太陽光発電システムを導入する際は、パワーコンディショナーの容量についてどのくらいにしたら良いのか?疑問をお持ちの方も多いでしょう。
また、パワーコンディショナーの容量と太陽光発電の容量2つは同じにしたらよいのか?等も知りたいところですよね。
そこで、本記事では太陽光発電のパワーコンディショナーの容量について、決め方と価格や選び方について解説していきます。
太陽光発電のパワコンの容量の決め方
太陽光発電について調べてみると「発電量」「発電容量」「システム容量」など似かよった用語が出てくるので、混乱している方も多いでしょう。
そもそも、パワーコンディショナーの容量とは何か?容量というのは「発電容量/KW」を示し、太陽光発電システムの発電した電力を表す数値です。
- 発電容量:太陽光発電で作られる電力の大きさを示す単位です。 単位は「kW」で表示され、発電容量が大きいほど発電量も多くなります。
例えば、導入する製品の発電容量がわかっていれば、設置する規模に合わせてシステムを選ぶことができます。住宅用の太陽光発電には、5KWくらい の発電容量の設備が一般的です。
太陽光発電システムの発電容量の決め方については、「太陽光パネル」と「パワーコンディショナー」の出力値を比べて小さい数値を選びます。
例えば、太陽光パネルの出力の合計が「3KW」で、パワーコンディショナーの容量が「4kW」の場合は、システム容量は、小さい数値の「3kW」となります。
では、太陽光発電システムを導入する際は、太陽光パネルの出力値とパワーコンディショナ―の出力値が同じ値の製品を選んだ方がよいのではないか?という疑問が生じますね。
これについては、一般的には、太陽光発電パネルの出力値をパワーコンディショナ―の出力よりも多くすることが大半です。
このように、パワーコンディショナーの容量よりも大きい容量の太陽光パネルを設置することを「過積載」と言います。
- 過積載: 太陽光パネルの出力値 > パワーコンディショナーの出力値
「過積載」にすると、パワーコンディショナーの容量から発電して余った電力は捨てることになります。
ただし、太陽光パネルの発電量がピーク時を迎えるのは短時間なので、ピーク時の電力を捨てたとしても、それ以外の時間で発電量を得ることができるので、捨てた電力よりも全体的な発電量は多くなる計算になります。
つまり「過積載」にすると日照量が少ない時間帯でも電力を確保できて、時間帯に偏らずにムラの無い発電量を作ることができることになります。
太陽光パネルを過積載をすると、買取価格が下落傾向の中でも収入を上げることに繋がるメリットがあります。
発電容量と発電量の違いは?
では、「発電容量/KW」とよく間違えやすい 「発電量/kWh」についても合せて確認しておきましょう。
- 発電容量/KW(キロワット):太陽光発電で発電できる量を示すための数値です。
- 発電量/kWh(キロワット・アワー):実際に発電する量を示すための数値です。
例えば、発電容量10kWを1時間稼働した場合の発電量は「10kWh」と表示します。
では、もう少し詳しく発電量/kWhについて確認しておきましょう。
発電量とは?
太陽光発電で発電する電気の量「発電量」は、システムを導入する際に判断となる数値です。
また、「発電量」は、電気代の節約や売電収入を得るための目安となるため、システムを導入する前は、シュミレーションをして発電効率を予測しておく必要があります。
では、「発電量」に関係する主な用語について確認しておきましょう。
発電量の数値は、「公称最大出力」や「変換効率」などによって変動します。
太陽光パネル1枚あたりで発電できる最大値です。太陽光パネルの公称最大出力はメーカーや製品によって幅広く設定されています。製品を比較検討する際は、公称最大出力または定格出力の項目をチェックしましょう。
- 変換効率
太陽光パネルが太陽光エネルギーをどれくらい電気エネルギーに変換できるか示した数値です。変換効率が高いほど、同じ太陽光の量でもよりたくさんの電気エネルギーを作ることができます。製品を比較検討する際は、公称最大出力と一緒に変換効率の項目をチェックしましょう。
発電容量と発電量の関係性は?
太陽光発電システムでは、「発電容量」によって「発電量」が決まります。
年間発電量から売電収入や電気代の節約に繋がるため、「発電容量」は「発電量」と密接に関係していることになります。
つまり、「発電量」によって家庭で賄える電気消費量が変わってくることになります。
太陽光発電のパワーコンディショナーの価格は?
では、続いて太陽光発電のパワーコンディショナーの価格について解説していきます。
パワーコンディショナーの価格相場は1kWあたり4.2万円。住宅用太陽光発電の容量3〜5kWの場合、およそ12.6万〜21万程度になります。
パワーコンディショナーの利用期間中に、修理や交換が必要になった場合は、修理・交換費用の目安として10万〜40万円程度(工事費込み)、 部品を交換するだけの場合は5万〜10万円程度となります。
パワーコンディショナーの寿命は、一般の家電製品と同様に10年〜15年です。
太陽光パネルの寿命は20〜30年程度になりますので、太陽光発電システムを利用している期間中に1度はパワーコンディショナーを買い替えることになります。
パワーコンディショナーの買い替えのタイミングは、一般的には10年を目安にすると良いでしょう。
太陽発電のパワーコンディショナーを選ぶポイント
では、パワーコンディショナーを選ぶポイントについて確認しておきましょう。
- 定格出力
- 過積載
- 変換効率
- 静音性
- サイズ
- ハイブリッドパワコン
- 単相式と三相式
- 屋外型と屋内型
- 太陽光パネルと同メーカー
- メンテナンスのしやすさ
- 塩害対策
- 自立運転の有無
- 保証内容
- 補助金の利用
定格出力
パワーコンディショナーが出力できる電力量のことです。
定格というのは、メーカーが定めた出力可能な電力の最大値を示します。
例えば、太陽光パネルの出力値5KWの場合に、定格出力4KWのパワーコンディショナーを設置すると最大で4KWまでしか変換できないことになります。
過積載
過積載とは、パワーコンディショナーの容量よりも大きい太陽光パネルの容量で設置することです。
過積載は、パワーコンディショナーのメーカーによって保証範囲が決まっているため、確認してから選びましょう。
変換効率
電気を変換する場合には必ず交換ロスが生じます。
パワーコンディショナーの変換効率は、メーカー製品によって異なりますが、およそ98〜95%くらいになります。
変換効率が高いと、その分価格も高額になります。
静音性
パワーコンディショナの音で気になるのは「モスキート音」です。
モスキート音とは、17000ヘルツ前後の高周波数のことで、蚊が飛んでいるときの羽音に似た音が発生し、聞く人によっては騒音に感じる場合もあります。
したがって、近隣トラブルにならないように、静音性の高いパワーコンディショナ―を選びましょう。
サイズ
パワーコンディショナーのサイズを決める場合、設置スペースの大きさと設置する環境について注意が必要です。
パワーコンディショナーは、分電盤との距離が離れていると交換ロスが大きくなりやすいため、分電機近くに設置することが基本です。
また、パワーコンディショナーは温度が上がると変換効率が下がるため、設置場所は太陽のあたらない日陰がおすすめです。
これらの条件を踏まえて、自宅の設置場所に合うサイズを選びましょう。
ハイブリッドパワコン
ハイブリッドパワーコンディショナーとは、太陽光発電と蓄電池のパワコンを1台にまとめた設備です。
従来の単機能型パワーコンディショナーに比べると、接続工事がカンタンで、変換ロスが抑えられるメリットがあります。
単相式と三相式
パワーコンディショナーの電気の供給方式には主に2種類、単相式と三相式があります。
2種類の大きな違いは、単相式は小さな電気製品に電気を送る方式で、三相式は、産業用の大きな電気製品に電気を送る方式です。
単相式では、家庭用の100V/または200V電源でも動かすことが可能です。
特徴は、配線工事がカンタンで使いやすいことがあげられます。また、変換効率が高く、稼働音が静かで、低価格でお求めできます。
一方、三相式は、容量が大きいので設置台数を少なくても導入できるので、少ない台数で太陽光パネルと連携することが可能です。
屋外型と屋内型
パワーコンディショナーの設置場所によって、屋内型または屋外型があります。
屋外型は主に産業用として、屋内型は家庭用の設備として需要があります。屋外型のの場合は、外部環境にさらされるため、事前に防水や防塵対策が必要になります。
屋内型の場合は、屋外型よりも小さいサイズで価格は屋外型よりも安く設定されています。
太陽光パネルと同メーカー
パワーコンディショナーのメーカーは必ずしも太陽光パネルメーカーと同じである必要はありません。
ただし、ハイブリッド蓄電池を設置する場合は、同メーカーの方が保証されないケースもありえるため、できれば同じ方が良いでしょう。
メンテナンスのしやすさ
パワーコンディショナーの屋外型を選んだ場合、虫が入りやすく、ゴミやほこりが溜まって故障の原因となりがちです。特に冷却ファンの周辺は汚れやゴミが溜まりやすくなっています。
パワーコンディショナーの内部に異物が入ることで劣化が早まるため、定期的なメンテナンスが必要です。
パワーコンディショナー選びでは、メンテナンスのしやすい機種であると良いでしょう。
また、パワーコンディショナーの設置場所については、メンテナンスのしやすいように設備の周辺のスペースを設けるようにしましょう。
塩害対策
海の近くの地域で設置する際は、塩害が出る可能性が高くなります。
パワーコンディショナーの塩害についての基準を、海岸から500m〜2km程度を塩害地域、500m〜1km以下では重塩害地域と設定しているメーカーもあります。
塩害地域に設置する際は、事前に必ず確認しましょう。メーカーの中には、オムロン社のように重塩害対応の機種を提供している会社もあります。
自立運転の有無
自立運転モードとは、パワーコンディショナーに備わっている非常時用の機能です。
停電時に通常運転から自立運転モードに切り替えると非常用電源として使うことができるようになります。
自立運転の機能が付いているパワーコンディショナーであれば、非常時対策になります。
保証内容
パワーコンディショナーが故障した場合に対象となる機種であるか確認しましょう。
パワーコンディショナーの保証期間はメーカーによっても異なりますが、無償で5年〜10年保証されているのが一般的です。
「自然災害補償」が付いていれば、台風や地震等の被害に対応してもらうことができるので安心です。
補助金の利用
パワーコンディショナーを導入する際は、補助金制度を利用することができます。
居住地域の自治体のホームページより公募内容を確認すると良いでしょう。
パワーコンディショナーの補助金は、対象となる条件に適用されると、費用負担が減ってお得です。
主なメーカーの太陽光発電のパワーコンディショナー
以下は、パワーコンディショナーの主なメーカーです。
メーカー | 種類 | 型番 | 定格出力 | 変換効率 |
シャープ | ハイブリット型 | JH-55KF4B | 5.5kW | 96.50% |
パナソニック | 屋内集中型 | VBPC255NC2 | 5.5kW | 96.50% |
ダイヘン | 屋外設置型 | B500JPL2-A01 | 5.0kW | 96.0% |
カナディアンソーラー | 屋内集中型 | CSP55N1F | 5.5kW | 96.50% |
Qセルズ | 屋外設置型 | HQJP-MA55-3 | 5.5kW | 96% |
京セラ | 屋内集中型 | PVN-553 | 5.5kW | 95.50% |
ネクストエナジー | 屋外設置型 | SPSS-55E-NX | 5.5kW | 96.00% |
まとめ
太陽光発電システムを導入する際は、システムの基本となるパワーコンディショナーの容量について確認しておきましょう。
パワーコンディショナーの性能によって太陽光発電の発電量に大きく影響し、費用対効果にも関係してきます。本記事の選ぶポイントをチェックして最適な設備を選んでいきましょう。