太陽光発電システムを導入する場合、家庭用でも蓄電池は必要なのか?疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
太陽光発電システムは、初期費用が高額なだけに、蓄電池ついては設置するメリットに加えてデメリットについてもよく調べて、あとから後悔のないようにしたいものですね。
本記事では、太陽光発電と一緒に蓄電池を設置した場合のデメリットを解説していきます。
太陽光発電の蓄電池とは?
太陽光発電の蓄電池とは、太陽光発電で発電した電気を蓄えて、使いたいときに利用できる便利な設備です。
家庭用蓄電池の特徴は、平均容量は6kwhほどが一般的で、大容量のものを設置すれば停電時でも長時間、電気に困らず利用することが可能です。
電気料金が安い夜間に、蓄電池で充電して、電気料金が高い昼間の時間に蓄電池を使うようにすると電気代の節約にも繋がります。
売電収入による10年間の契約が終了すると次は、蓄電池を利用した自家消費型にシフトして、電力会社から買う電気を減らす方法が注目されています。
導入前に知っておきたい!太陽光発電と蓄電池を併用するデメリット
では、太陽光発電と併用する蓄電池のデメリットについて解説していきます。
・設置スペースが必要になる
・蓄電池の寿命に合わせて買い替えは必要になる
・電気の貯められる容量の制限がある
・ダブル発電で売電価格の変動がある
・電気代がすでに安い人はメリットはない
初期費用が高くなる
太陽光発電システムを導入する際は、太陽光発電パネルやパワーコンディショナーなど高額な設備を準備する必要があり、蓄電池を購入すれば、さらに初期費用が高くなってしまいます。また施工費用もかかりますので、予算内に納めるには、費用効果が見込めることが必要となってきます。
太陽光発電や蓄電池を家庭に導入することで元が取れるのか?心配な方は、専門業者や製品メーカーに直接相談して費用効果について検討してもらうことをおすすめします。
また、初期費用を安くするためには、補助金制度を利用すると安く抑えることも可能です。
補助金制度については、国の補助金または地方自治体の補助金などいろいろなプランが提供されていますので、都道府県のホームページから閲覧して検討すると良いでしょう。
また、蓄電池の費用相場を調べて、実際に複数社に見積もり取って比較検討することをおすすめします。
・蓄電容量が大きくなるとkWhあたりの価格が低下する傾向があります。
・5kWh未満は平均15万円/kWh、5〜10kWh未満は平均14万円/kWh、10kWh以上は平均13万円となっています。
・容量小さめの5kWh未満で、本体価格は大体75万円、大容量10kWhで130万円ぐらいの計算になります。
設置スペースが必要になる
蓄電池は屋外設置と屋内設置のいずれかを選べるようになります。
屋外設置の蓄電池には重量があり、屋内設置のものは比較的コンパクトサイズになっています。
屋内設置の場合は、設置面の耐久性によって簡易基礎などを施工してから設置するようになります。
・屋外設置型の蓄電池スペースは、目安として自転車1台を入れるくらいの経路があれば設置できると言われています。
蓄電池を設置する場合に気を付けることは、直射日光が当たらない場所で、できれば北面に置くと良いでしょう。
寒冷地域に設置する際は、低温度の環境では装置のトラブルになる場合もあります。積雪の多い場所への設置も設置箇所の工夫が必要です。
また、できるだけ換気の良い場所で蓄電池付近には燃えやすい物は置かないようにしましょう。
蓄電池は、メンテナンスができるスペースも確保しておくことが必要です。
何かトラブルがあった場合はすぐ対応できるように見やすく手の出やすい場所が理想的です。
蓄電池のスペースは、容量が大きいほど設置スペースを広く確保する必要がありますので、価格を比較検討して適切なサイズや重さのものを選びましょう。
蓄電池の寿命に合わせて買い替えは必要になる
蓄電池の寿命は、およそ10年〜15年と言われています。製品メーカーの保証期間が10年〜15年というものも多く、保証期間内に故障した場合は、無償で修理をしてもらうことも可能です。
ただし、保証期間を経過してからの交換は、有償となりますので、新しい蓄電池の購入費用と設置工事費、古い蓄電池の撤去処分費用などを準備しておく必要があります。
蓄電池を交換するタイミングは、寿命と言われる10〜15年、または故障した場合になります。蓄電池も毎日使用していくうちに年月とともに劣化するようになり、劣化する時期は、家庭での使用頻度によっても変わってきます。
蓄電池を利用していて、いつもと電力消費が違うなと思ったら、保証期間中に修理依頼すると良いでしょう。
蓄電池をできるだけ長く利用できるようにするには、蓄電池を適切な環境に設置することや、過度な充電や放電を繰り返さないように蓄電池に余計な負荷を与えないようにしましょう。
電気の貯められる容量の制限がある
蓄電池の容量によって、電気を貯められる量と使用できる量が異なります。
大容量の蓄電池であれば、電気を多く貯めておけるので使える時間も長くなります。容量が小さければ、貯めた電気量も少なく使える時間も短くなります。
ただし、大容量の蓄電池だからと言って、残量がなくなるまで使ってしまえば、必要なときに電気を自由に使うことはできなくなります。
蓄電池の使い方は、残量を使い切らないように気をつけることが大切です。
蓄電池の容量は、単位kWh(キロワットアワー)で、容量には「定格容量」と「実効容量」の2種類があります。製品メーカーによっては実効容量の記載がない場合もあります。
・実効容量:実際に使用できる電気量
蓄電池の出力というのは、一度にどれくらいの電力量を出せるのかを示した数値です。出力が大きい蓄電池は、同時にたくさんの家電などを使うことができます。
例えば、出力の小さい蓄電池の場合は、停電時には限られた家電しか使えないということになります。
ダブル発電で売電価格の変動がある
太陽光発電を蓄電池と併用して利用すると、ダブル発電で売電価格が低下する可能性があります。
ダブル発電は太陽光発電と蓄電池を併用して使う方法です。
太陽光発電システムで、発電した電気を余剰電力として売買している方は、ダブル発電の仕組みを確認しておくと良いでしょう。
FIT制度では、家庭で使いきれない余剰電力を一定期間、電力会社が固定価格で買い取ることができます。FIT制度はもともと蓄電池は対象となっていなかったため、太陽光発電のみのシングル発電の場合とダブル発電の場合では売買価格に差をつけて設定されています。2018年までの余剰電力の買取価格は、ダブル発電の方が2割ほど安くなっていましたが、2021年ではシングル発電もダブル発電も同額の買取価格になっています。
したがって、買取価格の変動によっては、今後ダブル発電の方が値下がりする可能性もあり、買取価格の動向は注目する必要があります。
電気代がすでに安い人はメリットはない
すでに電気代が安くて、昼間に家にあまりいない人は、蓄電池を設置しても効果的に利用することはできないでしょう。また、蓄電池を設置するスペースが確保できない方は、導入は難しくなります。蓄電池は高額なだけに、それなりの費用効果を期待できない場合は、よく考えて検討することをおすすめします。
太陽光発電システムのデメリットを助ける蓄電池
太陽光発電システムのデメリットは、雨や曇りの日が続くと発電効率は低くなることです。太陽がでなければ当然、発電量は低下します。
また、使い切れない余剰電力が収入になるというFIT制度仕組みは、年々下落傾向になり、1kWhあたり「42円」だった買取価格は、2022年には「17円」へと下落しています。売電収入で太陽光発電システムの費用効果を得るという方法は、電気代よりも安い売電価格が適用されてくるようになると難しくなってきます。
このような太陽光発電システムのデメリットを助ける設備として、蓄電池を併用するという方法を取ることができます。
蓄電池を設置すれば、天候の悪い日は蓄電池に貯めておいた電気を使うことが可能になり、
売電収入が見込めないのならば、蓄電池を設置して自家消費型で電気を賄う方法に切り替えることもできます。
蓄電池を利用することで、太陽光発電システムのデメリットを克服することもできるようになります。
蓄電池を安全に設置する注意点
蓄電池は、電気を蓄える設備であるため、感電には十分注意が必要です。電気設備の取り扱いが不適切であった場合には、感電によって事故が起こる危険性もあります。
リチウムイオン電池について
蓄電池に使用されているリチウムイオンは、消防法上で危険物に指定されています。
リチウムイオンは、使用頻度によって劣化を伴い、電池が劣化すると電解質が酸化してガスが発生します。このような状態になると、ショートしたり、過度な充電が原因で発火や爆発が起きてしまう可能性があります。特に落としたりぶつけたりと衝撃が加わることで事故に繋がりやすくなります。
蓄電池の取り扱いについて
蓄電池での事故を防止するために以下のポイントを確認しておきましょう。
太陽光発電の蓄電池は後付けでも大丈夫?
蓄電池の必要性があまりピンとこない方は、後付けで導入することも考えると良いでしょう。確かに、太陽光発電と一緒に購入した方が、安くなるメリットはありますが、せっかく購入しても費用効果を見込めない場合は、後付けで大丈夫です。
後付けで蓄電池を導入する場合に考えておきたいのは、パワーコンディショナーについてです。既存のパワーコンディショナーの保証期間によって、ハイブリッド型蓄電池または、単機能型蓄電池のいずれかを選ぶことができます。
パワーコンディショナーの保証期間がもうすぐ終わって取り換え時期が近い場合は、1台のパワーコンディショナーと蓄電池を兼用できるハイブリッド型蓄電池がおすすめです。
ハイブリット型蓄電池は、電気変換ロスが少ないのでエネルギーの効率化と有効活用できるメリットがあります。
蓄電池を後付けする時期は、パワーコンディショナーの保証期間が終了するタイミングに合わせて導入を検討すると良いでしょう。
また、もし、後付けで蓄電池を設置する予定であれば、設置工事業者に相談して、太陽光発電パネルに相性の良い蓄電池を選定してもらったり、後付けする際の注意点などを聞いておくとよいでしょう。
なお、太陽光発電の蓄電池を導入するメリットについては以下の関連記事を参考にすると良いでしょう。
まとめ
太陽光発電システムの蓄電池のデメリットについて解説しました。
蓄電池は、使用する電気量に合った容量のものを選んで、正しく取り扱うようにしていきましょう。蓄電池は設置する場所や環境によっても劣化の進行が変わるため、適切な場所に設置してできるだけ寿命のタイミングまで使い続けられるようにしましょう。
蓄電池は、太陽光発電と一緒に導入する際は初期費用が高くなりますが、補助金制度を利用したり、蓄電池を設置することで得られるメリットも踏まえて検討すると良いでしょう。