太陽光発電設備の台風による被害は?事前にできる対策や補償について解説

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太陽光発電を導入する際は、台風など自然災害の対策も考えておくことが必要です。特に、台風被害の多い地域にお住まいの方は、事前準備をしておくことをおすすめします。

本記事では、太陽光発電設備の台風による被害と、もし、被害が起きた場合の対処法、事前に準備しておきたい対処法などについて解説していきます。

台風による太陽光発電設備への被害

台風による影響で太陽光発電設備が故障するケースについて確認しておきましょう。

台風による太陽発電設備の故障ケース
・太陽光パネルが強風で破損したり飛ばされる。
・太陽光パネルを支える架台が壊れる。
・太陽光発電設備が水没する。
・大雨によって施工箇所からの雨漏りする。

太陽光パネルが強風で破損したり飛ばされる

太陽光パネルが強風で飛ばされたり、台風による風圧や飛来物の衝突などで太陽光パネルのガラスが割れてしまうケースがあります。

太陽光パネルは、基本的には台風などの強風にも耐えられるように設計されていますが、大型台風など想定以上の強風には対応できない場合も発生しています。

日本では、特に7月から10月にかけて台風シーズンが往来するため、太陽光発電設備を導入する際は、台風対策に備えることをおすすめします。

太陽光パネルを支える架台が壊れる

台風による強風で、太陽光パネルを支えている架台が破損してしまうケースがあります。

架台の役割は、太陽光パネルをしっかり固定して発電効率を高めるために設置することです。ただし、架台自体が強風によって破損してしまった場合には、太陽光パネルも一緒に倒れて落下する可能性も高くなります。

強風による飛来物の衝突や風圧によって、架台が歪んで基礎ごと崩れ落ちてしまう原因には、施工が不良工事であった場合も考えられます。

太陽光パネルを支える架台の施工では、適切な基礎工事を行い屋根面の一点に太陽光パネルの荷重が集中しないように架台を配置する必要があります。

しかし、手抜き工事だった場合には、架台の数が少なかったり、固定が不十分だったりで台風で崩れやすくなることもあります。

太陽光発電システムが水没する

野立て太陽光発電設備の場合は、台風による大雨で洪水や河川の氾濫が起こり、パネルを設置している土地が冠水被害になるケースがあります。

野立て太陽光発電設備の場合は、浸水、水没の危険リスクを考えておくことや、パワーコンディショナーなどの機器が水没し、出火や感電の原因にならないように設置箇所を考慮する必要があります。

大雨によって施工箇所からの雨漏りする

屋根上の施工箇所から雨漏りがするケースがあります。太陽光パネルの工事では、屋根に穴を空けてパネルを固定するのが一般的です。

この穴をあける工程で正しく施工されない場合に、雨漏りが発生することがあります。

台風による大雨で雨漏りが起こるケースとして、施工不良が原因であることがあげられます。

太陽光発電設備はどれくらいの強風まで耐えられる?

太陽光パネルの耐風圧は、JIS(日本産業規格)の規定「JIS C 8990」により耐風圧荷重は2,400Pa、風速毎秒62メートルに耐える設計になっています。

この規定以上の風速になると、屋根上に設置してある太陽光パネルの状態は危険性を伴うことになります。

ただし、風速毎秒62メートルを超えなくても、強風によって飛来物がぶつかってきたり、太陽光パネルが飛んだりすることも可能性として考えておく必要はあります。

また、台風による影響が、太陽光発電設備の不良工事によって被害が大きくなってしまうケースもあります。

【対処法】太陽光発電設備が台風の被害にあってしまったら

台風による影響は想定外のことも発生するため、災害対策をしていても万全とはいかない場合もあります。

それでは、もし、太陽光発電設備が台風によって被害を受けてしまった場合はどうするか?
突然のトラブルに対応できるように台風被害の対処法について確認しておきましょう。

また、太陽光発電設備は、電気設備の扱いなどによって危険性を伴うため、二次災害を起こさないように注意しましょう。

太陽光発電設備の台風被害による対処法
・被害の状況を確認する
・電源を切っておく
・近隣への影響を確認する
・飛ばされた太陽光パネルを回収する

被害の状況を確認する

まず始めに、台風がおさまったら被害状況について確認しましょう。発電モニターでの発電状況を確認し、太陽光パネルの破損や架台の歪みなどを目で見てチェックします。

もし強風で太陽光パネルが吹き飛ばされてしまった場合や、敷地内に落下している場合には、すぐに手を出さずに、専門業者に連絡して対応してもらうことをおすすめします。

太陽光発電設備が漏電している場合には、感電の恐れがありますので、専門業者に任せるようにしましょう。

電源を切っておく

太陽光発電設備が台風による被害を受けた場合は、電源が切れるかどうか確認しましょう。
台風の被害で太陽光パネルが故障していても、まだ発電をしている可能性もあり、漏電による出火や感電などの危険性があります。

台風がおさまって被害状況を確認できたら、可能であれば電源を切っておく方が安全です。

ただし、電気関係を素手で触ると感電する場合がありますので、長袖・長ズボンを着用してゴム手袋を着用してから対応するようにしましょう。

もし、不安な場合は、専門業者に問い合わせて、対応してもらうことをおすすめします。

自分で電源を切る手順について

災害時に電源を切る順序を間違えてしまうと、家の使っている家電製品の故障や火災に繋がる可能性が高くなるため、十分注意しましょう。

※50kw未満の太陽光発電設備は、以下の順序で電源を切りましょう。
1.主幹ブレーカー
2.パワーコンディショナー
3.集電箱
4.接続箱
5.アレイ
※50kw以上の太陽光発電設備は、以下の順序で電源を切りましょう。
1.キュービクル
2.パワーコンディショナー
3.集電箱
4.接続箱
5.アレイ

近隣への影響を確認する

台風で太陽光パネルが飛んでしまったり落下したり、太陽光パネルや架台が破損して近隣住宅にも被害が広がってしまった場合は、近隣住民と相談して廃棄業者を手配して回収してもらうようにしましょう。
破損した設備の廃棄処分については、専門知識のある業者に依頼し、ご自分で対応することは控えましょう。
使用できなくなった太陽光発電設備については、産業廃棄物として適切に処分することが必要であるため、一般ごみと同じ処理はできませんので注意しましょう。

飛ばされた太陽光パネルを回収する

廃棄処分する太陽光パネルは、回収が終わるまでは感電や漏電には十分注意する必要があります。

回収を依頼する専門業者が来るまでには、太陽光パネルに日光が当たらないようにブルーシートをかぶせておくことや、絶対に素手で触らないように気を付けることが必要です。

また、ご自宅の敷地外まで被害が広がっている場合には、近隣住民と協力して、2次災害が起こらないように、正しい対処法について共有することをおすすめします。

【対策法】太陽光発電設備が台風の被害に遭う前にできること

では、台風被害にあう前に知っておきたい対処法について確認しておきましょう。

太陽発電設備で台風被害に遭う前の対処法
・保険に加入する
・太陽光発電メーカー保証を確認する
・適切な施工業者選びと良質な工事を行う
・定期的な点検とメンテナンスを行う
・地域の災害リスクを調べておく
・近隣住民と一緒に災害対策を考えておく

保険に加入する

太陽光設備が災害によって被害を受けた場合、保険に加入していれば自己負担額が減るのでおすすめです。

自然災害による補償を受けられる主な保険は、以下の種類があります。

・企業総合保険:火災・落雷・風災・水災などの事故によって、太陽光発電設備が損害を受けた場合に補償されます。
・施設賠償責任保険:自宅の太陽光発電が、他人や他人の物に損害を与えた場合に補償されます。
・動産総合保険:自然災害などの損害を受けた場合に補償されます。
・休業損害補償保険(売電収入補償特約):太陽光発電設備の故障で発電が停止して、売電収入がなくなった場合に補償されます。
・施設賠償責任保険:飛来物によって他人にケガをさせてしまったり、物を壊してしまった場合に補償されます。

太陽光発電メーカー保証を確認する

太陽光発電設備メーカーの保証は、「製造上の不具合の保証」と「出力保証」が一般的で、自然災害で補償が付いているメーカーは少なくなっています。

大半は自然災害の補償が付いているメーカーは少ないと認識しておく方が良いでしょう。

自然災害補償は、一般的に「火災、落雷、台風、洪水、ひょう災」が対象になります。
地震に対しては、補償対象にならないのが一般的です。

太陽光発電設備を導入する際は、メーカー保証や自然災害の補償について、事前に確認して、もし台風等の被害にあったときはどうしたらよいか?アドバイスを受けておくことをおすすめします。

適切な施工業者選びと良質な工事を行う

太陽光パネルの設置は、台風による被害を広げないためにも、適切な設置業者を選んで、しっかり工事を行ってもらうことが重要です。

施工品質が良くても、自然災害の被害を受けてしまう場合もありますが、できるだけ万全な施工で太陽光パネルを固定しておくことは、台風対策にも繋がります。

また、日本全国の中でも特に台風被害が多い地域では、地元の特徴を考慮した工事業者であれば、台風によるリスクを考えた工事をしてもらうこともできるでしょう。

定期的な点検とメンテナンスを行う

台風による被害を最小限に抑えるためには、日頃から太陽光発電設備の点検やメンテナンスを行うことも重要です。

日常点検の中から故障が見つかった場合は、早めに対処できるため、台風による影響があってもその分、被害を小さくできることもあります。

特に台風シーズンの前後には、屋根上の太陽光パネルの固定や歪みを点検して、異常があれば専門業者を呼んで確認してもらうと良いでしょう。

経済産業省が推奨する点検のチェックポイント

・太陽電池発電設備が電気設備の技術基準に適合していることを確認すること。
・太陽電池発電設備の架台・基礎などが必要な強度を有している事を確認し、また構造、強度に影響する接合部にゆるみや錆、破損がないことを確認すること。
・電力ケーブルやケーブルラック取付部に、ゆるみや破損がないことを確認すること。
・柵やへい、遠隔監視装置などが、健全な状態に維持されていることを確認すること。
・太陽電池発電設備の点検後、対策の要否を判断し、必要に応じて、基礎のコンクリートの増し打ち、基礎・架台・太陽電池パネルの接合部補強などの飛散被害を防止する対策を行うこと。
・水上設置型太陽電池発電設備の支持物(架台、フロート、係留索、アンカー)について、アンカーとの係留部やフロート間等の接合部に損傷等が無いことや、フロート等の樹脂部材の劣化が無いことを確認すること。

地域の災害リスクを調べておく

太陽光発電設備を導入する場合は、まずは設置する地域の災害リスクについて調べておくことをおすすめします。

各地方自治体が公開しているハザードマップなどを参考に、自宅の地域の特徴について知っておくとよいでしょう。

また、災害の多い地域で太陽光発電設備を設置する際は、地元の災害リスクを踏まえて工事を行っている業者を選んで、細かく導入シュミレーションを行ってから決めると良いでしょう。

近隣住民と一緒に災害対策を考えておく

台風による被害で、太陽光パネルが近隣住宅へ飛んでしまったり、設備の破片が落下したりなど、ご近所まで被害が広がってしまう場合もあります。

太陽光発電設備は、自宅だけでなく近隣住宅への影響もありえるため、日頃から災害が起こった場合のリスクについて近隣住民と共有できていると良いでしょう。

また、台風による近隣被害への対策には、近隣の住宅設備や住民に被害を与えてしまった際に補償される「賠償責任保険」について加入を検討すると良いでしょう。

太陽光発電設備を導入する際は、近隣住宅や住民に与える影響についても考えておくことが必要です。

まとめ

台風など自然災害は想定以上に被害を受けてしまう場合もあります。太陽光発電設備を導入する際に注意する点として、強風による被害を最小限に抑えるためにも、本記事で解説しました事前対策を行うことをおすすめします。また、もし、大きな被害で太陽光発電設備が損傷してしまった場合には、適切な対応とできるだけ専門業者に依頼して対応してもらうと良いでしょう。