時期によって色を変え、季節を感じさせてくれる芝生。
幸せな家庭の象徴ともいえる芝生に対し、憧れを抱いている方も多いのではないかと思います。
しかしその反面、「手間がかかりそう」といったマイナスなイメージを持っている方や、「芝生以外でおしゃれな庭を作る方法はないのか?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
今回は、芝生と同様に人気のある「グランドカバー」についてご紹介したいと思います。
具体的な種類や特徴、導入する際のポイントも合わせてご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
グランドカバーってなに?
グランドカバーとは、文字通り「地面を覆う植物」のことです。
土がむき出しの庭はどことなく殺風景な印象ですが、グランドカバーを上手に取り入れれば芝生なしでも十分に華やかな庭を作ることができます。
このグランドカバーには、大きく分けて4つの役割があります。
庭の管理が楽になる
土がむき出しの状態の庭には、驚くほどのスピードで雑草が生えてきます。長い間放置しておくと、歩く邪魔になるほど草丈が伸びてしまう場合も…。
そんなときに役立つのが、グランドカバー。
所定の場所に植物を植えることで、雑草が生えにくい環境を作り、鬱蒼とした庭になってしまうのを防ぐことができるのです。
見栄えがよくなる
複数のグランドカバーを組み合わせたり、綺麗な花を咲かせるグランドカバーを植えることで、庭の見た目が格段によくなります。
芝生のような緑一色も良いですが、色とりどりの花が咲いたカラフルな庭も素敵ですよね。
植物だけでなく、レンガや石などと組み合わせてオリジナリティのある庭を作るのも良いでしょう。
泥はねやほこりが軽減される
グランドカバーで地面を隠すことで、雨の日に足元が汚れにくくなったり、風が強い日に土埃がたちにくくなったりします。
庭の土は、雨や暴風など天候によって大きく影響を受けます。
場合によっては泥はねによって庭の植物が病気になってしまうこともあるので、グランドカバーを使って被害を最小限にとどめましょう。
花壇の縁取り代わりに
グランドカバーは庭の区画を整理する際にも使えます。花壇の縁と花との間に配置すれば、見た目にも華やかな印象になるでしょう。
隣り合う色の相性を考えて統一感のある庭にしたり、様々な植物を寄せ植えにして賑やかな庭にしたりと、好みに合わせて工夫できるのも嬉しいところです。
庭をおしゃれにするグランドカバーの種類と特徴
早速、おしゃれなグランドカバーの種類をご紹介していきたいと思います。
特徴や見た目を踏まえて、ご自宅の庭に合いそうなグランドカバーを探してみてくださいね。
メカルドニアの特徴
参照元:エコスクエア三都
地面を這うように生える匍匐性のメカルドニア。高温多湿にも乾燥にも強い、比較的管理が楽チンな植物です。
花は小さく印象は強くないものの、花付きは◎。主張が少ないぶん脇役として活躍してくれるので、花壇のフロント部分や他の植物同士のつなぎ目などに植えるのがおすすめです。
クラピアの特徴
イワダレソウを品種改良して作られたクラピア。グランドカバーとして使われることの多い植物です。
クラピアは日光、水、土の栄養で繁殖していくので、特別な管理は必要ありません。
また、踏まれてもへこたれず、むしろ葉が小さく綺麗に整っていくという特徴も人気の秘訣です。
サギゴケの特徴
日本に自生しているサギゴケ。白色、紫、ピンク…と、種類によって様々な色の花を咲かせる植物です。
日当たりと水はけの良い場所でよく育ち、半日程度の日射でもしっかり成長します。
日陰や水気の多い場所でも育ちますが、花が咲きにくくなるので注意しましょう。
素朴な見た目のサギゴケは、ナチュラルテイストの庭によく合います。
花の咲いていない時期は雑草のように見えてしまうこともあるので、花壇や整備された庭にはやや不向きです。
クローバーの特徴
道端、公園、河川敷…など、あらゆる場所で目にするクローバー。幸運のしるしとして人気のクローバーも、グランドカバーにおすすめの植物です。
緑色のイメージが強いかと思いますが、赤やピンクといった変わった色の種類もあります。
色の組み合わせを考えながら数種類植えると、賑やかな庭になるでしょう。
基本的には暑さ・寒さに強い丈夫な植物ですが、なるべく日当たりの良い場所に植えてあげるとよく育ちます。
芝桜の特徴
濃いピンク色の可愛らしい花が特徴の芝桜。桜に似た形状と見た目の華やかさから、鑑賞用のガーデニング植物としても人気です。
それほど手のかからない植物ですが、湿気や踏みつけには弱いので、日陰や人が日常的に通る場所に植えるのは避けてください。
1株植えれば50cmほどの範囲に広がるため、コスパも良好。長く楽しみたいという方は、定期的に植え替えや株分けをしてあげると良いでしょう。
ローズマリーの特徴
爽やかな香りが集中力を高めると言われているローズマリー。
種類に応じて、青紫や白、ピンクといった様々な色の小さな花を咲かせます。
地面から垂直に生えるイメージが強いかと思いますが、横に広がって生える種類もあります。
グランドカバーに使うのなら、後者の匍匐性がおすすめです。
風通りが悪いと下葉が落ちてしまうことがあるので、水のあげすぎや葉の茂り過ぎには要注意。料理などにも使えるので、定期的に切りそろえることをおすすめします
レモンタイムの特徴
レモンに似た香りが特徴のレモンタイム。日当たりがよく乾燥した地域を好むハーブです。
レモンタイムに限らず、タイムは全般的に湿度に弱く、高温多湿の日本の夏には茶色く枯れてしまうこともあります。
しかし、刈り込んでお手入れをすればまた新しい葉が生えてくるのでご安心ください。
ネモフィラの特徴
可憐なブルーの花を咲かせることで有名なネモフィラ。ひたち海浜公園のネモフィラ畑は特に有名で、SNSなどで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
寒さに強いネモフィラは、秋に植えて越冬させることで株が大きく育ちやすくなります。
花をたくさん咲かせたいという方は、植える時期を工夫してみてください。
植えっぱなしでもよく育つ強い植物ですが、踏みつけには弱いため、通路には植えないよう注意しましょう。
ヒメツルソバの特徴
丸くて可愛らしいフォルムの花を咲かせるヒメツルソバ。丈夫&カーペットのように広がって生えるヒメツルソバは、グランドカバーにぴったりの植物です。
日向と水はけの良い場所を好む性質があるため、冬はやや元気をなくしてしまいますが、暖かくなるとまた芽を出します。
季節を感じたいという方は、通年姿が変わらない植物ではなく、ヒメツルソバのように時期によって変化がある植物を選ぶと良いかもしれません。
ヤブランの特徴
紫の花が特徴的なヤブラン。メンテナンスは春に古い葉を取るくらいなので、管理はとても楽チンです。
耐陰性があり、日陰でもよく育つ強い植物ですが、日照が足りないと花が咲きづらくなってしまいます。
花を楽しみたいという方は、植える場所に気をつけてください。
葉だけを楽しめれば良いという方は、軒下や大きな木の根元など、日陰に弱い植物を植えにくい場所にヤブランを使うと良いでしょう。
常緑で日向に向くグランドカバーは?
先にご紹介したグランドカバーでいうと、サギゴケ、ローズマリー、ヤブランなどが日向に向いている種類に分類されます。
ここでは、上記の他に「常緑で日向に向いている種類のグランドカバー」をご紹介したいと思います。
ご自宅の庭に鮮やかな緑を配置して楽しみたいという方や、庭の日当たりが良いという方はぜひチェックしてみてください。
ヘンリーヅタの特徴
参照元:熊本県菊池郡のHerb&Rose
成長が早いと言われるツタ科のヘンリーヅタ。グランドカバーとして利用するのに向いている植物です。
秋には葉が赤く紅葉するため、季節を感じるのにもうってつけ。日向で育てると紅葉しやすくなるので、鑑賞を楽しみたい方は日陰を避けて植えた方が良さそうです。
生育は旺盛で適宜刈り込みが必要ですが、他の植物を駆逐するほどの力はありません。基本的に手をかけずとも育つので、扱いやすいでしょう。
サントリナの特徴
地中海沿岸に自生する、温暖な気候を好むサントリナ。耐寒性もあるため越冬も可能で、一年中楽しむことができます。
サントリナは、日向かつ風通しの良い場所でよく育ちます。
春から秋にかけてしっかり日光を当てると、丈夫な株に育ちやすいようです。
庭植えならば水やりはほとんど必要なく、自然任せで大丈夫です。
基本的には肥料をやる必要もないので、比較的管理が楽な植物と言えるでしょう。
ワイヤープランツの特徴
耐寒性が強く、冬でもグリーンの葉を楽しめるワイヤープランツ。細い針金のような茎が特徴的な植物です。
生育旺盛で地面に植えればどんどん広がっていくので、水やりや肥料やりといったお世話も特に必要ありません。
日当たりの良い場所で育ててあげると、春から夏にかけて小さな花をつけます。水挿し、挿し木、株分けと増やして楽しむこともできる生命力の強さが特徴です。
北海道などの寒冷地でも育つグランドカバーは?
北海道や標高の高い地域など、寒冷地にお住まいの方もいらっしゃるかと思います。
グランドカバーを取り入れる際には、寒さに強い植物を選びましょう。
先にご紹介したグランドカバーでいうと、ネモフィラやワイヤープランツなどが寒冷地に強い種類に分類されます。
早速、上記以外で寒さに強いグランドカバーの種類をご紹介していきたいと思います。
シンバラリアの特徴
耐寒性にすぐれたシンバラリア。別名コリセウムアイビー、ツタカラクサなどとも呼ばれています。
小ぶりな葉や花から繊細な印象を受けますが、繁殖力旺盛で丈夫な植物です。半日陰でも問題なく育つので、植える場所にそれほど気を使うこともありません。
冬でも青々とした葉を茂らせるシンバラリアは、北海道などの寒冷地でも育てることができる貴重な植物です。
ベロニカ・オックスフォードブルーの特徴
鮮やかな青色の花を咲かせるベロニカ・オックスフォードブルー。寒さに強く、高温多湿な夏をのぞけば管理が楽な植物です。
直射日光が苦手な性質なので、日光が当たりすぎない場所に植えてあげると良いでしょう。
枝が垂れ下がる特徴を活かし、グランドカバーだけでなくハンギングバスケットの寄せ植えとしても重宝される植物です。
ヒメイワダレソウの特徴
生命力が強く、手間がかからないヒメイワダレソウ。グランドカバーとしてはポピュラーな植物です。
耐寒性、耐暑性、対踏圧性に優れているヒメイワダレソウは、とにかく丈夫。初心者にも扱いやすいようです。
セシウム吸着効果があるとも言われており、最近では除染作用のある植物としても注目を集めています。
いろんな種類のグランドカバーを混ぜるときのポイント
一つの種類だけでなく、様々な種類のグランドカバーを混ぜたい!と考えている方もいらっしゃるかと思います。
複数の種類の植物を混ぜてグランドカバーを作ることで、賑やかかつ華やかな印象の庭を作り上げることができます。
種類によって成長速度が違ったり、時期に応じて花や実をつけたりと、庭の変化を楽しむことができるのも楽しみのひとつでしょう。
いくつかの植物を混ぜる場合のポイントは、葉の形や色が似ている種類ばかり集めないようにすること。
適度に変化のある植物を配置することで、メリハリのあるおしゃれな庭を作ることができます。
要注意!庭が大変な事になる?植えてはいけないグランドカバー
グランドカバーの中には、いくつか「庭に植えてはいけない」と言われている植物があります。
最後に、どのような種類の植物がグランドカバーに適さないのか、そしてなぜ植えてはいけないのか、それぞれの特徴を交えてご紹介します。
どれも「絶対に植えてはいけない」というわけではありませんが、根付いたあとの管理や処理を考えると、他の植物を選んでおいた方が楽であることは確かです。
「この植物が好きで絶対に庭に植えたい!」というこだわりがない方には、以下の植物を避けることをおすすめします。
ミント
爽やかな香りと可愛らしい見た目から、つい候補に入れてしまいがちなミント。
ミントは繁殖力が凄まじく、放っておくとどんどん増えていってしまうため、グランドカバーにはおすすめできません。
もし庭に良い香りのするハーブを植えたいのなら、先にご紹介したレモンタイムやローズマリーといったグランドカバー向きの植物を選ぶと良いでしょう。
ドクダミ
和風ハーブとして広く知られているドクダミ。民間療法に使われたり、独特の匂いが虫除けとして重宝されたりと、日本で昔からよく利用されてきました。
ドクダミの繁殖力は非常に強く、さらに茎は地面の奥深くまで達していることが多いため、駆除がとても大変です。
駆除の際に除草剤を使うことで他の植物にも影響を与えてしまうので、グランドカバーにはおすすめできません。
ツルニチニチソウ
ミントやドクダミと同様に、繁殖力の強いツルニチニチソウ。
爽やかな緑色の葉と紫色の小さな花が可愛らしく人気の植物ですが、グランドカバー向きではありません。
たった数株植えただけなのに、庭いっぱいに広がるほどに増えてしまったという逸話も。
隣家の敷地や道路にはみ出すほど成長すると余計なトラブルを招いてしまうこともあるので、要注意です!
ナガミヒナゲシ
道端などで目にするオレンジ色のナガミヒナゲシ。1個体から15万個以上の種を作ることができるほどの生命力の高さが特徴です。
さらに、根に含まれている成分には、他の植物の光合成を阻害する物質が含まれているという一節も。
庭に色々な植物を植えて楽しみたいという方には、あまりおすすめできません。
桜、ヒメリンゴ
バラ科の植物は、他の植物よりも虫を寄せ付けやすいという特徴を持っています。
桜やヒメリンゴなどは可愛らしいビジュアルで人気ですが、バラ科なので注意が必要です。
特に桜は毛虫、ヒメリンゴはアブラムシが好む植物です。
毛虫やアブラムシを餌とする他の虫や動物が寄ってきてしまう恐れもあるので、バラ科の植物はなるべく避けたほうが良いでしょう。
アジサイ、椿
ゲン担ぎを気にする方は、縁起が悪いとされている植物も避けたほうが良いでしょう。例として、アジサイと椿が挙げられます。
アジサイは茎に芯がない=一家の大黒柱がいなくなる、椿=花ごとバッサリと落ちる姿が打ち首を連想させる…といったように、気になる人にとっては気になるかもしれません。
椿に関しては虫がつきやすい植物でもあるので、迷信だけでなく管理のしやすさの面でもマイナスです。
まとめ
グランドカバーの種類と特徴についてお伝えしてきました。ご自宅の庭に植えたいと思うような植物は見つかったでしょうか。
庭にグランドカバーを導入する際には、まず植物の特徴や育てやすさを把握しておく必要があります。
見栄えが良いからと選んだものの、メンテナンスが大変な植物で後悔…!なんてこともありますので、庭に植える植物は慎重に選びましょう。
今回ご紹介したグランドカバーに適した植物が、みなさんの庭造りの参考になれば幸いです。