電気自動車(EV)の導入について、ガソリン車と比べてお得なの?充電すると電気代が高くなるんじゃない?等、気になる点も多いでしょう。
電気代・ガス代の負担を考えると、電気自動車の強みを知って導入すれば、費用を抑える方法としておすすめです。
電気自動車は、太陽光発電を一緒に使うと電気代の節約や停電時対策になる等、たくさんのメリットがあります。
本記事では、太陽光発電と電気自動車を一緒に使うメリットと蓄電池代わりにもなるV2Hについて解説します。
電気自動車と太陽光発電を一緒に使うメリット
電気自動車と太陽光発電を一緒に利用すると、それぞれの特徴を連携させてさまざまなメリットを得ることができます。
では、まずはじめに電気自動車、太陽光発電それぞれのメリットについて確認しておきましょう。
電気自動車のメリット
電気自動車とは、バッテリーに蓄えられた電気でモーターを駆動させる自動車です。
車を走らせる燃料が、ガソリンで走るガソリン車に対して電気で走るのが電気自動車の違いがあります。
では、電気自動車にはどんなメリットがあるのでしょうか?
- 環境負荷を減らせる
- ランニングコストが安い
- 走行音が静かで滑らか
環境負荷を減らせる
電気自動車は二酸化炭素を排出しないため、ガソリン使用の自動車とは異なり、環境負荷を減らして地球にやさしい社会づくりに貢献することができます。
ガソリン車は、ガソリンの燃焼により二酸化炭素を発生しますが、電気自動車はバッテリーの電気でモーターが動く仕組みとなるため、走行中に二酸化炭素を排出しません。
昨今の脱炭素、カーボンニュートラル促進の動きに伴って、電気自動車は、環境負荷を減らす車として注目が集まっています。
コストが安い
電気自動車はガソリン車よりもランニングコストを抑えることができます。
走行距離が同じ場合、電気代の方がガソリン代よりも安くなる傾向です。
また、再生可能エネルギー賦課金や燃料調整費の値上がりなどによって、高い電気代が気になるところですが、電力自由化によって新電力会社との契約も可能になっており、さらに割安になる深夜プランに切り替えると電気代を安くすることができます。
走行音が静かで滑らか
ガソリン車の場合、エンジンをかける際に騒音や振動が発生しますが、電気自動車の場合は、バッテリーで駆動するモーターシステムなので、ノイズ音が無く静かに走行することができます。
また、ガソリン車と比べて電気自動車は、電気信号によって駆動するため、加速性能が高く滑らかに素早く発進することができます。
電気自動車の加速は、アクセルペダルの踏み加減でスピードをコントロールすることが可能です。
太陽光発電のメリット
では、太陽光発電のメリットについて確認しましょう。
- 電気代が安くなる
- 余剰電力で収入が増える
- 災害時でも電気を使える
- エコキュートと併用で節約できる
電気代が安くなる
太陽光発電を利用すると買電量が減って電気代が安くなります。
電気代を安くするためには、発電量をできるだけ増やす設備を整えましょう。
余剰電力で収入が増える
固定価格買取制度(FIT制度)を利用して売電収入を得ることができます。
住宅用太陽光発電10kW未満の場合、固定買取価格で10年間売電できます。余剰電力が増えれば、初期費用の回収期間が短くなります。
買取価格は、年々下落傾向にあるため、できるだけ早めの契約がおすすめです。
災害時でも電気を使える
太陽光発電は、停電や災害時にも使うことができます。
非常時に使える家電の消費電力の合計の目安は1.5kW以下です
。なお、太陽光発電の電気は、夜には使えないので蓄電池の併用がおすすめです。
エコキュートと併用で節約できる
エコキュートと太陽光発電を併用すると、給湯にガスを使わないためオール電化に切り替えが可能です。
昼間は太陽光発電で発電した電気を使って、夜間の電気料金が安いプランを使ってエコキュートでお湯を沸かすと光熱費を抑える効果があります。
電気自動車と太陽光発電を一緒に使うメリット
では、続いて、電気自動車と太陽光発電を一緒に使うメリットを解説していきます。
- 電気代の節約に繋がる
- 蓄電池の代わりに使える
- 環境にやさしい
電気代の節約に繋がる
ガソリン代に比べて電気代が安いということを踏まえて、太陽光発電と連携することでさらに電気代の節約に繋げることができます。
太陽光パネルで発電した電気を使って電気自動車の充電をすれば、電気会社から買う電気を使わず安く抑えることができます。
また、太陽光発電を利用する場合、固定価格買取制度(FIT制度)を使って売電収入を得ることが可能ですが、売電価格は年々低下傾向になりますので、売電するよりも余剰電力を自家消費する方がお得だと言われています。
自家消費する方法として発電した電気は、電気自動車の充電に有効利用することができます。
蓄電池の代わりに使える
電気自動車は、蓄電池の代わりに使うことができます。太陽光発電は、太陽の出ない夜には発電しないため、発電した電気を貯めておくためには蓄電池が必要になります。
そこで家庭用に設置する蓄電池ではなく、電気自動車を蓄電池として利用できれば、自動車としての役割に加えて太陽光発電+蓄電池のメリットを得ることが可能になります。
電気自動車を蓄電池として使う場合、家庭用の蓄電池よりも大きい容量を確保できます。
- 家庭用蓄電池の容量:5~7kWh程度
- 電気自動車の蓄電池の容量:40kWh、62kWhのバッテリー(日産リーフの場合)
太陽光発電 で、電気自動車「日産リーフ」 を充電する場合、フル充電しておくと停電時に約2〜4日分の電源を確保できます。
環境にやさしい
太陽光発電で利用する再生可能なエネルギーのメリットは、石油、石炭、天然ガスなどの資源に限りのある化石燃料エネルギーとは異なり、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、資源が枯渇せず繰り返し利用できることです。
太陽光エネルギーは、発電する際に二酸化炭素を排出しないため、環境にやさしいエネルギー源として長期的に利用できるメリットがあります。
さらに、電気自動車は、電気を利用するため、ガソリン車のように二酸化炭素を排出しないため、電気自動車と太陽光発電を一緒に利用することは、それぞれのメリットを最大限に活かす方法となります。
太陽光発電で電気自動車EV充電する時間
電気自動車を充電するには、車種によって異なりますが、およそ5時間以上10時間前後かかります。
ガソリン車の場合は、ガソリンスタンドで給油する時間は数分程度となりますが、電気自動車の稼働準備のために、充電時間が必要になります。
ただし、ガソリン車で満タンにしておくように電気自動車をフル充電しておく必要はありません。目安としては、電池の残量が30%を切る前に、およそ80%程度で充電をしておくと良いでしょう。
また、電気自動車の充電について、2つの設備「普通充電器」と「急速充電器」について確認しておきましょう。
- 普通充電器
自宅でする充電や、電気自動車を走行中に外出先の施設(コインパーキング、ホテル、商業施設)等で使える充電器
出力3〜6kW程度/充電時間17時間くらい/価格相場17~80万程度
- 急速充電器
高速道路や長距離移動が行われる路線(高速サービスエリア、コンビニ、商業施設等)に設置されている充電器
出力20〜50kW程度/充電時間30分くらい/価格相場200~1000万円程度
では、自宅で充電する場合、どのくらい充電に時間がかかるのか?具体的に計算してみましょう。
80%まで充電するには、40kWh × 80% =24kWhの電力量が必要になります。
充電に8時間が必要になる計算になります。
電気自動車の車種によって普通充電できる出力が異なるため、車の仕様に合わせて確認しましょう。
また、ガソリン車に比べると走行準備に時間が必要になるイメージですが、実際は、電気自動車を使わない夜間に充電できれば、寝ている間に充電完了するのであまり充電時間の長さは気にならないと言えるでしょう。
蓄電池代わりにもなるV2Hとは?
太陽光発電を利用して電気自動車の充電を行う場合、V2Hの仕組みについて確認しておきましょう。
V2Hとは?
V2Hは、「車(Vehicle)から家(Home)へ」という意味で、電気自動車で蓄えた電気を家庭で有効利用しましょうという考え方と、この仕組みを利用した機器を示します。
V2H機器を利用することで、家庭用の電源から電気自動車に充電するだけではなく、電気自動車に貯めた電気を家に送って使うことができるようになります。
V2Hのメリット
では、V2Hのメリットについて確認しましょう。
- 停電しても電気が使える
- 充電時間が短くなる
停電しても電気が使える
停電した時に電気自動車を蓄電池として使うことができます。
家庭用の蓄電池の場合、容量が小さいため、停電が長く続いた時は使う時間は限られます。
一方、電気自動車を蓄電池として使う場合は大容量になるので、およそ3〜5日分の電気を確保することが可能になります。
災害時の電源確保については、家庭用の蓄電池よりも、電気自動車の方が安心対策としておすすめです。
充電時間が短くなる
V2Hは、急速充電できるので短い時間で充電できるようになります。
一般的には、普通充電器と比べて約2倍程度の速さで充電できます。
普通充電器の出力3kWでは、V2Hを導入するとその倍の6kWで充電できるようになります。
なお、蓄電池として利用できるV2Hですが、対応する車種が限定されていますので、導入する際は確認するようにしましょう。
V2Hを選ぶ際のポイント
V2Hを選ぶ場合に抑えておきたいポイントについて解説します。
- 「非系統連系」と「系統連系」について確認する
- 「特定負荷型」と「全負荷型」について確認する
- 定格出力を確認する
- 設置業者選びと保証内容を確認する
「非系統連系」と「系統連系」について確認する
電気の利用範囲の違いによって、「非系統連系」または「系統連系」に分類されます。
- 系統連系
V2Hで使う電気の系統は、「電気自動のバッテリー」「電力会社から購入する電気」「太陽光発電で発電する電気」の3つになります。この3つの電気の系統をすべて利用することができます。
- 非系統連系
V2Hで使う電気の系統、「電気自動のバッテリー」「電力会社から購入する電気」「太陽光発電で発電する電気」の3つの系統を同時に利用することはできません。
したがって、非系統連系型のV2H機器の場合、太陽光発電で発電した電気を電気自動車の充電用に利用できないため注意が必要です。
「特定負荷型」と「全負荷型」について確認する
停電になった際に、家の部屋の範囲まで使えるか?どこまで電気を供給するかによって 「特定負荷型」または「全負荷型」に分類されます。
- 特定負荷型
停電時に使用したい家電や電気機器が限定されます。IHクッキングヒーターなど200V機器の場合は供給できないなど、使えない機器もあります。
- 全負荷型
停電時に家の中の家電や電気機器がすべて使えます。電気自動車のバッテリーの容量で賄える範囲で電気機器を使うことができます。
定格出力を確認する
V2H機器の電力は、3kVA~6kVAの定格出力となります。
定格出力の数値が大きいほど、たくさん電力を消費することができます。
設置業者選びと保証内容を確認する
V2Hの設置業者を選ぶ際は、施工や販売の実績と経験について確認しましょう。
また、V2H以外に太陽光発電システムについても相談できる業者である方が良いでしょう。
工事保証や自然災害補償、アフターフォローサービスなどのサポート体制についても確認しておくことをおすすめします。
V2Hの寿命(耐用年数)はメーカーによって異なりますが、一般的に15年前後となっています。
導入する際に、保証期間についてチェックしておくことをおすすめします。
V2Hを導入する費用相場
では、続いて、気になるV2Hを導入する費用について確認していきましょう。
これらの費用については、V2Hの機能について「非系統連系」または「系統連系」を選ぶか?「特定負荷型」または「全負荷型」を選ぶか?によって変わってきます。
なお、V2Hを導入する際は、補助金を利用できると費用を抑えることができます。
V2Hで利用できる補助金制度
V2H充放電設備の対象となる補助金制度は、お住まいの自治体のホームページより調べることができます。
補助金制度を利用する際は、V2Hに対応している車種についてチェックし、対象条件や金額は随時更新されていますので、最新の情報であるか確認するようにしましょう。
注意点として、補助金制度の予算範囲を超えた場合は、申請期限より締め切りが早まる場合もあります。
また、V2Hの導入で補助金申請をする場合は、設置業者に依頼することもできるため、契約時に合せて相談すると良いでしょう。
V2Hを導入する方法
V2Hを導入する際は、V2H機器を購入して設置工事を行うようになります。
大まかな導入の流れは以下の通りです。
まとめ
太陽光発電システムと電気自動車を一緒に導入すると、蓄電池として利用できるメリットやガソリン代や電気代の節約にも繋がります。また、災害時対策としても安心できる設備としておすすめです。
電気自動車を購入する際は、太陽光発電やV2Hの特徴についてもチェックして、連系できる効果的なシステムを検討すると良いでしょう。