太陽光パネルを選ぶ際は、kw単価、製品のサイズや素材、耐久性、保証内容、メーカーの
特徴など、判断基準はさまざまにあります。
その中でも、特にチェックしていきたいのが、太陽光パネルの変換効率で、太陽光パネルの性能について判断したり目安となる数値となります。
そこで、本記事では、太陽光パネルの変換効率の基礎知識とその他の発電効率が変わる要因、おすすめの太陽光パネルランキングについて解説していきます。
太陽光発電の「変換効率」ってなに?【基礎知識】
変換効率とは、太陽エネルギーを太陽光パネルでどれくらい電気に変換できるか を示した値です。変換効率が高いほど発電量が多くなるため、太陽光パネルを選ぶ際の目安となる値となります。
太陽光発電の変換効率については、以下の2種類を確認しておきましょう。
- モジュール変換効率
- セル変換効率
モジュール変換効率とは
太陽光パネルの1平方メートあたりで、どれぐらい電気に変換することができるかを示す値です。
モジュールは、別名では太陽光パネルやソーラーパネルといい、いずれも太陽エネルギーを受けて電気を生み出す装置の名称です。
太陽光モジュールの変換効率は、だいたい10〜20%が目安となります。
「20%」を超える太陽光パネルであれば高性能の製品であると判断することができます。
セル変換効率とは
太陽電池セル1枚あたりの変換効率を示す値です。
セルとは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変える装置で、モジュールを構成している最小単位の部品です。
つまり、太陽電池の最小単位「セル」を複数組み合わせたものが太陽光パネル(モジュール)ということになります。
基本的には、モジュール変換効率よりもセル変換効率の方が高い数値になる傾向になります。
変換効率のセールス詐欺に注意しましょう
太陽光パネルメーカーを比較する際は、一般的には「モジュール変換効率」を目安にすると覚えておくと良いでしょう。
ただし、不適切な業者の中には、「モジュール変換効率」よりも高い値となる「セル変換効率」を提示してセールスを持ちかけてくる場合があります。
もし、メーカー選びで変換効率について混乱してわからなくなった場合は、担当者に説明を受けて「モジュール変換効率」と「セル変換効率」を分けて正しく理解することをおすすめします。
素材ごとに違う変換効率
変換効率は、太陽光パネルの素材によっても変わってきます。
- シリコン系
- 化合物系
- 有機系
シリコン系
シリコン系の太陽光パネルは、日本国内でのシェアで約8割近くの割合となっています。
他の種類と比べて信頼度が高い理由として、変換効率が「20%」前後という高い値であることがあげられます。
シリコン系は、さらに「単結晶」「多結晶」「薄膜」の種類に分類されます。
- 単結晶パネル:変換効率20%程度
- 多結晶パネル:変換効率15%程度
- 薄膜パネル:変換効率10%程度
化合物系
銅・インジウム・ガリウム・セレンを原料に組みあわせて作った半導体を示します。
銅、インジウム、セレンの3つを組み合わせた「CIS太陽電池」は、低コストで生産できるため量産化にも向いているタイプです。
化合物系の太陽光パネルの変換効率は、「9~14%」程度が目安となります。
有機系
シリコン系や化合物系などの無機物を原料とした太陽光パネル素材ではなく、有機物を素材にした太陽光パネルです。
有機系の特徴は、素材が軽くて薄く柔らかいので自由に曲げることができる等、素材の自由度が高く、生産コストが安く抑えられるメリットがあります。
ただし、有機系太陽光パネルの変換効率は「10%」程度とまだ低く寿命が短いというデメリットがあり、今後の研究課題となっています。
ペロブスカイト太陽電池の変換効率
太陽電池の原料として使われる半導体はさまざまな種類がありますが、近年、研究開発が進んでいる素材として「ペロブスカイト太陽電池」があります。
「ペロブスカイト太陽電池」は、従来型のタイプよりも発電効率が高く、次世代の太陽電池として注目されています。
「ペロブスカイト太陽電池」は、従来の単結晶型シリコンや多結晶シリコンとは異なる、ペロブスカイト半導体という新しい素材を採用しています。
ぺロブスカイトの特徴は、薄く加工できて自由に曲げることができるので従来品より軽量型の太陽光パネルを製造することが可能です。
また、ペロプスカイトは、製造工程が簡略化できるため、現在普及しているシリコン太陽電池よりも製造コストが安くなります。
一方、実用化に向けての課題も多く、耐久性の問題としてペロブスカイトは酸素や水分といった外的影響を受けやすい面があるため、さらに研究開発を経て実用化と販売に向けた動きとなっています。
なお、ペロブスカイト太陽電池の実用化については、2023〜2025年ごろと予測されます。
その他の発電効率が変わる要因
太陽光パネルの変換効率は、さまざまな要因によって左右されます。
変換効率に影響するポイントを確認していきましょう。
- 高い気温
- 経年劣化
- 太陽光パネルの汚れ
- 積雪リスク
- 塩害リスク
高い気温
太陽光発電パネルの公称最大出力は、気温25度の環境で測定された数値になっています。
気温25度を1度超えると0.5%ほど発電量が低下すると言われています。
太陽光を利用したシステムなので、真夏の方が太陽の日差しが強くて発電効率が良いと思いがちですが、実は25度を超えてしまうと発電効果が低下し、損失係数も多くなる計算になります。
太陽光パネルの高温対策としては、高温に強い素材の製品を選ぶことで検討しましょう。
経年劣化
太陽光発電パネルは、利用期間が長くなれば劣化して品質が低下します。
利用してから10年間で2.7%、20年間で5.4%、30年間で8.1%の発電量が低下すると言われています。
これらの数値に対して各製品メーカーは、製品保証の他に出力劣化を保証するという「出力保証」を提示しています。
太陽光パネルの汚れ
太陽光発電パネルに汚れがつくと、発電量の低下に繋がります。
鳥の糞や埃、落ちにくい汚れは、屋根上の掃除を定期的に行うことが必要です。ガラスの破損やパネル内部の劣化、雨水の浸水などにも要注意です。
太陽光パネルは、設置後に計画的にメンテナンスを行うようにしましょう。
10kW未満の住宅用太陽光発電は、法律でメンテナンス義務化となっています。
4年に一回のペースで点検を行うことが推奨されています。
積雪リスク
太陽光パネルの表面に雪が積もると発電量が大幅に低下します。
積雪による発電量への影響については、短期間の降雪の場合は、発電量を得ることができます。
ただし、太陽光パネル上に雪が降り積もってしまうと、パネルに汚れが付着した場合と同じように発電効率が低下します。
積雪による被害を抑える方法としては、パネルの角度を30度以上に傾けて設置すると、自然に積もった雪が落下するので雪対策に効果的です。
また、落雪によって隣家に雪が落下したり、屋根下の人に危害を与える等を防ぐために、雪止めの設置は必要です。
塩害リスク
海に近い地域で太陽光パネルを設置した場合、長期にわたり潮風などにさらされて劣化しやすくなるデメリットがあります。
太陽光パネルの劣化は、変換効率に大きく影響するため、塩害地域に強い製品を選ぶことやメーカーの保証内容をしっかり確認しておくと良いでしょう。
基本的には、海岸から1~7km以内の地域が塩害リスクが高く、500m以内の地域の場合は「重塩害地域」に指定されていますので、対象地域に設置する際は注意が必要です。
おすすめの変換効率の高い太陽光パネルランキング
太陽光パネルの変換効率の高いメーカーについていくつか紹介していきます。
- サンパワー
- ジンコソーラー
- ロンジ
- DMMエナジー
- Qセルズ
- パナソニック
- カナディアンソーラー
サンパワー
世界トップクラスの変換効率22.6%です。サンパワーはアメリカの太陽光パネルメーカーで住宅用、産業用とも需要があります。
特徴としては保証期間が業界最長の40年で、太陽光パネルの平均寿命は25〜30年に対して、安心して長く利用できる設備として人気があります。
ジンコソーラー
変換効率は22.3%と高く、高性能の太陽光パネルとして定評があります。ジンコソーラーは、中国の大手太陽光発電メーカーの一つです。
ジンコソーラーの多結晶モジュールは、中国品質認証センターの省エネ認証規格である、エネルギー効率テストに合格しています。
ロンジ
低価格で発電効率が高い単結晶モジュール専門の中国メーカーです。変換効率21.7%と高性能のスペックの製品を提供しています。
ロンジは、CTC(中国建材検査認証集団)による太陽光の出力劣化評価で「トップランナー」の評価を得ており、日本での認知度はこれから浸透していくと注目されている海外メーカーです。
DMMエナジー
変換効率が21.54%で世界トップレベルの変換効率の製品も提供しています。
DMMエナジーは、三菱、東芝の撤退を受け国内メーカーでシェアを伸ばしている太陽光パネルメーカーです。出力保証が30年、自然災害保証が10年が付与されるのが大きな特徴です。
Qセルズ
トップクラスの変換効率20.8%を実現。ドイツで創業されたQセルズを韓国のハンファグループが買収したメーカーです。
Qセルズの特徴は、革新的なQ.ANTUMテクノロジーにより、気候変動によるさまざまな使用条件に対応できる高い性能と発電効率の良さです。
また、世界市場で大量生産しているため、太陽光発電パネルを低コストで提供することが可能となっています。
パナソニック
変換効率20.3%と高く、特に「HITシリーズ」が人気の製品として需要があります。
パナソニックは、太陽光発電システムを自社工場で生産している国内有名メーカーです。
「HITシリーズ」が人気の理由は、発電効率の高くするハイブリットパネルや他社よりも長い製品の無償保証などがあることです。
カナディアンソーラー
変換効率20.3%と高く、価格が安いが高性能であり、コスパの良さが特徴的です。
カナディアンソーラーは、カナダで設立された太陽光発電の老舗海外メーカーで、直近の出荷量ランキング上位となっています。
モジュール出力保証25年、モジュール製品保証15年、システム保証15年と保証内容が手厚いので安心して導入することができます。
変換効率以外の太陽光発電メーカーの選び方
では、変換効率のほかに抑えておきたい太陽光パネルの選び方のポイントについて確認しておきましょう。
- 耐久性の高いパネルを選ぶ
- 太陽パネルの価格相場を知ってから選ぶ
- kw単価で比較して選ぶ
- 屋根面積に適したサイズで選ぶ
耐久性の高いパネルを選ぶ
太陽光パネルは屋外の雨風にさらされる屋根上であるため、耐久性の高い製品を選びましょう。
太陽光発電の寿命は一般的に太陽光パネルが20〜30年、パワーコンディショナーが10〜15年と言われています。
寿命の年数は、設備を設置する条件や環境、メンテナンスによって異なってきますが、製品の性能が、経年劣化に強いメーカーであることをしっかり確認するようにしましょう。
太陽パネルの価格相場を知ってから選ぶ
経済産業省のデータ(2021年)による住宅用太陽光発電の設置費用は、1kWあたり28.0万円です。内訳は以下の通りとなっています。
- 太陽光パネル:17.1万程度
- パワーコンディショナー:4.2万程度
- 架台:2.1万程度
- その他の設備:0.2万程度
以上、費用相場を確認してから見積もりを依頼して、複数の事業者を比較検討しましょう。
また、製品自体の価格のほかに、工事費用や、設置後のメンテナンス費用などについても計画的に考えていきましょう。
kw単価で比較して選ぶ
太陽光パネルの1kWあたりの価格(kw単価)を比較して製品を選びましょう。
kW単価は低いほどお得になりますので、1kW発電させるのにかかるコストはいくらか?確認しましょう。
経済産業省の資料では、2023年の太陽光発電設置費用は1kWあたり25万9,000円という相場となっています。これ以下の価格であれば安いと判断することができます。
屋根面積に適したサイズで選ぶ
太陽光パネルのサイズは、各社製品メーカーによっていろいろあります。太陽光パネルを設置する屋根面積に対して適切なサイズと枚数が必要となります。
太陽光パネルを購入する前に、屋根上の点検と発電量のシュミレーションを行い、設置スペースの寸法に合わせて準備しましょう。
太陽光パネル自体のサイズについては、特に決まった規格がないため、自宅の条件に合った各メーカーで提供されているパネルサイズを比較して検討することをおすすめします。
まとめ
太陽光パネルを選ぶ際は、メーカーが提示している変換効率を比較し、それぞれの製品の特徴をチェックしましょう。
変換効率の数値の目安としては、20%あれば高い性能の製品と言えるでしょう。
また、変換効率を左右する要因についても確認して、より効果的な利用方法を考えていくことをおすすめします。