので、災害時や停電時に非常用電源としても活用できます。
また、余剰電力をうまく利用するには蓄電池があると効果的です。
長期的に利用できる
太陽光パネルの寿命は30〜40年で、製品メーカーごとに15〜25年の長期保証が受けられるため、一度導入すれば長く利用することができます
太陽光発電 の デメリット
- 天候に左右される
- 初期費用が高い
- 売電収入だけでは難しい
- 設置場所で発電効果が下がる
- 屋根の状態によって設置できない
- 不備工事のトラブルがある
天候に左右される
- 雨や曇りの日が続くと発電効率は低くなります。
- 曇りの日の発電量は約40〜60%まで、雨の日は約25%まで低下します。
デメリットの解消策
天候に左右されやすいことを予測して蓄電池を設置することや、変換効率20%以上の性能の良い太陽光パネルを設置すると良いでしょう。
晴天が続いていても発電量が少ない場合は、設備機器の故障も考えられますので、
早めに専門業者に依頼して点検することをおすすめします。
初期費用が高い
- 太陽光発電システムの費用は高く、設備費用以外に工事費用と維持費(メンテナンス費用・保険料・撤去費用)等がかかります。また、メーカー保証の対象外の場合、修理・交換費用が発生します。
デメリットの解消策
システムを導入する前にシュミレーションしてから必要な設備を準備しましょう。
設置業者選びで失敗しないように複数社に見積もりを依頼して比較検討することをおすすめします。また、節電や売電収入による費用対効果を見極めることが大事です。初期費用を抑える方法として補助金制度を使ったり、ソーラーローンを利用することもできます。メーカー保証の内容も確認してください。
不良工事は、太陽光パネルの落下や破損の原因になります。適切な業者を選ぶことが必要です。また、太陽光パネルの維持管理のために、メーカー保証内容はしっかり確認しましょう。
売電収入だけでは難しい
- FIT制度の買取価格が年々下落傾向にあるため、契約のタイミングがポイントになります。
- 1kWhあたり「42円」だった買取価格は、2022年には「17円」へと年々下落しています
デメリットの解消策
FIT制度の買取価格の変動をチェックして10年間の売電収入のシュミレーションをすることをおすすめします。売電収入以外に自家消費する方法も検討すると良いでしょう。
電気を貯められる蓄電池はあった方がお得です。
設置場所で発電効果が下がる
- 太陽光パネルの設置場所によって発電効率が下がる場合もあります。
- 北向きに太陽光パネルを設置すると反射トラブルが起きる可能性が高くなります。
- 積雪地域、塩害地域の場合、発電効果についてシュミレーションが’必要です。
デメリットの解消策
太陽光パネルの設置は、南向きにすると発電量が多くなります。地域、天候、時間帯、季節などによる発電量の変動の要因を確認しておきましょう。
特殊な地域の場合、耐久性の良い製品がおすすめです。塩害被害や積雪被害を受けやすい地域に太陽光発電を設置する場合、地域性に特化した業者を選んで、環境による被害を受けないように事前に相談することをおすすめします。
屋根の状態によって設置できない
- 築年数のある住宅屋根や劣化が進んでいる屋根は、設置が難しい場合もあります。
デメリットの解消策
設備の導入前に、屋根の点検を専門業者に依頼します。屋根が劣化している場合は、修繕リフォームが必要です。設置業者選びは慎重に行いましょう。
不備工事のトラブルがある
- 良い設備を準備しても施工不良の場合は、導入効果は難しくなります。
- 施工不良で雨漏り問題が発生する場合や、法外な契約金額でセールスされることもあります。
デメリットの解消策
設置業者は複数社から選び、実績・経験のある専門業者を見極める事が大事です。
サポート体制のある業者を選びましょう。
太陽光パネルの施工不良は、台風や暴風雨によって、落下のリスクを伴います。
太陽光発電の工事費を安くして手抜き工事をする業者も存在しています。
悪徳業者による手抜き工事は、後に大きな事故に繋がる可能性がありますので、
設置業者選びには充分注意しましょう。
まとめ
太陽光発電は、導入前の基礎知識として危険性を伴う内容について理解しておきましょう。
後になって大きな事故にならないように日頃から保守点検が必要です。
また、もしトラブルが発生した場合は、自分で処理しないように専門業者に依頼して対応してもらいましょう。