太陽光発電を導入したいとお考えの方は、システム設置後のメンテナンス費や維持費が気になるところですね。
太陽光発電パネルに維持費をかけることは、太陽光発電パネルの発電効率をよくすることに繋がるため、導入する前にかかる費用について知っておくと良いでしょう。
本記事では、太陽光発電でかかる維持費について解説していきます。
太陽光発電のメンテナンスの必要性
太陽光発電パネルは、屋外に設置するので汚れやホコリが原因で発電量が低下することもあります。
太陽光発電を設置している地域が、砂埃や強風など自然の影響を受けやすい場所には、特にパネルに汚れが溜まって故障しやすくなります。
太陽光発電パネルの劣化を防ぐためにも、また太陽光発電を設置で導入効果を得るためにも定期的にメンテナンスが必要となります。
メンテナンス不足は、発電量の低下や、設備自体の寿命も短くなることに繋がってしまいます。
太陽光発電の寿命はどのくらい?
太陽光発電システムの寿命は、それぞれ以下の期間が目安となっています。
機器 | 法定耐用年数 | 寿命 |
太陽光発電パネル | 17年 | 20年から30年 |
パワーコンディショナー | 17年 | 15年から20年 |
蓄電池 | 6年 | 20年から30年 |
ご覧の通り、設備機器の寿命は長く、一度設置すれば長期的に利用することができます。
ただし、いくら寿命が長いといっても、設置した後に何もしないで放置しておくと、寿命より短い期間で故障してしまうケースもあります。
太陽光発電を正常に長く利用するためには、適切な管理とそのための維持費を準備することが必要です。
太陽光発電の法的耐年数とは?
耐用年数は、資産の種類別に法律で定められています。
太陽光発電の法定耐用年数は、2020年3月25日時点で17年となっています。
建物や設備など税法上定められているものを減価償却するための年数です。建物や設備は、年数が経過すると資産価値が下がり、これを「減価償却資産」といいます。 法定耐用年数というのは、減価償却する期間を示し、太陽光発電パネルの寿命とは違う意味になります。
したがって、実際に太陽光発電を利用できる期間は、法定耐年数17年よりも長く使えるのが一般的です。
太陽光発電の維持費はなぜ必要なのか?
太陽光発電を長く利用するためには、定期的なメンテナンスや掃除などが重要です。そのためには、維持費はなぜ必要なのか?何にかかるのか?について導入前に知っておくと良いでしょう。
ではまずはじめに、太陽光発電システムの維持管理のポイントについて、以下の内容を解説していきます。
定期的なメンテナンスをすること
太陽光発電では、設備を屋根の上に設置するので、ご自分で頻繁に掃除をしたり点検したりすることは難しくなります。したがって定期的なメンテナンスを専門業者に頼んで、設備の不具合を早めに発見することが必要です。
住宅用の太陽光発電は、定期メンテナンスの法的義務はありませんが、できれば4年に一回のペースで点検を行うことをおすすめします。
最適な発電量を得るためには、定期的な設備の管理が必要となります。
パネルの汚れをそのまま放置しないこと
太陽光発電パネルに鳥の糞や落ち葉などが溜まると、発電効率を低下させる原因となります。
一般的には、太陽光発電パネルの表面は、汚れやホコリが雨で流されるようにコーティングされていますが、雨が降らずに汚れが付着したままになってしまうと、発電量に影響することもあります。
また、太陽光発電パネルの汚れは、発電量の低下だけでなく火災の原因になることもあります。太陽光発電パネルの汚れは、電流を妨げる要因となるため、長期間そのまま放置しておくと発火したり、火災の原因にもなりかねません。
太陽光発電を長く使用するためには、日頃から設備の点検をして、汚れが付着している場合には清掃の専門業者を利用することをおすすめします。
目視で点検すること
鳥の糞のほかにも、太陽光発電パネルのガラス表面の汚れや破損、フレームの破損、架台の破損、ケーブルの接続状態など、目で見てできる範囲で点検を心がけましょう。
各設備の汚れや破損、腐食、サビなどの点検をすることが必要です。
またパワーコンディショナーの動作音が通常でなかったり、エラーメッセージが出ていないか等、周辺機器の点検も必要です。日常的にできる目視点検は、太陽光発電の不具合を早く察知することができて、設備機器の寿命の長さにも関係してきます。
なお、電気まわりの点検や、屋根上の点検などは危険を伴うため、専門業者に任せるようにした方が良いでしょう。
・パワーコンディショナーの汚れ、フィルターの目詰まり、異音や異臭を確認する。
・太陽光発電パネルの傷や破損を確認する。
・ケーブルや接続箱の配線の破損や腐食を確認する。
・モニターの確認する。
メーカー保証を利用すること
太陽光発電のメーカー保証を利用すると、保証期間中であれば、故障や不具合に対応してもらうことができます。
一般的なメーカー保証期間は、無償で10年、有償で15年や20年に保証期間を延長できる場合もあります。また施工業者が10年の施工保証をしている場合もあります。
太陽光発電システムを導入する際は、設置後の故障や修理に対応できるメーカー保証について確認してから購入することをおすすめします。
メーカー | システム保証 | 出力保証 | 自然災害補償 |
パナソニック | 15年 | 25年 | 15年 |
シャープ | 15年 | 20年 | 10年 |
Qセルズ | 15年 | 25年 | 10年・15年 |
カナディアンソーラー | 15年 | 25年 | 10年 |
ソーラーフロンティア | 10年 | 20年 | 10年 |
京セラ | 15年 | 20年 | 10年 |
長州産業 | 15年 | 25年 | 15年 |
適切なメンテナンス業者を選ぶこと
メンテナンスや定期点検を行う際は、専門知識のある適切な業者を選ぶことが大切です。
太陽光発電のメンテナンスができる認定資格として「太陽光発電メンテナンス技士」があります。「太陽光発電安全保安協会」が運用する資格で、太陽光発電の基礎知識やメンテナンスの技術を講習・研修した者が取得することができます。
他には、「太陽光発電検査協会(PIA)の技術認定」の資格は、資格取得後に「技術認定」が交付され、太陽光発電の保守点検をすることができるようになります。
もし、太陽光発電の定期点検やメンテナンスを依頼する際は、メーカー販売店や施工業者でメンテナンス資格を取得しているスタッフがいると、業者選びの基準にもなります。
太陽光発電のメンテナンスと維持費の内訳
では、実際に太陽光発電のメンテナンスを外注する場合、維持費用はいくらかかるのか?内訳について解説していきます。
太陽光発電の維持費の相場は?
2.9万円 × 5回(定期点検)+ 22.4万円 ÷ 5KW ÷ 20年 =3,690 円/kW/年
(※資源エネルギー庁2022年2月に公表したデータより)
太陽光発電の維持費の内訳は?
太陽光発電の維持費は以下の内訳になります。
定期点検・メンテナンス費用
太陽光発電システムは長期的に利用するため、定期的なメンテナンスが必要です。
2017年4月1日に施行した改正FIT法(経済産業省)により、住宅用太陽光発電においてもメンテナンスの義務化されています。
改正前のFIT法では、50kW未満の太陽光発電のは、メンテナンスの義務は不要でしたが、保守点検や維持管理をしないことでいろいろな問題が発生したケースがあり、50kW未満の太陽光発電設備でも、メンテナンスも義務化するように変更されています。
なお、義務化といっても、定期点検をしない場合に罰則をうけることはありません。
資源エネルギー庁による「太陽光発電の事業計画策定ガイドライン」には、定期点検をしなかった場合は、「指導・助言」「改善命令」「認定の取消し」のいずれかが適用されるとなっています。
住宅用の場合は、定期点検の報告は求められないため、メンテナンス業者を依頼した際の点検を保管しておけば問題はないでしょう。
1回あたり1万円〜3万円程度になります。
システム導入後の無償点検サービスを行っている会社もあります。
故障・修理代
太陽光発電が故障した場合は、メーカーや施工業者に連絡するようになります。
修理費用は、メーカー保証期間内であれば、ほぼ修理費用は無償で対応してくれます。
保証内容については、「出力保証」「システム機器保証」など保証部分によって対応が異なります。「出力保証」の範囲は。メーカーの水準以下の出力であれば、パネル修理や交換も対応してもらうことができます。
「システム機器保証」の範囲は、パワーコンディショナーなどの周辺機器の故障に無償で対応してもらえます。
太陽光発電で契約する際は、メーカーの保証内容について確認しておくことが必要です。
太陽光発電パネル修理代:1枚あたり10万円〜15万円程度になります。
ケーブルが断線した場合は、パネルを交換する必要があります。
清掃費用
太陽光発電パネルの表面に付着した汚れを清掃することが必要です。
鳥の糞や落ち葉、ホコリやその他、太陽光発電パネルの状態を最適にするために清掃を行います。除草作業は、年に2〜3回くらい行うと良いでしょう。
太陽光発電パネル1枚あたり500円〜1,000円程度になります。
除草作業は、草刈りの面積1㎡あたり50〜150円程度。1回あたり`10,000円程度になります。
廃棄・撤去費用
太陽光発電では、パネルを撤去する場合は廃棄・撤去費用がかかります。屋根から設備を下ろす作業で足場を組むため、足場費用が別途かかります。
撤去費は10万円くらい(パネルが20枚に相当)
運搬費と処分費は合わせて5万円程度になります。
保険料
太陽光発電でのトラブルに備えて、保険・保証へ加入することをおすすめします。
加入できるおもな保険は、以下の通りです。
・地震保険:地震による火災、噴火、津波などの損害を補償してくれます。
地震保険は火災保険とセットになっている場合が多いです。
火災保険:15,000円~20,000円/年程度
地震保険:全損、大半損、小半損、一部損などの被害状況に応じて支払われます。
動産総合保険:30,000円〜40,000円/年程度
賠償責任保険:5,000円程度
休業補償保険:10,000円程度
太陽光発電の維持費以外にかかる費用について
太陽光発電の維持費以外にかかる費用は、以下の通りです。
太陽光発電の初期費用や施工費用などになります。
太陽光発電システムの設備費用は?
太陽光発電システムに必要な設備(太陽光発電パネルやパワーコンディショナーなど)の購入費です。
太陽光発電パネルは、1kW17.1万円で、一般住宅用の容量を3〜5kWとした場合、およそ51.3万〜85.5万円程度になります。
蓄電池を導入する場合は、蓄電池費用がかかります。蓄電池は必ず設置しなければならない設備ではありませんが、太陽光発電システムを最適に利用するためには、購入しておいた方が良いでしょう。
電力会社から電気を購入することなく自家発電分で賄えることができ、災害時や停電時にも便利に利用することができます。
5kWh未満で14.9万円/kWh
5~10kWh未満で14.0万円/kWh
10kWh以上で13.1万円/kWh
太陽光発電システムの設置工事費用は?
太陽光発電を設置する施工費用と、設置条件に合わせた追加工事や、屋根のリフォームなどが含まれます。
1kWあたり6.6万円程度になります。
一般住宅の太陽光発電パネルの容量を3〜5kWとした場合、設置費用の相場は、19.8万~33万円が目安となります
太陽光発電のメンテナンスは自分でもできる?
太陽光発電の定期メンテナンスは、専門業者に依頼することをおすすめします。
ご自分で行うことも可能ですが、設備機器の取り扱いによっては、傷がついたり壊れてしまったりするリスクがあります。かえって修理代がかかってしまうこともありがちです。
自分でできることは、故障の規模が大きくならないように、日常の点検をしっかり行っていきましょう。
まとめ
太陽光発電の維持費は、システムを効果的に利用するためにも、費用相場を知って準備すると良いでしょう。
太陽光発電は毎日の発電量によって導入効果が変わってくるので、そのための設備の点検やメンテナンスは不可欠です。
太陽光発電を導入する際は、初期費用とは別途、定期点検や修理代、清掃費用、保険加入料など、維持費を計算して、設備機器を長く利用できるようにしていきましょう。