玄関は、家に帰ってきて最初に入る場所で、「我が家に帰ってきたなあ」とホッとさせてくれる空間です。さらには、お客様をお迎えする「家の顔」となる場所です。
クリスマスツリーやお雛様など、季節ごとの飾り物を置いたり、間接照明で雰囲気づくりをしたりと、「コンセントがあればもっと素敵にできるのに!」と考える方も多いのではないでしょうか。
家を建ててから、失敗したとよく言われるのが、コンセントの個数と位置です。
今回は、家の計画時にコンセントの個数と位置をしっかりと確認したつもりでも、どうしても見落としがちな「玄関」のコンセントについて、詳しく見ていきましょう。
玄関にコンセントは必要?玄関コンセントの使い道
我が家に帰ってきたとホッとさせてくれる空間であり、お客様をお迎えする「家の顔」となる「玄関」。玄関の雰囲気で、家全体のイメージも変化します。
そんな玄関をより素敵な空間にするために、コンセントがあるととても便利です。また、雰囲気作りだけではなく掃除用具等にも、コンセントが必要になる場合があります。
玄関に設置するコンセントの使い道について、いくつかご紹介します。
使い道その1:飾り物に利用する
玄関の雰囲気をより素敵にしてくれるのが、クリスマスツリーやお雛様などの飾り物です。
私たちは、桜や紅葉など、自然での季節の移り変わりだけでなく、クリスマスやお雛様、ハロウィン、お正月などのイベントを通して四季を感じたり、楽しんだりしています。
玄関からは、お庭に植えられた草花を眺めることができず、自然から季節の移り変わりを感じることができない間取りの住宅もたくさんあると思います。
そうした住宅でも、玄関に季節に合わせて飾り物をすることで、季節の移り変わりを楽しむことができます。
そうした飾り物には、電飾などが付いていることも多く、コンセントが必要になります。
お庭の草花やお花屋さんで購入したお花を玄関に飾る際にも、照明などでより鮮明に色や陰影を映し出してあげることで、空間の雰囲気がさらに素敵なものになります。
この照明器具などにも、コンセントが必要になります。
また、水槽などを置く場合にも、コンセントが必要になります。色鮮やかな魚たちが、玄関の雰囲気をさらに高めてくれるでしょう。
使い道その2:掃除用具に利用する
玄関を掃除する際、玄関にコンセントが無いと、掃除機の電源コードをほかの部屋まで引っ張ったり、いちいち延長コードを使わなければならなかったりと、何かと面倒です。
そんな時、玄関にコンセントがあれば面倒を省くことができます。小さな面倒でも、毎日の掃除のたびにかかってくるとなると、とても大変です。
使い道その3:充電に利用する
最近は、電動自転車の利用者が多くなりました。玄関のシューズクローク内にコンセントがあれば、部屋の中に運び込むことなく充電が可能です。
アプローチの屋外コンセントでも充電はできますが、盗難などの防犯上、屋内で充電ができると安心ですね。
また、自動掃除ロボットの利用者も増えてきています。
特に玄関周りは掃除を後回しにしてしまいがちです。そんな時に自動掃除ロボットで掃除をしておけば、急な来客時に焦ることもありません。
この自動掃除ロボットの充電スペースに玄関のコンセントが必要になります。
使い道その4:除湿器や乾燥機などに利用
シューズクローク内に、雨靴やレインコート等の雨具を収納するように計画をしている方もいると思います。シューズクロークにそうしたものを入れる場合には、できる限り乾燥させた状態で収納するのが良いでしょう。
しかし、玄関はなるべくスッキリさせた状態を保ちたいものです。
乾燥の為、一時的にシューズクロークの外に雨具を出しておくと、いずれ出しっぱなしの癖がついてしまい、玄関がごちゃごちゃしてしまいます。
それを防ぐために、多少濡れた状態でも雨具を収納できるように、シューズクローク内で乾燥機や除湿器を利用することができれば、雨の日でもすっきりとした玄関を維持できます。
そのために、シューズクローク内にコンセントがあると便利です。
また、雨具でなくても、靴が蒸れて臭いが気になることのないように乾燥機や除湿器を利用することもできます。
玄関にコンセントがない!増設時のポイントと費用をチェック
新居を建てる前にしっかりと計画を確認していたつもりでも、いざ新居での生活を始めてみると、足りないものがみえてきます。
その中でも特に多いのがコンセントで、「ここにコンセントがあったら良かったのに」と、部屋に家具等を配置してみて初めて気づくこともあります。
そうした中で、「玄関にコンセントがない!」と気づいたときのコンセントの増設について、詳しくみてみましょう。
玄関コンセント基本の増設方法
それでは、玄関コンセントの増設方法についてみてみましょう。
まず、戸建てに多い木造住宅の配線方法についてご説明します。現代の木造住宅の壁は、ほとんどが「大壁」という造りになっています。
「大壁」の特徴は、壁内部の空間を利用して柱や配線が壁内部に入れているため、壁表面に柱など構造材が露出することなく、凹凸のないすっきりとした仕上がりになることです。
この壁の中には、柱や配線の他にも、断熱材が充填されていたり、気密シートという湿気を壁の中に通さないためのシートが貼られています。
反対に、伝統的な日本家屋のように、柱などの構造材が壁表面に露出している造りは、「真壁」といいます。現代の木造住宅では、和室に利用する場合もあります。
「真壁」の場合、壁内部に十分な空間がなく配線などを入れることができないため、コンセントやスイッチの配線が露出になっています。
玄関コンセントの配線方法を選ぶ
玄関にコンセントを増設する場合、いくつかの選択肢があります。
まず、電源をどこから配線するのか選択しなければなりません。
1つは、近くのコンセントから延長して配線する方法です。もう一つは、分電盤から新たに専用の配線をする方法です。
玄関にコンセントを増設する場合のほとんどは、近くのコンセントから延長して配線する方法を選択することになると思います。
分電盤からの専用配線には、電子レンジ等の消費電力が大きい電化製品に利用することがほとんどです。玄関で利用するものが照明や電飾等であれば、専用配線は必要ありません。
また、近くのコンセントから延長して配線するほうが、工事範囲もコンパクトで済みます。
埋め込み配線と露出配線
次に、配線を壁内部に埋め込むか、壁に露出するのかを選択します。これは、「大壁」か「真壁」かによって、増設方法の選択肢が変わります。
「大壁」の場合は、壁内部に配線をする「埋め込み配線」か、壁面に配線を這わせる「露出配線」を選択できます。
埋め込み配線の場合
「埋め込み配線」の場合、壁の外に配線が出てこないので、スッキリと仕上げることができます
しかし、一度壁に穴をあけて配線をするので、「露出配線」よりも大掛かりな工事になってしまいます。また、壁内部にある構造部材の位置によっては、希望した場所にコンセントを増設できないかもしれません。
「埋め込み配線」でコンセントを増設する場合に注意が必要なのは、一番外側の壁への増設です
現代の住宅は、家全体を包むように、外気に面する壁内部に断熱材を隙間なく充填させています
その壁内部に配線をするということは、断熱部分に隙間をあけてしまい、家全体の断熱性能を低下させてしまう可能性があります。
露出配線の場合
「露出配線」の場合は、増設するコンセントの位置を比較的自由に決めることができますが、配線やコンセントボックスが表に出てきてしまうので、見た目が気になるかもしれません。
「真壁」にコンセントを増設するのであれば、「露出配線」になります。
玄関のコンセント増設を依頼する業者
増設の方法を、簡単にご説明しました。次に、どのような業者に工事を頼めば良いのかみていきましょう。
電気工事の専門業者にお願いするのはもちろんですが、一番望ましいのは、家を建てたときに配線工事をお願いした電気工事業者に依頼をすることです。
「大壁」の場合、壁内部に配線が埋め込まれてしまうので、どのように配線をしているのか、専門業者でも図面を見るだけで把握することは難しいです。
また、業者によって配線方法が微妙に異なることもあります。実際に建てたときにお願いした電気工事業者であれば、どのように配線をしているかおおよそ把握しているはずですので、無駄に壁内部に穴をあけて配線状況を確認するなど、不安も少なくなります。
玄関コンセント増設時の費用
コンセントの増設にかかる費用ですが、配線の方法によって数万円の価格差があります。
近くのコンセントから露出配線でコンセントを増設する方法が、最も安く仕上げることができ、1万円台で済ませることも可能です。
反対に、分電盤から専用配線をして壁内に埋め込むように仕上げると、工事費用は高くなるでしょう。また、配線距離によっても価格が異なります。
まずは、業者に現地調査をしてもらってから見積をお願いしましょう。
また、きちんとした工事をしなければ、漏電が原因で火災につながったりと、大きな問題に発展しかねないので、安さだけでは判断をしないようにしましょう。
玄関コンセント増設時の便利な位置
玄関にコンセントを増設することが決まったら、ただ増設するのではなく、きちんと位置を検討しましょう。
先ほどご紹介した「玄関コンセントの使い道」に沿って、下巻コンセントの増設時の便利な位置をみてみましょう。
便利な位置その1:飾り物に利用する場合
玄関に飾り物を置いて、その電飾などに利用する場合、下駄箱などのカウンターがあれば、その上にコンセントを増設しましょう。
床にコンセントを設置すると、カウンター上の飾り物までのコードが目立ってしまい、せっかくの飾り物の美観を損ねてしまいます。
コンセント中心が、カウンター上150~180mm程度の位置にくるように設置すると良いでしょう。
便利な位置その2:掃除用具に利用する場合
玄関やホールの掃除の際に、掃除機のコンセントとして利用するのであれば、できる限り目立たない位置にコンセントを増設しましょう。
玄関に入って正面の壁や、絵画などを飾っている壁には目が行きやすいので、下駄箱の陰になるような位置に増設すると良いでしょう。
便利な位置その3:充電に利用する場合
電動自転車のバッテリーや、コードレス掃除機の充電に利用する場合は、目に入るところへのコンセントの増設は避け、シューズクローク内にコンセントを増設すると良いでしょう。
シューズクローク内の床面が、玄関の高さと同じ場合は、雨の日に床面が濡れることがあるので、コンセントの中心が床から250~300mm程度の位置に増設すると安心です。
シューズクローク内の床面が、ホールや部屋の床と同じ高さの場合は、コンセントの中心が床から150~200mm程度の高さに増設すると良いでしょう。
自動掃除ロボットの充電に利用する場合は、充電位置が部屋の床の高さとフラットな場所でないといけなかったり、自動掃除ロボットが行き来できるスペースを確保しなければなりません。
事前に設置場所はよく検討しましょう。
便利な位置その4:除湿器や乾燥機などに利用する場合
シューズクローク内で雨具や靴の湿気を取り除くために除湿器などを設置する場合は、シューズクローク内にコンセントを増設するのはもちろん、床の高さによってコンセントの増設高さを確認しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。玄関のコンセントには、様々な使い道があります。
玄関は、家のイメージを決定づける大切な場所です。「家の顔」となる玄関をより素敵な空間にするために、どのような演出をするか検討してみましょう。
また、毎日利用するからこそ、より快適に利用できる工夫も必要です。常にスッキリとした玄関を保てると、毎日清々しく生活ができます。
空間演出のため、普段利用のため、どちらもより素敵な暮らしをするためには欠かせないものです。実現の為に、玄関コンセントの設置を一度検討してみてはいかがでしょうか。