車を所有している方にとって、愛車をどのようにして守るかといったことは大きな関心ごとですよね。
その方法の一つとしてカーポートの設置を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、カーポートは良いものだという先入観だけで購入を安易に決めてしまうのは大きなリスクが伴います。
物事というものは良い面もあれば悪い面もあるのが世の理。
もちろんカーポートにも悪い面が存在します。
この記事ではカーポートの負の側面にスポットライトを当ててみたいと思います。
内容としては大まかに
- カーポートとは何か?
- カーポートのデメリット
- カーポートに関する失敗例
の3部構成になっています。
「カーポートを購入する前にもう一度考えてみたい」
そんな思いをお持ちの方は続きをぜひともご覧ください。
カーポートって何?ガレージとの違いは?
カーポートのデメリットを良く理解するためには、カーポートの役割を知っておく必要があります。
カーポートの役割は何?
カーポートの主な役割は6つあります。
- 雨や鳥糞などから車を保護する
- 乗車の際に人が雨に濡れなくなる
- 紫外線による車の塗装の劣化を防ぐ
- 冬場、フロントガラスに霜が降りなくなる
- 直射日光による車内の温度上昇を防ぐ
雨や鳥糞などから車を保護する
カーポートのない家庭では、車は雨ざらしになってしまいます。
雨にはミネラル分が含まれており、雨が乾燥するとミネラル分が結晶化して白いシミに見える現象「イオンデポジット」を引き起こします。
また、車が汚れる原因として「水垢」の存在も忘れてはなりません。
水垢は車の表面についた大気中の粉塵や油分などの不純物が、雨水の通り道に堆積したもの。
「イオンデポジット」も「水垢」も放置していると落ちづらくなり、また美観を損なう元となります。
鳥糞を防ぐことができるのも大きな役割。誰だって愛車に糞を落とされたくないですものね。
乗車の際、雨に濡れなくなる
雨天時、車に乗り込む以外に、積荷を下ろしたりする作業の際にもカーポートは活躍します。
また、車椅子の方が乗車する際にも余裕をもってシートに乗り移ることができますし、赤ちゃんの場合も同様です。
紫外線による車の塗装の劣化を防ぐ
日常的に長時間紫外線の下、車を晒してしまうと車体の塗料が色あせする原因となります。
これは「チョーキング」と呼ばれる、塗料の樹脂が分解され白い粉を発生させる現象により引き起こされるもの。
カーポートの屋根材であるポリカーボネート板は紫外線を大幅にカットしてくれるので「チョーキング」が発生しづらくなるのですね。
冬場、フロントガラスに霜が降りなくなる
冬場の早朝に車のフロントガラスに霜が降りているのを見かけたことはありませんか?
あれは地面の「放射冷却」が原因なのです。
「放射冷却」とは地面の熱が上空に放出されることにより冷やされる現象のこと。
同時に車の温度も下がることとなり、フロントガラスに霜が降りてしまうのですね。
ではなぜカーポートがあると霜の発生を防ぐことができるのでしょうか?
それは、地面の熱が逃げるのを屋根が食い止めてくれるから。
カーポートには面倒な早朝の霜取りの手間をなくすという役割もあるのですね。
直射日光による車内の温度上昇を防ぐ
カーポートの屋根材には、車内の温度上昇を防ぐ熱線遮断ポリカーボネートや、光を通さないスチール折版などが使われています。
- 暑くて乗車が不快
- ハンドルが熱くて握れない
- こんな悩みを解消してくれるのです。
ガレージとの違い
カーポートとガレージ。
両者の役割は一言でいうと「車を守る」ことですが、それぞれに細かな違いや特徴があります。
【カーポートの特徴】
- 価格が安め
- 施工が早め
- 防犯性が低い
- 雨の吹込みを完全に防げない
【ガレージの特徴】
- 価格が高め
- 施工に時間がかかる
- 防犯性が高い
- 雨の吹込みを完全に防げる
とはいえカーポートの中には非常に高価で、ガレージと同等の価格帯のものも存在します。
後悔しないために知っておくべきカーポートのデメリット
先程、カーポートの役割を述べましたね。
しかし、一見いいことずくめに思えるカーポートですが、設置することによるデメリットもあるのです。
カーポートを設置するデメリット
①倒壊・破損のリスクがある
ガレージと比べると簡素な作りであるカーポートは自然災害などにより壊れる可能性があります。
例えば、例年にない大雪に見舞われた際に、カーポートが車を押しつぶす形で倒壊してしまったケースもありました。
カーポートは外構のデザインを大きく左右するため、ハイデザインのものを選びがち。
耐久性にも考慮して選ばないと後悔することになるかもしれません。
②駐車&乗り入れの際に柱が邪魔になる
カーポートの屋根を支えるために柱はなくてはならない存在。
しかし、乗り入れや駐車の際にはどうしても邪魔になってしまうんですよね。
ありがちなのが、不注意にもドアを勢いよく開けしまい、柱に「ガツンっ!」と当ててしまうというもの。
車を保護するためのカーポートのせいで車を傷つけてしまっては元も子もありません。
気をつけたいポイントですね。
③開放感がなくなる
敷地に大きな覆いが一つできるわけですから、窮屈になるという印象は否めません。
設置箇所やカーポートの種類によりますが、部屋に入ってくる日の光を遮ってしまうため、部屋全体が薄暗く重たい雰囲気になりがちです。
これは大きなデメリットと言えるでしょう。
デメリットの対処法
先程、カーポートのデメリットをお伝えしましたが、対処の仕方によっては比較的問題なくなるケースもあります。
【①に対して】高耐久のものを選ぶ
倒壊や破損が心配なら、高耐久のカーポートを選べば安心感が高まります。
高耐久なカーポートの筆頭としては「両側支持」であり、屋根材に「スチール折板」を使用しているタイプを挙げることができるでしょう。
【②に対して】後方支持型のカーポートを選ぶ
柱が邪魔で乗り入れや駐車に問題があるのなら、柱がじゃまになりにくい後方支持タイプのカーポートを選ぶと良いでしょう。
もしくは、柱の間隔をある程度自在に変えられる吊り下げタイプも選択肢に入りますね。
【③に対して】高さのあるカーポートを選ぶ
天井の高い吹き抜けの部屋は開放感がありますよね?
カーポートも同じ理屈です。
ただし、屋根を高くしすぎると雨が吹き込みやすくなるので注意しなくてはなりません。
みんなの失敗から学ぶ!カーポートでよくある失敗例
思っていたより駐車しづらい
敷地面積が狭くなりがちな日本の住宅では当然、駐車スペースが限られてきます。
住宅設計者の決めた通りにしたら「狭くて車の出し入れが不便」ということも。
住宅と道路、車の大きさの関係や状況によりけりですが「直角駐車なら車庫間口3.6m以上」あると余裕をもった車の出し入れができると思われます。
カーポートが車に対して小さかった
車を十分にカバーできていないカーポートは、その役割を十分に果たすことができません。
そして必然的に柱と車の扉との距離が近くなってしまうので、乗り入れの際にも不便です。
また、片側支持タイプの場合、車体が干渉し脱着式のサポート柱を装着することが不可能になってしまう可能性があります。
自然災害や気候のことを考慮していない
カーポートは外構デザインに大きく影響しますから、できればオシャレなカーポートを設置したいと思うのが人情ですよね。
しかしここに落とし穴があるのです。
もし例年にはない積雪や大型の台風などが来たらどうなるでしょうか?
もちろん倒壊のリスクは高まりますよね?
もし、デザイン優先で選びたい場合は、耐久性をアップするオプション(サポート柱など)をあわせて購入するのがいいでしょう。
家とカーポートのデザインが合っていない
楽しみにしていたカーポートの設置。
しかしいざ工事が完了してみると「想像していたのと違う…」
主な失敗ポイントは
- 家との色味・質感が調和しない
- 外構デザインとの相性がいまいち良くない
などが挙げられますね。
また、家や外構と好相性でも車のデザインとの相性が良くないケースもあります。
主にどの部分に合わせるべきかを考えておくと理想と現実のギャップが起こりにくくなるかもしれません。
乗り降りの際に雨に濡れる
車を保護するのに必要な最低限度の大きさのカーポートを選んでしまうと、雨天時の乗り降りに苦労することとなります。
「大は小を兼ねる」
このさき何年も使うことを考えれば、多少値が張っても大きめのカーポートを選んでおくのも悪くない選択と言えるでしょう。
カーポートの高さが適切ではない
カーポートの高さはデザインの調和や実用性において大事なポイントです。
具体的には
- 開放感
- 雨の吹込み具合
- 駐車可能な車種
などに影響を与えます。
とくに致命的な失敗としてあげられるのが、柱が短く屋根の高さが足りないというもの。
屋根が低すぎて車が入らなければ、そもそもカーポートとしての存在意義が皆無になってしまいます。
あと、将来的に大型の車種に買い換える、もしくは現在使っている車にキャリアを装着するといった可能性も考えられますよね。
これらのケースを想定するならば屋根が高めのカーポートを購入するのもありでしょう。
しかし、屋根が高くなると気になるのが雨の吹込み。
この欠点をカバーするためには屋根がサイド部分にまで伸びているモデルを購入するか、オプションでサイドパネルを付けるのが効果的です。
自転車のことを考慮していなかった
雨や日光に晒されることによる不利益は何も車に限った話ではありません。
自転車も雨に晒されれば錆びますし、日光に晒されれば劣化します。
「自転車もカバーできる大きめカーポートにしておけばよかった」という後悔は決して珍しいことではないのです。
屋根からの落雪で破損
豪雪地帯でない地域の方ならば基本的には、耐積雪性能をそこまで気にする必要はありません。
しかし「屋根からの落雪が考えられる箇所に設置する必要がある」という場合に関しては考えなくてはなりません。
落雪の衝撃でカーポートが割れるというケースは実際に起っています。
カーポートが破損するだけならまだしも、落雪によって人が被害を受けることも十分あり得ること。
頑丈な屋根材を選択し事故を未然に防ぐ心構えを持つとよいでしょう。
まとめ
今回のポイントをそれぞれ箇条書きにして整理してみました。
【カーポートの役割】
- 雨や鳥糞などから車を保護する
- 乗車の際に人が雨に濡れなくなる
- 紫外線による車の塗装の劣化を防ぐ
- 冬場、フロントガラスに霜が降りなくなる
- 直射日光による車内の温度上昇を防ぐ
【カーポート設置によるデメリット】
- 倒壊・破損のリスクがある
- 駐車&乗り入れの際に柱が邪魔になる
- 開放感がなくなる
【カーポートでよくある失敗例】
- 思っていたより駐車しづらい
- カーポートが車に対して小さかった
- 自然災害や気候のことを考慮していない
- 家とカーポートのデザインが合っていない
- 乗り降りの際に雨に濡れる
- カーポートの高さが適切ではない
- 自転車のことを考慮していなかった
- 屋根からの落雪で破損
この記事が、カーポートを購入する前にもう一度考えてみるきっかけになれば幸いです。