太陽光発電は、余剰電力を売電したり、自家消費して電気代を安くできるメリットがあります。
そこで、実際のところ電気代はどのくらい安くなるのか?気になっている方も多いでしょう。
本記事では、太陽光発電で電気代が安くなる仕組みや、月々の電気代を0円に近づけるコツについて解説していきます。
太陽光発電で電気代は安くなる?安くならない?
太陽光発電を導入するメリットのひとつが電気代が安くなることです。どうして、安くなるのか?その仕組みについて確認していきましょう。
まずは、太陽光発電システムの仕組みについて簡単に説明しておきます。
太陽光発電システムを稼働させるためには、主な機器「太陽光パネル」や「パワーコンディショナー」を準備します。
太陽光発電で電気を作る仕組みについては、「太陽電池」を集めた「太陽光パネル」に太陽光が当たると、光電効果が起こって電気の流れが生じるようになります。
このように、太陽エネルギーを利用して「太陽光パネル」と「パワーコンディショナー」を連携させて電気を作るシステムが太陽光発電です。
では、どうして電気代が安くなるのでしょうか?
太陽光発電システムを利用すると発電した電気を使うようになるので、電力会社から購入する電気量が減ることになります。買電量を減らすことができれば電気代が安くなるということです。
太陽光パネルで最適な発電効果を生み出すことができれば、自給自足の電気を作って生活できるようになります。
つまり、太陽光発電で発電した電気をたくさん作ることができれば、電気代を0円に近づけることも可能だということです。
さらに、発電した電気を使いきれずに余った場合には、FIT制度を利用して売電収入に繋げることも可能です。
では、具体的に、電気代の削減額はどれくらい見込めるのか?説明していきます。
電気代の削減額はどの程度なのか
太陽光発電を導入すると電気代はどれくらい節約できるのか?
経済産業省のデータを基準に、太陽光発電設備(容量5kW)を利用した場合の電気代のシミュレーションをしてみましょう。
容量5kWの太陽光発電の場合で計算すると、年間平均発電量は、6,075kWhになります。
売電収入の年間平均売電量については、4,216kWhです。
年間売電収入は、4,216kWh × 17円(買取価格) = 71,672円の計算になります。
電気代の削減額については、
したがって、太陽光発電を導入する経済利益は、
では、従来通り電気代を払った場合と容量5kWの太陽光発電の場合について収支計算してみましょう。
5kWの太陽光発電を導入した場合の年間電気代節約額は、129,301円です。
129,301円―123,804円=5,497円
したがって、太陽光発電を導入することで+5,497円の計算になります。
なお、以上のシュミレーションについては、太陽光発電の容量、各家庭のライフスタイルや世帯人数などによって変わってきますので、あくまでも参考値となります。
参考値からもわかるように、太陽光発電を導入することで電気代が安くなり、利用状況によっては電気代を0円に近づけることも可能となります。
太陽光発電で電気代をゼロ円に近づけるコツ
では、太陽光発電で電気代をゼロ円に近づけるためには、どんなコツがあるのでしょうか?
具体的なポイントを解説していきましょう。
- 発電量と電気使用量のバランスを考える
- 発電量の低下に関わる要因を知る
- 売電収入を得る
- 蓄電池を併用して電気を貯める
- エコキュートを併用して光熱費を減らす
- 節電を心がけで買電量を減らす
- 電力会社のプランを見直す
発電量と電気使用量のバランスを考える
太陽光発電を利用する上で肝心なのが、どれだけの発電量が得られるか?事前にシュミレーションをしておくことです。
簡単に考えると、1日の発電量に対して、自宅の電気使用量が少なければ、電気代をゼロ円に近づけることができるということです。
太陽光発電の発電量については、設置する地域、季節や天候、時間帯や月別などによって変動しますので、導入前に電気代のシュミレーションも踏まえて発電量とのバランスを計算しておきましょう。
自宅で使用する家電やPCなどの電気消費量に対して、どれだけの発電量が見込まれるのか?計算しておくことが節電効果に大きく影響します。
発電量の低下に関わる要因を知る
太陽光発電の発電量は、主に以下の要因で変動するケースが多くなります。
太陽光発電は天候に左右される
雨や曇りの日は、太陽光発電の発電量が見込めないので、その分、買電量が増えます。
発電量のシュミレーションは、ご自宅の地域の年間の天気や降水量、気温などのデータも含めてリサーチしておくことが必要になります。
夜、日が沈むと発電しない
太陽光発電は、昼間に発電した電気を貯めておくことができないので、発電しない夜には電気代がかかります。
そこで、夜間の電気代をなるべく減らすために、電力会社の料金プランを見直すと電気代の節約に繋がります。
季節によって発電量は変動する
太陽光発電で一番発電する月は、4月、5月頃です。
日射量の多い、7月、8月は気温が高くなると発電効率が低下します。
6月の梅雨シーズンや9月の台風による影響もあります。
また、日射量が多く晴天であってもパネルの表面温度が25℃以上になると発電量は低下します。
地域性によって発電量は変動する
積雪地域や塩害地域などでは、自然環境の影響で発電量の変動が大きくなる傾向です。
そこで、特殊な地域では、耐久性の高い設備を選んで、地域性に合った適切な施工を行うことをおすすめします。
また、自然災害補償についても確認しておきましょう。
売電収入を得る
太陽光発電で売電収入を得るには、余剰電力を増やしてできるだけ売電に回すことが必要です。
つまり、昼間に家庭で使う電気をなるべく節約すれば、余った電気は余剰電力として収入が増えるということになります。
ただし、FIT制度による電気の買取価格は、年々値下がりの傾向にあるため、買取価格の変動はチェックが必要です。
蓄電池を併用して電気を貯める
太陽光発電で発電した電気をいつでも使いたい場合は、蓄電池と併用すると便利です。
また、蓄電池は、災害時や停電時に非常用電源を確保することもできます。
電気代をゼロ円にするのが難しくなる理由として、天候に左右されることがありますが、蓄電池を併用して利用すれば、晴天の日に発電した電気を、天気の悪い日でも使うことも可能になります。
また、太陽光発電の売電契約が終了する卒FITの10年後に向けて蓄電池を設置しておくと、自家消費型にシフトできて経済的なメリットにも繋がるでしょう。
なお、蓄電池を導入する際は、自宅の電気消費量に合った容量の機器を選ぶようにしましょう。
エコキュートを併用して光熱費を減らす
エコキュートと太陽光発電を一緒に連携した場合は、太陽光発電の発電量と電気会社の電気プランをうまく併用すれば、電気代の節約と非常時への対策が可能になります。
太陽光発電の余剰電力でエコキュートを利用して昼間にお湯を沸かせば、深夜電力ではお湯を沸かす量を抑えることが可能になります。
電力の値上がりが気になるところですが、エコキュートと太陽光発電を連携すれば、電気代のやりくりができるようになります。
太陽光発電では売電価格の低下などにより、自家消費型へのシフトをするためにも、エコキュートと連携して活用すれば、余剰電力を無駄なく使うことも可能になります。
節電を心がけで買電量を減らす
太陽光発電の発電量をなるべく使って、電気代をゼロ円に近づけるには、まずは日頃から節約を心がけることが基本です。
いくら性能の良い太陽光発電パネルや蓄電池を導入しても、電気の使い方が大雑把であれば、導入効果はあまり期待できないと言えるでしょう。
基本的には、電力会社の買電量を減らすことが目的なので、普段のライフスタイルを見直して、無駄な電気を使わないようにしましょう。
夜間に必ず使わなくてはならない電気以外は、なるべく昼間の時間帯にシフトして電気代の節約に繋げると良いでしょう。
電力会社のプランを見直す
電力会社の中には、夜間に電気料金が安くなるプランを提供している会社もあります。
夜の電気使用量が多いご家庭では、安いプランに変更すれば、電気代0円に近づけることも可能になります。
夜間電力は、電気料金の単価が、時間帯ごとに設定されている電気料金のプランです。昼間の電気料金の単価よりも安くなっています。
電気会社の料金制を確認する
電力会社から購入する電気は、電気使用量や季節、時間帯等によって料金単価が変わります。
料金単価は使用量に対して以下の3段階の料金制に分けられています。
- 第1段階:【使用量が月間120kWh未満】 電気代が安くなります。
- 第2段階:【使用量が月間120kWh〜300kWh未満】電位代が’が’平均額になります。
- 第3段階:【使用量が月間300kWh以上】 電気代が割高になります。
このように、電気使用量によって電気料金が変動するため、太陽光発電を利用することによって、 電気代の削減額が大幅に変わってくることになります。
また、電気会社の料金制に影響する、季節や時間帯による料金単価についても確認しておくと良いでしょう。
- 季節別料金制:夏期(7〜9月)の料金単価は、その他の季節の1割増しです。
- 昼夜別料金制:昼間と夜間で料金単価が違います。
太陽光発電で得られる発電量は、季節や時間帯等によって大きく変動するため、変動する要素と電気会社の料金制と照らし合わせて、節電のための計画を立てておくと良いでしょう。
電気代削減以外にある?太陽光発電のメリット
では、電気代の削減のほかにどんなメリットがあるのか?解説していきます。
- 余剰電力で収入が増える
- メンテナンス費用が抑えられる
- 災害時でも電気を使える
- 夏は涼しく冬は暖かくなる
- エコキュートと併用で節約できる
- 蓄電池とセットでさらにお得になる
余剰電力で収入が増える
- 固定価格買取制度(FIT制度)を利用して売電収入を得ることができます。
- 住宅用太陽光発電10kW未満の場合、固定買取価格で10年間売電できます。
- 余剰電力が増えれば、初期費用の回収期間が短くなります。
- 買取価格は、年々下落傾向にあるため、できるだけ早めの契約がおすすめです。
メンテナンス費用が抑えられる
- 太陽光発電を長期的に利用するには、適切なメンテナンスが重要です。
- 太陽光発電のメンテナンスは、法律では最低4年に1回が義務化となっています。
- メンテナンス費用相場は、およそ1回あたり1〜2万円程度なので、4年に1回の出費ならば負担も抑えられます。
- もし、故障・交換が必要となった場合、メーカー保証期間内であれば無償で対応してもらえます。
災害時でも電気を使える
- 太陽光発電は、停電や災害時にも使うことができます。
- 非常時に使える家電の消費電力の合計の目安は、1.5kW以下です。
- 夜の停電には、太陽光発電に蓄電池を併用すれば利用できます。
夏は涼しく冬は暖かくなる
- 太陽光パネルを設置した屋根下の部屋は、室温が下がる効果があります。
- 冬は屋根からの放射冷却が抑えられるので、屋根下の部屋の室温を暖かく保つことができます。
エコキュートと併用で節約できる
- エコキュートと太陽光発電を併用すると、給湯にガスを使わないためオール電化に切り替えが可能です。
- 昼間は太陽光発電で発電した電気を使って、夜間の電気料金が安いプランを使ってエコキュートでお湯を沸かすと光熱費を抑える効果があります。
蓄電池とセットでさらにお得になる
- 災害時や停電時に非常用電源としても活用できます。
- 普段使用する光熱費の削減にも繋がります。
- 余剰電力が多くなれば売電収入を増やすことができます。
- 天候の悪い日の発電効率を下げないで利用できます。
オール電化との組み合わせによる節電効果
オール電化住宅で、さらに太陽光発電を導入した場合は、発電量を売電できたり蓄電池と併用して自家消費できるため、電気代の節約に繋がるメリットがあります。
ただし、電気代の節約効果を高めるためには、各家庭ごとの利用環境について確認しましょう。
例えば、世帯数、設置する地域、契約する電力会社のプラン等によっても節約効果は変わってきます。また、最近の家電製品は省エネ機能が充実していますので、選ぶ機種によっても電気代は変動します。
ちなみに、オール電化とガス併用で毎月の平均費用を比較した場合も、世帯数やライフスタイル等によって異なります。
ガス代は、世帯数により平均3,104円〜5,036円で、+電気代平均12,697円を加えると ガス代と併用して使った方がオール電化よりも高くなる場合もあります。
エネルギー価格が世界的に高騰していることを踏まえると、今後もガス料金、電気料金ともに値上がりしていく傾向にありますので、ご家庭のエネルギー消費量や節約できる条件を検討して太陽光発電の導入を検討すると良いでしょう。
まとめ
太陽光発電を導入すると電気代が安くなるメリットがあります。
電気代をできるだけ0円に近づけるためには、太陽光発電の発電量をできるだけ増やして自家消費することや余剰電力を売電するなどで節約効果をあげることが必要です。
また、太陽光発電に蓄電池を併用することで、さらに導入効果が期待できます。
なお、電気代を節約するためには、太陽光発電を導入する前にしっかり電気代のシュミレーションを行って、導入効果が得られるようにしていきましょう。