暮らし始めたころは傷も汚れもなくきれいだった床も、何年か生活を続けていると、いつの間にか傷や汚れが目立つようになっていることがあります。
気づいたときには、自分では落としきれないシミになってしまっていたり、大きな傷は、補修の為に業者へ依頼しなければならないなど、予想外の出費となってしまうことも。
しかし、床を全く傷つけたり汚したりせずに生活をするのは非常に難しいものです。
特に、小さなお子様やペットがいるご家庭では、気づかないうちに傷や汚れがどんどん増えていきます。
後々、こうした床の補修に悩まされることなく入居時のきれいな状態を長続きさせる対策として、「フロアコーティング」がおすすめです。
今回は、「フロアコーティング」とは何なのか、またそのメリットや費用などを詳しくご紹介します。
フロアコーティングとは
「フロアコーティング」とは、名前の通り床をコーティングすることによって、傷や汚れから守る方法の一つです。
床表面を高硬度の塗膜で覆うことで、床を傷や汚れから守ります。
「フロアコーティング」をする大きなメリットは、この塗膜によって汚れが落ちやすくなるので、掃除が楽になることです。
他には、日焼けなどによる経年劣化から床を守ってくれたり、グリップの強いコーティング剤を利用すれば転倒防止にもつながります。
ワックスよりも耐久年数が長く、塗り替えの手間も省くことができます。
使用を開始する前に「フロアコーティング」をしておくことで、床をより長くきれいな状態に保ってくれます。
フロアコーティングの種類
フロアコーティングには、コーティング剤によってその特徴が異なります。
目的に合ったコーティング剤を選択することが大切です。
コーティング剤は大きく分けて5種類に分別されます。
- アクリルコーティング
- ウレタンコーティング
- ガラスコーティング
- シリコンコーティング
- UVコーティング
それぞれ、耐久年数や光沢感が異なります。
一般的に、耐久年数が長いほど施工費用も高くなります。
上記の5種類の中で最も耐久年数が長いのが、「UVコーティング」で、20年程度です。
施工費用も、「UVコーティング」が最も高くなります。
次に耐久年数が長いのが、「ガラスコーティング」で15年程度、次いで「シリコンコーティング」が10年程度になります。
「ウレタンコーティング」と「アクリルコーティング」の耐久年数は一般的に2~3年と他の3種類と比較すると短くなりますが、再施工がしやすく1回の施工費用が安くなります。
正確な耐用年数は使用するコーティング剤によって異なるので、事前に確認をしておきましょう。
光沢感で比較すると、「UVコーティング」が最も強い光沢感が出ます。
マットな仕上がりを希望するのであれば、「ガラスコーティング」がおすすめです。
光沢感の程度は、人によって好みが分かれます。お持ちの家具などのイメージとも合わせる為に、施工前に完成品のサンプルなどを確認しておくことが大切です。
フロアコーティング施行までの流れ
次に、実際にフロアコーティングの施工までの流れをみていきましょう。
- 業者の選定
- 見積
- 施工する床の掃除、建具などの養生
- コーティング剤の塗布
- 乾燥
- 養生を剥がす
施工する業者をきちんと選定できるかどうかが、なによりも大切です。
ホームページなどから、施工実績やアフターフォローのシステムをよく確認しておきましょう。
施工実績が豊富な業者であれば、床材に適したコーティング剤を選ぶことができ、床材とコーティングの密着不良というような施工不良も防ぐことができます。
万が一、施工不良などが起こってしまっても、アフターフォローが充実した業者であれば安心して再施工をお願いすることができます。
また、実際に問い合わせをした際の印象も選定のポイントとなるでしょう。
施工の契約前には、必ず施工する部屋を見てもらった上で見積もりをお願いしましょう。
部屋の広さを伝えるだけの概算見積りでは、施工前に床面を平滑にするための床の補修費用などが含まれていない場合もあり、施工後の請求金額が予想以上の金額になってしまうこともあります。
施工当日までに、部屋の中の家具などはすべて移動しておきましょう。
また、施工後はコーティング剤が完全に乾燥して硬化するまで家具などは搬入できないので、その期間の保管場所も検討しておくと安心です。
施工当日は、まず床面のごみや汚れを取り除き、傷などが無いか確認をします。
コーティングする床面に凹凸や汚れがあると施工不良につながるので、念入りに行います。
施工する部分以外にコーティング剤が付かないよう養生もしっかりと行わなければなりません。
施工前の下準備が完了すると、コーティング剤を塗布していきます。
コーティング剤の種類によって、下塗りやトップコートを塗る回数と完全に乾燥するまでの時間が異なります。コーティング剤が完全に乾燥して養生を剥がしたら、作業終了となります
業者に依頼をしても、1日がかりの作業になるでしょう。
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フロアコーティングのメリットとデメリット
フロアコーティングのメリットとデメリットを簡単にご紹介します。
まずはメリットをいくつか挙げてみましょう。
- 床が傷つきにくい
- 汚れに強い
- 転倒防止になる
- 部屋が明るくなる
フロアコーティングのメリットとして最も大きいのが、傷や汚れが付きにくくなることです
ここでよく勘違いをされてしまうのが、「フロアコーティングをすれば傷や汚れが全くつかない」ということです。
フロアコーティングをすればコーティング面で床を覆うため、床自体に傷や汚れはつかなくなりますが、コーティング面に傷や汚れが付かないわけではありません。
コーティング面は床材と比較すると硬度が高い為に床材よりも強く、汚れにも強くできているだけであって、直接人や家具の脚に触れていれば傷や汚れが付く可能性は大いにあります。
万が一、コーティング面に大きな傷ができてしまった場合は再施工が必要になるので、フロアコーティングを行えばどんなものを落としたりしても大丈夫ということではない点には注意しておきましょう。
転倒防止になる理由は、コーティング剤によってはグリップがより強く効くものがあるからです。
こうした種類のものは、小さなお子様やご高齢者、ペットがいるご家庭には特に適したコーティング剤でしょう。
フロアコーティングをすることによって部屋が明るくなるのは、床面に光沢感が出る為です
照明や日光を反射することで、室内がより明るく感じられます。
次に、デメリットをいくつか挙げてみましょう。
- 費用がかかる
- 業者へ依頼をしなければならない
- コーティング剤の種類によっては傷が目立つ
フロアコーティングは、ワックスと比較すると費用がかかります。
コーティングの種類によっては、数十万もの費用がかかることもあります。
けれども、定期的にワックスがけをする必要がなくなったり、傷などにも強く耐久年数も長いため、長期的なトータルコストを考えるとコストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。
費用がかかる理由として、業者へ依頼をしなければならないことが挙げられます。
後ほど記述しますが、フロアコーティングはDIYでの施工も可能です。
この場合、費用を大幅に抑えることができます。
しかし、家全体など広い範囲を施工する場合や、施工不良による補修の手間などを考慮すると、業者へ依頼をしておくことをお勧めします。
また、コーティング剤によっては強い光沢がでるものもあり、コーティング面の傷が目立つ場合もありますので、事前にサンプルで光沢具合をきちんと確認しましょう。
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フロアコーティングにかかる費用の相場
では実際に、フロアコーティングにかかる費用はどの程度なのでしょうか?
コーティング剤の種類によって、かかる費用が異なります。
一般的に、耐久年数が長ければ施工費用も高くなります。種類ごとに費用の相場をみていきましょう。
アクリルコーティング
アクリルコーティングは、市販のワックスよりも耐久性があり、その年数は2年から5年といわれています。費用相場は、1平米あたり1,000円~2,000円です。
ウレタンコーティング
ウレタンコーティングの耐久年数は、2年から3年といわれています。
アクリルコーティング同様、比較的安価なフロアコーティングのため、初めての方も選択しやすいコーティング剤です。
費用相場は、1平米あたり2,000円~3,000円です。
ガラスコーティング
マットな仕上がりが特徴のガラスコーティング。耐久年数は15年程度になります。
費用相場は、1平米あたり3,500円~5,500円です。
製品の耐久年数や保証年数によっては、1平米あたり7,000円程になるものもあります。
シリコンコーティング
グリップ力のある仕上がりが特徴なのが、シリコンコーティングです。
転倒防止のためにこのコーティング剤を選択される方もいます。
耐久年数は10年程度といわれています。費用相場は、1平米あたり3,000円~4,000円です。
UVコーティング
コーティング剤の中で最も耐久年数が長いのが、UVコーティングで、その長さは20年以上ともいわれています。
費用相場は、1平米あたり4,500円~5,000円で、コーティング剤の中で最も費用が高くなります。
上記の平米単価に、施工面積をかければ、かかる費用の概算ができます。
一般的な3LDKのマンション全体にフロアコーティングをすると、施工面積はおよそ70平米となります。概算の際の参考にしてみてください。
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フロアコーティングのDIY!自分でやる方法
業者にフロアコーティングの施工を依頼すると、予算オーバーとなってしまうけれど、床の保護の為にフロアコーティングをしたいと思っている方も多くいると思います。
費用を抑えるために、DIYでフロアコーティングをするという方法があります。
では、DIYでフロアコーティングをする方法を簡単にご紹介します
必要なものの調達
まず、フロアコーティングに必要なものを揃えます。
- 掃除機
- 中性洗剤
- タオル
- フロアコーティング用モップ
- 養生テープ
- コーティング剤
上記の6点を揃えれば、DIYでフロアコーティングをすることができます。
1~3は施工前の室内の掃除に使用します。
4のモップは、必ずフロアコーティング用のものを使用しましょう。
5の養生テープは、コーティング剤が建具などについてしまうことがないよう、養生に使用します。
6のコーティング剤は、目的に適した種類のものを選びましょう。
施工の流れ
必要なものが揃ったら、いよいよ施工になります。大まかな流れをみていきましょう。
- 室内の家具などを撤去する
- 床をきれいに掃除する
- 養生をする
- コーティング剤を塗布する
施工する室内には家具などのものを置かないこと、事前の掃除や養生を念入りに行う事が失敗せずにフロアコーティングをする第一段階です。
床に物が置いてあったり、ゴミや汚れがきれいに撮れていないと、コーティング剤に混入してしまい密着不良などの原因となります。
また、養生を怠ると施工範囲外までコーティング剤が付いてしまいます。
コーティング剤の塗布は、塗りムラを防ぐためにも、適した温度・湿度の中で行うことが大切です。
気温は20度前後、湿度は60%前後が望ましいです。
また、窓は閉めて行いましょう。
風によって乾燥が早く進むと、塗りムラの原因となるためです。
塗り始めは、出入り口から一番遠いところからスタートして、最後は出入り口で終わるよう事前にルートを確認しておきましょう。
コーティング剤の塗った部分から乾燥は進んでいくので、塗りムラが起こらないように手早く進めましょう。
コーティング剤の塗布が終了したら、完全に乾燥するまでしっかりと待ってから、家具などの搬入をするようにしましょう。
DIYでのフロアコーティングの失敗談として多いのが、ゴミなどの異物混入と塗りムラです。
業者と異なり、手際が悪く作業スピードが遅い場合に起こりやすいです。
施工不良で補修が必要になってしまう場合もあるので、コーティング剤は剥離・再施工しやすい種類のものをお勧めします。
補修の為に業者に依頼してみると、最終的にかかったコストは最初から業者へ依頼した場合と変わらなかったなんてこともあります。
よく検討をしてから、DIYに挑戦するか決定しましょう。
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フロアコーティングの疑問を解決
フロアコーティングについて興味はあるけれど、「うちの場合は施工できるのか?」「安全性は?」など、様々な疑問もあるかと思います。
よくある疑問について、みていきましょう。
ペット(犬・猫)の居る家はフロアコーティングが向いている
滑り止めの対策をしていない床で生活をしていると、特に犬は足腰に負担がかかりやすく、ヘルニアなどになりやすいです。
ペットがいるご家庭では、カーペットなどを敷いて滑り止めとして利用していることも多いかと思います。
けれども、カーペットが汚れてしまった場合、掃除の手間がかかってしまうのが難点です。
フロアコーティングの中には、こうしたお悩みを解決できる種類のコーティング剤があります。
それが、「シリコンコーティング」です。
グリップ性が高いので滑りにくく防汚性や撥油性があるので、汚れてしまった場合でも簡単に落とすことができます。
中には、ペット用に開発されたフロアコーティング剤もあります。
こうしたコーティング剤であれば、安心してペットのいる部屋にも使用できますね。
赤ちゃんがいる家庭には安全性の高いコーティング剤を選ぼう
赤ちゃんや小さなお子様は、床を這ったりするので、フロアコーティングをする場合は特にその安全性に注意したいですよね。
しっかりと安全基準をクリアしたコーティング剤を使用すれば、問題なく使用できます。
指標として、ホルムアルデヒド規制商品であるかを確認してみましょう。「F☆☆☆☆(F フォースター)」に商品であれば、安全性では最上位のものになります。
床暖房付きのフローリングも基本的には施行可能
床暖房をつけている部屋にフロアコーティングをすると、コーティングが溶けたり変形してしまうのではないかと心配される方もいるかと思います。
ほとんどのフロアコーティングの耐熱温度は、床暖房で使用する温度よりもはるかに高いため、床暖房をつけている部屋にもフロアコーティングをすることは可能です。
ただし、中には耐熱温度の低いコーティング剤もあるので、施工前に必ず耐熱温度を確認しておきましょう。
フロアコーティングは入居後でも施工可能
フロアコーティングは、入居後でも施工可能です。
ただし、施工時には室内の家具などはすべて外に搬出しておく必要があります。
施工当日だけでなく、コーティング剤が完全に乾燥して硬化するまでは入室も家具の搬入もできませんので、その期間の荷物保管場所を確保しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。フロアコーティングには、床の傷がつきにくくなったり日々の掃除が楽になるなど、様々なメリットがあります。
費用を抑えてDIYで施工することもできますが、広い範囲などに安心して施工をするには、業者へ依頼することをお勧めします。
業者へ依頼すると初期費用は掛かりますが、ワックスよりも耐久年数がはるかに長く、長期的なトータルコストを考えるとコストパフォーマンスが高いものになります。
また、健康への影響もほぼ無いに等しいがほとんどなので、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心して使用することができます。
コーティング剤の種類は豊富でそれぞれ特徴も異なるので、用途に適した種類のものを見つけることができるでしょう。
ぜひこの機会に、フロアコーティングを検討してみてください。