太陽光発電システムを選ぶ場合、容量について悩んでいる方も多いでしょう。
太陽光発電の容量によって、費用対効果も変ってきますので事前にシュミレーションをしておくことをおすすめします。
本記事では、太陽光発電の容量3KWの場合のメリット・デメリット、売電収入の効果などを解説します。
太陽光発電3kWってどんな感じ?
太陽光発電の容量は、設備規模によって制限が決まっています。
- 住宅用太陽光発電:10KW未満
- 産業用太陽光発電:10KW以上
住宅用システムの容量は10KW未満と決まっているので、実際に屋根上にのせられるのは9.9KWまでです。平均は、容量3〜5KWのタイプが多くなっています。
では、具体的に太陽光発電システムの容量が、3KWで足りるのか?計算してみましょう。
- 4人家族の平均電気料金は、1ヶ月あたり11,788円、年間「141,456円」です。
- 電気料金の単価1kWhあたり「27円」とした場合
141,456円(年間平均電気料金)÷ 27円(1kWhあたり電気料金)= 5,239kWh(年間消費電力)の計算になります。 - 4人家族で年間、「5,239kWh」の電気を使っていることになります。
- 年間の発電量が1kWあたり約1000kWhなので、4人家族の年間の消費電力「5,239kWh」を賄うためには、「約4.5〜5kW」の容量が必要になる計算になります。
したがって計算の結果では、4人家族の場合、容量3KWでは足りないということがわかりました。
太陽光発電に最適な容量は、日中に使う電気使用量、発電量、世帯人数、ライフスタイル等によって変わります。
夫婦二人で共稼ぎの場合は、昼間の電気使用量が少ないので、容量の小さい3KWの設備でも賄えるケースもあります。
太陽光発電の容量は、大きすぎても小さすぎても無駄になるため、電気使用量と発電量のバランスを計算して検討しましょう。
太陽光発電3kWのメリット・デメリット
では、続いて、容量3kWの太陽光発電を設置した場合のメリット・デメリットを確認しましょう。
太陽光発電3KWのメリット
- 初期費用が安い
- 電気代の削減ができる
- 停電時に電気が使える
初期費用が安い
太陽光発電システムの価格は容量が大きいほど高額になります。
3KWは比較的、容量が小さいタイプなので初期費用は安く抑えることができます。
ただし、容量を少なくすると発電量が下がるため、売電収入や自家消費による効果は、大きい容量のタイプよりも下がる傾向です。
電気代の削減ができる
太陽光発電の容量が小さいタイプでも、家庭内で使う電気量より発電量が多ければ、3KWの太陽光発電でも賄うことはできて、電気代削減にも繋がります。
停電時に電気が使える
停電時にパワーコンディショナーの「自立運転機能」を使うと、最大電力1,500Wまで利用できます。
停電時に1,500Wの出力で使える家電については、事前に確認しておくと良いでしょう。
さらに、停電時に安心して電気を使えるようにするためには「蓄電池」を併用することをおすすめします。
家電 | 消費電力 | 家電 | 消費電力 |
IHクッキングヒーター | 1400-3000W | 掃除機 | 850-1000W |
エアコン | 300-3000W | テレビ | 300-500W |
電子レンジ | 500-1400W | 洗濯機 | 200-400W |
電気ポット | 900-1400W | 冷蔵庫 | 100-300W |
アイロン | 1200-1300W | 炊飯器 | 100-300W |
ドライヤー | 600-1200W | ノートPC | 50-150W |
食器洗い乾燥機 | 1,300W | 携帯の充電 | 5-15W |
太陽光発電3KWのデメリット
- 売電収入が期待できない
売電収入が期待できない
昼間に太陽光発電で発電した電気で余った分は売電して収入にすることもできます。
ただし、容量3KWの場合は容量が小さいので、日中にどのくらい電気を使用するかによって、売電収入にならない場合もあります。
もし、売電しないで自家消費するだけならば、容量3KWのタイプでも家庭用として有効活用することは十分可能です。
また、FIT制度の買取価格が安くなっていますので、売電するよりも自家消費する方がお得だと言われています。
3kWの太陽光パネルの大きさや設置費用
太陽光発電の容量は、屋根面積によって設置できない場合もあります。容量を検討する前に、ご自宅の屋根面積について確認しましょう。
太陽光発電の容量別に、必要な屋根面積ををまとめておきます。
- 1kWあたり:10〜15平方メートル:発電量 1,000KWh程度
- 2KWあたり:20~30平方メートル:発電量 2,000KWh程度
- 3KWあたり:30~45平方メートル:発電量 3,000KWh程度
- 4KWあたり:40~60平方メートル:発電量 4,000KWh程度
- 5KWあたり:50~75平方メートル:発電量 5,000KWh程度
太陽光パネル1枚あたり1.7平方メートルとした場合、3KWの容量を設置するとパネル数はおよそ17〜26枚くらい必要です。
したがって、ご自宅の屋根の面積がわかれば、最大で何kWまでのせられるか計算することができます。
では、続いて、容量3KWの太陽光発電システムの設置費用について確認しましょう。
太陽光発電の設置費用は、1kWあたり平均26.1万円です。容量3KWの場合、およそ78.3万円になります。
3kW | 4kW | 5kW | 6kW |
78.3万円 | 104.4万円 | 130.5万円 | 156.6万円 |
7kW | 8kW | 9kW | 10kW |
182.7万円 | 208.8万円 | 234.9万円 | 261万円 |
太陽光発電3kwの1日の発電量
3kWの太陽光発電の発電量は、年間で約30000kWhです。1日当たりの発電量は、8.2kWhの計算になります。
3000kWh ÷ 365日 =8.2kWh
3kWの太陽光発電の想定年間発電量については、以下の式で計算できます。
年間想定発電量/kWh/年=平均日射量×損失係数(73%程度)×システム容量kW×365日÷1
なお、発電量は、太陽光発電の設置環境や季節や天気、時間帯や地域性によっても変動します。 あくまでも導入前の目安として参考にしてください。
3kWの太陽光発電に設置可能な蓄電池の価格
太陽光発電システムは、蓄電池と併用するとさらに有効活用することができます。
蓄電池を併用すると、太陽光発電で発電した電気を貯めておいて夜に使うことができます。
また、停電時の電源確保にもなるので災害時の安全対策にもなります。
3kWの太陽光発電に最適な蓄電容量は、5kWh以下くらいが目安です。
- 蓄電池の本体価格:容量1kWhあたり15〜21万円程度 (蓄電池+工事費込み)
蓄電池の容量4~7kWh:90~160万円程度 - 工事費:工事費の目安としては20万円〜35万円程度と考えておくと良いでしょう。
- 保証費:製品メーカーごとに設定が異なるため事前に確認しましょう。
また、蓄電池の種類によって価格も異なります。
- 単機能型蓄電池:70万円〜265万円程度
- ハイブリッド型蓄電池:100万円〜270万円程度
工事費については、依頼する設置業者によって変わってきますので、複数社から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
工事費の目安としては20万円〜35万円程度と考えておくと良いでしょう。
3kWの太陽光発電でどの程度の売電収入を得られる?
容量3kWの太陽光発電の場合、売電収入のメリットが得られるのか?シミュレーションをしてみましょう。
住宅用太陽光発電の平均年間発電量は、1kWにつき1000kWhです。
容量3kWの太陽光発電で、年間発電量は平均3,000kWhになります。
経済産業省のデータによりますと、売電される割合は平均68.8%となっています。 この数値を基に計算すると、年間にして約2,064kWhが売電にまわされることになり、売電収入は 3万3024円になります。
年間売電量2,064kWh × 売電価格16円 = 年間売電収入3万3,024円
以上の計算は、あくまで概算のデータを基にシュミレーションをしているため、実際に太陽光発電を導入する際は、各家庭の条件や気象状況など他、影響する要素があることを踏まえて検討してください。
最新の売電収入の状況
太陽光発電で作った電気は、「固定価格買取制度/FIT制度」によって契約した単価で10年間買い取ってもらえます。
2023年度の買取価格は、10kW未満で「16円」です。この買取価格は年々下がっていきますので、契約時の単価で計算して元が取れるのか?確認することをおすすめします。
また、売電収入の他に、電気料金の値上がりや、太陽光発電の導入費用も安くなってることもありますので、総合的に検討されると良いでしょう。
もし、容量3KWの太陽光発電で検討されている場合、売電価格よりも電気代の方が高くなるのであれば、売電よりも自家消費型で利用した方がおすすめです。
太陽光発電システムを選ぶ際は、まずは自家消費できる容量の太陽光発電を設置するのが最も効果的だと言えるでしょう。
太陽光発電で自家消費する
これまでの太陽光発電は、「固定価格買取制度/FIT制度」を使って利益を得ることが主流でしたが、FIT買取価格の下落によって、売電するよりも自家消費がした方がお得だと言われています。
自家消費型のメリットは?
では、太陽光発電を自家消費型で利用する場合、どんなメリットがあるのでしょうか?
- 電気代が安くなる
- 非常時に対応できる
- 省エネ対策になる
- 補助金制度が利用できる
電気代が安くなる
太陽光発電システムで発電した電気を自家消費できれば、電気代の節約になります。
エネルギー価格が世界的に高騰していることを踏まえると、電気代の値上がり対策として自家消費型が効果的な方法となります。
非常時に対応できる
太陽光発電システムに蓄電池を併用すると、発電できない悪天候や夜間、非常時に停電となった場合、電源を確保できます。
非常時には、さらに二次災害に拡大しないように、電気を使える環境を確保しておくと安心です。
省エネ対策になる
自家消費型に切り替えることで、再生可能なエネルギーを利用した環境づくりに貢献することができます。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けた国の方針により、CO2削減の取り組みが求められています。
現在、利用している化石燃料による火力発電は、1kWhあたり約690gのCO2を排出しています。そこで、太陽光発電システムを導入すれば、CO2排出量は1kWhあたり17〜48gと大幅に削減することができるようになります。
補助金制度が利用できる
太陽光発電システムを導入する際は、高額な費用がかかるため、補助金制度を利用すると初期費用を抑えることができます。
自治体が個人向けの補助金制度を提供していますので、制度条件と太陽光発電を設置する状況を照らし合わせて、適用する補助金制度に申請すると良いでしょう。
自家消費型の効果的な利用方法
自家消費型で太陽光発電を利用する際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 発電量を増やす
- 蓄電池を併用する
発電量を増やす
自家消費型で利用する際は、できるだけ発電量を増やすことが重要です。
発電量を増やすには、容量の大きい設備の方が効率が良くなりますが、各家庭の条件に合わせて適切な容量を準備しましょう。
まずは、発電効率のよい太陽光パネルを選び、設置する屋根の方角やパネルの傾斜など、適切な条件で工事を行いましょう。
さらに、蓄電池を併用すると発電した電気を貯めておくことができます。
また、導入後は設備機器のメンテナンスを行い、常に発電効率の良い状態を保つことも大切です。
蓄電池を併用する
太陽光発電は夜間には可動できないため、昼間に発電した電気を貯めておくためには蓄電池を設置しておくと良いでしょう。
自家消費型で利用するには、蓄電池があるとないでは、導入効果が大きく変わってきます。
なお、蓄電池を設置する際は、適切な容量の機器を選ぶことが必要です。
設置する家庭の世帯人数や電気を使う時間帯などから、普段使う電気消費量を算出して、丁度良い容量の蓄電池を準備するようにしましょう。
蓄電池の設置費用を考慮して、容量は大きすぎず小さすぎない適切なサイズのものを選ぶことをおすすめします。
まとめ
太陽光発電の容量については、設置する住宅によって3KWで賄える場合もあります。適切な容量は、設置条件や世帯人数、ライフスタイルによって電気使用量も変ってくるため、具体的な数値を出してシュミレーションすると良いでしょう。
太陽光発電を導入するメリットとして売電することができますが、容量の小さい設備の場合は、まずは自家消費できる容量であるか確認しましょう。自家消費で賄うことができれば、売電できなくても電気代を安くすることはできます。